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運が悪すぎたので書くことで昇華しようと思う

運が悪い日というのはどうしてこうも良くないことが続くのだろうか。基本的には運がいいと思って生活しているし、占いなんかも良いものしか信じない。良くないことが起こっても次は気をつけようくらいに考えている。

しかし、その日はとことんダメだった。始まりは定期宅配を頼んでいるコープの配達日を間違えたこと。1週間分の配達が休みだったことを忘れ、飲み物や食べ物がすっからかんの状態に陥る。

今度からは配達日を間違えないようにと心掛け、足りない飲み物や食べ物を買いに行こうとした矢先。かがんで立ち上がる拍子にドアノブに後頭部を強打した。ぶつけたというよりめり込んだのでは?と思うほど衝撃と痛みが強く、しばらく痛みが続いた。
あまりの痛みに、いつか聞いた後頭部を強打してから数時間後に倒れて亡くなることもあるという話を思い出す。数時間後に亡くなるとすると、死因はドアノブに強打したことになる。ドアノブに父親を殺されたとあっては子供たちも浮かばれない。妻も葬式の参列者に死因を説明しにくいだろう。最愛の夫がドアノブに負けたのだから。
これを書いている時点では痛みが引き、死ぬ可能性は極めて低い。万が一、ここから倒れて亡くなるようであればこれを読んだ人には僕の葬式に思い思いのドアノブを持って参列してほしい。ドアノブに殺された男としてドアノブとともに火葬してもらえたら本望だ。

そんなこんなで痛みをこらえながら買い物に行った。最近飲む回数が増えたインスタントコーヒーがそろそろなくなることを思い出したのでカゴに入れる。コーヒーの味の違いがわからない残念な男なので、100杯分作れるという安くて大容量のものを選んだ。安くて多いは正義なのだ。
コーヒーのストックが復活したことに心を踊らせていた帰り道、手が滑ってスルスルとインスタントコーヒーの瓶がアスファルトへと落下した。「あぁ」という自分の情けない嘆きとともに、瓶が割れ、足元にコーヒーの粉が散らばった。100杯分飲めるはずが、1杯も飲まないまま終わりを迎えた。

配達日を忘れたことに落ち込んでいるうちにドアノブで後頭部を強打し、家に着く前に100杯分のコーヒーが無駄になった1日。さすがに次は気をつけようでは済まされず、年甲斐もなく泣きそうになった。

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