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山田チャーハンのエッセイ

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山田チャーハンのエッセイ置き場
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#今日のおうちごはん

料理のレパートリーが増えない

週に数回はキッチンに立つ。妻を休ませるのも兼ねて料理をするのだが、いっこうにレパートリーが増えない。 僕が料理担当になると毎回同じようなメニューが食卓に並ぶ。定番は唐揚げだ。とりあえず味付けをしてコゲないように油で揚げさえすれば失敗することはない。 以前は簡単に味が染みるので焼肉のタレを使っていたが、長男も食べるようになってから白だしで味を付けるようになった。白だしとしょうがチューブとにんにくチューブでささっと味付け。大人の分を奪わんとする勢いでもりもりと食べるので、唐揚

なんでもない日にすき焼きを食べた

すき焼きは年に一度、大晦日の時にだけ振る舞われる高級品であった。実家は青森県の海沿いの街にあり、冬になると寒さよりも痛みに近い海風が吹く。暖房器具以外の方法で暖を取るために色々な鍋料理が食卓に顔を見せたが、すき焼きだけは年に一度きりの貴重な鍋料理だった。 実家を離れてからはすき焼きを食べる機会がなく、少なくとも5年ほどは口にしていなかったような気がする。そんなすき焼きだが、ここ数日で我慢ならないほど猛烈に食べたい衝動に駆られた。牛丼チェーン店の牛すきでもなく、コンビニにある

母の味噌汁を再現しようとしたら知りたくなかった事実を教えられた

ちくわの味噌汁。小さい頃、母がよく作ってくれていた。お世辞にも料理が上手とは言えない母の数少ないおいしい料理だった。 薄く輪切りにしたちくわを味噌汁の具材にするのだが、「ちくわの味噌汁っておいしいよね」と言っても、ほとんど怪訝な顔をされる。どうやら我が家だけの定番料理だったらしい。 地元で定番のちくわは、はちみつが練り込まれているので甘みがあってそのまま食べても十分おいしい。地元を離れて市販のちくわを買ってみたが、甘みがないのでなんだか味気なく、満足感もなかった。幼少期によ