なんでもない日にすき焼きを食べた
すき焼きは年に一度、大晦日の時にだけ振る舞われる高級品であった。実家は青森県の海沿いの街にあり、冬になると寒さよりも痛みに近い海風が吹く。暖房器具以外の方法で暖を取るために色々な鍋料理が食卓に顔を見せたが、すき焼きだけは年に一度きりの貴重な鍋料理だった。
実家を離れてからはすき焼きを食べる機会がなく、少なくとも5年ほどは口にしていなかったような気がする。そんなすき焼きだが、ここ数日で我慢ならないほど猛烈に食べたい衝動に駆られた。牛丼チェーン店の牛すきでもなく、コンビニにある