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【書評】『ザ・ファシリテーター』

なぜ読んだか

ファシリテートにより、チームの成果をより良い結果導くことができないだろうかと考えた。
ファシリテートの機会が多いが、ファシリテーションを学習したことがないし、ファシリテータの技術も心構えも学べていない。
本書はストーリーベースでファシリテートが学べ、面白そうだった。

概要

ファシリテーションが、どのように組織の活性化し、組織の変革させ、そして個人の成長、行動に変化をもたらすかというプロセスが小説で描かれている。

主人公は30代後半の女性でマーケティング部に所属しているが、ファシリテーションの手腕を買われ、社長命令により開発センターのセンター長に任命される。

開発センターでは年齢が低く、業務知識や経験も劣る、そんな環境でファシリテーションを活用し、開発センター意識を変え、組織の目標であるコストダウンとアウトプット2倍を目指し組織改革していく。

作中にファシリテーションのノウハウや考え方が散りばめられており、ファシリテーションのスキルによって、周りの人の心に影響を与え、行動が変わっていく様がリアルに描かれている。

ファシリテーションとは

人と人の相互作用を活発にし、創造的なアウトプットを引き出すもの。
異なる価値観、意見の違いがあることを前提に、会議のやり方ではなく、人を触発し、クリエイティブなアイディアを生む動機づけ、行動を変えるというもの。

ファシリテーションを学ぶ利点

会議をよりよいものにするだけでなく、自分自身をファシリテーションできるようになる。

人の言うことにしっかりと耳を傾ける姿勢
物事を事実ベースで分析的に捉える視点
多面的な観察力
バランスの取れた思考力
情緒的な安定
説得力
行動力

これらの能力が向上するらしい。

ファシリテータの資質

・チームが達成しようとしている目的から絶対に目を離さない
・プラス思考
・行動を生み出すエネルギーの大きさ

発言を促す質問

議論が活性しないとき、発言がでないときに質問してみよう。

全体を意識させる
目標を達成するためのツリーをつくってみる。
『目標と思っていることが、実は手段となっていないか?』

分散(多様性)を意識させる
『いつもそうですか?』『ほかもそうですか?』

自分たちがコントロールできるものとそうでないものを意識させる
『それは、自分たちでどうにかできますか?働きかけることができますか?』

時間軸を意識させる
『昔からそうでしたか?』
『今回だけですか?』
『繰り返し起こることですか?』
『将来はどうなっていますか?』

基準を意識させる
『ベンチマークはありますか?』
『あるとすれば、それは一定のものですか?』
『なければ、それをつくるべきではないですか?』

ファシリテーションで意識したい点

硬い心
他人の意見を軽視し、言葉尻だけを取り上げ、曲解する。
無意識的な拒絶反応が自分の心にある。

対策:自分で意識的に心の力を抜く。アイスブレークを通して、心を開く準備体操を行なう。

できない理由を考える天才
できない、やれない理由ばかりで、どうやればできるのかという発想がでてこない。

対策:できない理由をとことん突き詰めて、全体像を考えさせ、出しきったところでできる方法を考えさせる。

感想

内容は面白くサクッと読めました。

単純な道具としてのファシリテーションの説明ではなく、ファシリテーションの考え方を物語で理解できたのが良かったです。
ファシリテーションってなんだろうという方におすすめです。

答えの無い、わからない、難しい問題にたいして後ろ向きにならず、立ち向かう姿勢という強さを作中のファシリテータに感じることができました。
この姿勢が難しい問題への第一歩を後押ししてくれると感じています。

ファシリテータとして、ファシリテーションを活用して、チームの成果をより良い結果導くにはまだまだ力不足ですが、ファシリテータの姿勢や考え方を学んで少しは視野を広げて物事を見れるようになったかなと思います。


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