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Q&A #26 : ウイルスが博士の予測通りに進化する可能性があることは分かりました。しかし、状況が落ち着く可能性もあるのではないでしょうか?


Dr. Geert Vanden Bossche 2023年4月13日投稿
Q&A #26 : I understand that the virus may evolve the way Geert has predicted. However, is it also possible that the situation calms down?

の翻訳です。原文を参照の上ご利用ください。

質問:


ウイルスが博士の予測通りに進化し、より強毒で危険なものになる可能性があることは理解しています。しかし、状況が落ち着き、ウイルスが沈静化する可能性もあるのではないでしょうか?その場合、その可能性はどのくらいあるのでしょうか?

回答

もちろん、重い疾患と死亡の大波が襲ったあとには、状況は落ち着き、ウイルスがもはや十分に伝搬されなくなって、根絶される可能性さえあります。しかし、これはあなたが聞きたいと思っているシナリオではないでしょう。あなたは、おそらく、ウイルスが病原性を増す方向ではなく、適応していく方向に進化する可能性のことを聞いているのでしょう。その可能性を完全に否定することはできません。
それは次のような理由からです:

高度にワクチン接種された集団では、現在、ワクチン接種者からのウイルス排出が減少しているため、ウイルスの伝搬が妨げられている。私の著書「The Inescapable Immune Escape Pandemic」(http://drgeert.com)で述べたように、これは多反応性非中和抗体(PNNAbs)によってもたらされる、ウイルスの病原性に対する免疫選択圧力の強化と表裏一体の関係にある。この状態が長く続くと、ウイルスの病原性に対する障壁を解除できる強毒性の変異体が選択されて重症のCOVID-19疾患を起こす可能性がある(そうすることで、ウイルスは存続し続けることが出来る)。

しかし、このような強毒性の変異体が出現して選択される前に、高度にワクチン接種を受けた集団におけるウイルス伝搬が劇的に減少する可能性は常にある。これは、ワクチンによって誘導される潜在的中和抗体(pNAbs)が急速に減少する場合に起こり得る。循環しているウイルス(オミクロンの子孫)に対して中和能力をほとんど失った潜在的中和抗体の濃度が低いと、多反応性非中和抗体の濃度が比較的低くなり(著書参照)、ウイルスの病原性に対する免疫圧力が急速に低下する。この場合、ウイルス伝搬が減少しても、多反応性非中和抗体によるウイルスの病原性に対する免疫圧力は長続きせず、より病原性の高い変異体が選択される前に、ウイルス伝搬がウイルスの永続に必要な閾値を下回る可能性がある。ワクチン接種率やブースター率が比較的低い国ではこれが起こるかもしれない。しかし、測定可能な潜在的中和抗体力価を保つことが出来るワクチン接種者の割合については、不確実性もある。ワクチン接種率の高い国では、COVID-19ワクチン接種者の大半が高年齢層(60歳以上)であるため、ワクチンに最適に反応しない人が相当数いる可能性がある(現在、系統的な血清調査が行われていないため、高齢の接種者に占めるワクチンに反応しない者の割合についての詳しい研究は行われていない)。もちろん、このような場合、多くの「高率にワクチン接種された」集団は「高率にワクチンによって免疫された」集団とは言えず、ウイルスの進化に与える影響はかなり過大評価される可能性がある。

つまり、ワクチン接種率やブースター率が比較的低いワクチン接種国では「鎮静化」効果が生じるかもしれないし、より広い範囲、つまり、高齢者層(ワクチンに反応しない者の大半を占める)の割合が比較的高い「高度にワクチン接種された」先進国でも生じる可能性さえある。

他のシナリオでも「沈静化」効果が発生する可能性を否定するものではないが、上記の2つが私の頭に浮かぶものだ。

質問の後半部分、どの程度の可能性で起こりうるか、については、わからない、としか言いようがない!集団レベルの血清学的データがないため、ワクチンによって効果的にプライミングされた接種者の割合についての手がかりがないのだ。この集団ワクチン接種キャンペーンが、主としてmRNAワクチンによって行われ、主に高齢者を対象としていることを考えると、この問題は非常に重要である。

中和能が低下すると、多反応性非中和抗体が出現することが示されているが、この抗体の存在について大規模な検査を行うことはおろか、その測定に関心を持つ人もいないようだ。

前例のない状況であるため、これらは未知数なのだ(高齢者の大多数に集団接種、しかも、mRNAワクチンで接種したことはなく、mRNAワクチンについてのデータは特に不足している)。もちろん、誰もがウイルスに注目している。しかし、ウイルスが受けている不十分な免疫圧力がウイルスの進化を促していることには気づいていない。

真に問題とするべきなのは次のことだろう: この免疫圧力は、より病原性の強い(しかも、より多くの糖鎖で修飾された)ウイルスが選択されるまでの期間、持続するのか、それとも接種者の活性化された細胞傷害性T細胞反応によってウイルス排出が低下し、ウイルス伝搬が出来なくなるのが先なのか。

感染力の強いウイルスが循環している間に、潜在的中和抗体の力価が急速に低下した場合にはこれが起こる可能性も否定できない。私の仮説(破局的シナリオ)を否定するわけではなく、ワクチンが市場に出回るための通常の要件を満たさない場合(例えば、対象集団の免疫応答性が低いため、免疫反応が悪かったり、あるいは短期間しか持続しない場合)には、提案したシナリオが展開しない可能性を示しているだけである。免疫応答性が低い場合、ブースター接種を繰り返すことで免疫反応が改善されるのか、むしろ悪化するのか、私にはわからない。しかし、繰り返しになるが、「別の」状況にある「別の」人々に「追加」接種した場合にはに非常に強い免疫応答が起こる可能性がある。

また、mRNAは非常に壊れやすく、適切に凍結、保存、解凍されないと、ワクチン製剤の安定性に問題が生じることも忘れられがちである(mRNA鎖の物理的完全性に関する品質管理データの欠損に関するジェシカ・ローズの報告を参照してほしい)。そして、ワクチン接種者の系統的な血清学的調査(中和抗S抗体に関する調査)はどこにあるのだろうか?一部のワクチン接種者がCOVID-19疾患に繰り返し罹患し続けている事実は、これらの人々ではワクチンの「効き目」がお粗末であったことを示しているのかもしれない。

私の重要なメッセージは、私の予測を深刻に受け止めてほしい、ということである。このメッセージを十分に強くするためには、これらのワクチンが対象集団に十分な免疫反応をもたらすと仮定するのがベターかつ合理的である。これらのワクチンが対象集団を適切に免疫しない可能性を示唆する仮定は、メッセージに欠陥があると受け取られ、真剣に受け取られない可能性をさらに高めてしまう(そもそも、かなり信じられない内容と受け取られている)。

[1] Fantiniet らによって行われた研究によって報告されている。


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