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Covid-19パンデミックが収束し始めているかのように振る舞う人々に、最後に一言

Dr. Geert Vanden Bossche 2021年7月26日投稿
A last word of caution to all those pretending the Covid-19 pandemic is toning down
の翻訳です。原文を参照の上ご利用ください。

大要

現在、Sars-CoV-2の感染性の強い変異株の流行が拡大している。これはワクチン非接種集団が持つ、自然抗体に基づく変異株非特異的免疫を損なうという点で非常に問題である。流行拡大に伴う感染率の高さはこの変異株をさらに拡大させるだけではなく、さらに高い感染性を特徴とするウイルス変異株の自然選択を促す可能性がある。したがって、自然抗体による変異株非特異的免疫がさらに侵食されていけば、ワクチン非接種の集団において、より感染性の強いウイルス変異株の繁殖と伝播が促進される。一方、集団ワクチン接種は、ワクチン接種者集団においてワクチン逃避変異株の自然選択を促進する。これらを総合すると、感染率が非常に高い状況で集団ワクチン接種を行えば、より感染性が強く、ますますワクチンから逃避する変異株が蔓延していく。このような進化は、必然的に非接種者と既接種者の両方で罹患率の上昇をもたらし、最終的にはワクチンがもたらす免疫に対し完全に抵抗性の変異株が出現し流行するようになる。だからこそ、変異性の高いウイルスのパンデミック時には大規模集団ワクチン接種を行ってはならない。ましてや、既に感染性の高い変異株が出現しているのであれば尚更である。(感染を阻止するワクチンを使用する場合は別である)。ウイルス感染率の急速な低下が、自然感染の結果ではなく、急速な集団予防接種キャンペーンの結果である場合は、完全なワクチン耐性を持つ新たな変異株の急激な伝播開始を遅らせているにすぎない、つまり、罹患率と死亡率の大きな波の発生を遅らせているにすぎない、ということを理解することは極めて重要である。対照的に、特に比較的感染率が低い状況で、ゆっくり集団予防接種を進めた場合には、、ワクチンに対し、より逃避する変異株は徐々に拡大し、ワクチン接種を受ける人が増えていくにつれて、罹患率と死亡率の波が、より大きくなり続ける。完全なワクチン抵抗性変異株が優勢になるまで、この波はピークに達しない。

現在進行中のSars-CoV-2の進化による悲惨な結果を防ぐためには、ワクチン非接種者のコロナウイルス非特異的な自然免疫の侵食と、ワクチン接種者がワクチンの免疫優勢エピトープに対して及ぼす強い免疫選択圧力を緩和するしかない。つまり、直ちに集団ワクチン接種を中止し、ウイルスの感染率を下げなければならない。集団ワクチン接種の継続は、罹患率や入院率をさらに上昇させ、感染性が強く、よりワクチン抵抗性の変異株の爆発的な拡大が起これば、症例致死率の大波となるだろう。

感染率を急速に十分に低下させるには、短期間に大規模な抗ウイルス剤による化学予防を行い(ふさわしい候補は既に見つかっている)、適切な感染予防対策を行えばよい。同時に、有症者を早期に治療し、健康的な食事(特定の栄養補助食品を含む)とライフスタイル(運動を含む!)を実践して、集団免疫の構築にさらに貢献させることである。この戦略では、ウイルスを根絶することはできないが、パンデミックを一種の「人工的な」地域流行に変えることはできる。もちろん、無症状のリザーバー(無症状で感染したワクチン接種者や非接種者、さらには動物)が残っているので、今後も大規模な集会は避けなければならないし、ウイルス排除効果(殺菌効果)のある免疫介入ができない限り、抗ウイルス剤による大規模な化学予防キャンペーンは、特定の時間間隔で繰り返す必要があるだろう。上記の行動計画は直ちに実行されるべきである。ウイルスが現在のワクチンに対して完全に耐性を持った後では、抗ウイルス剤による化学予防が世界的に恒常的に実施されない限り、上記の対策では犠牲者の激増を防ぐことはできなくなるだろう。 


パンデミックの進化の現状とそれに対する集団ワクチン接種キャンペーンの影響の分析


何度でも言うが、私は、パンデミックが終わったとか、集団免疫が高まったから、少なくともパンデミックが落ち着いたなどと言う人々とは、今後も距離を置く。私は、ゲノム/分子疫学者の見解が軽視されたり、免疫学的データが無視されたり、文脈が無視されたり、誤って解釈されたり、理解されないことが多いことに問題を感じている。私は、パンデミックが地域流行(エンデミック)に移行し始めており、ウイルスは、いずれ自然に公衆衛生上の懸念が少ない普通の風邪のコロナウイルスになるだろうという専門家の意見に同意しない。専門家の中には、実際に、病気の重症度の低下や死亡率の低下は、集団免疫の増加やウイルスの弱毒化によるものだと考える人もいるようだ。以下に説明するが、彼らの予測は、現在循環している感染性のより強いウイルス変異株が及ぼす感染圧力の増大と、ワクチン接種済みの人口の急激な増加による免疫選択圧の上昇との複雑な相互作用を考慮していない。また、彼らの予測は、集団レベルの免疫選択圧の上昇がSARS-CoV-2変異株のゲノム進化を促しているという分子/ゲノム疫学者による最近の報告とも一致していない(私の最近の寄稿論文'Why the ongoing mass vaccination experiment drives a rapid evolutionary response of SARS-CoV-2'を参照。)[日本語][アーカイブ


一部の専門家が、集団ワクチン接種がこのパンデミックの進化に与えた悪影響をいまだに無視し続けていることには、驚くよりほかない。それどころか、一部の専門家は、ヨーロッパやアメリカのいくつかの国で現在観察されている感染者数と罹患率・入院率の間の関連性の弱さから、変異株が免疫システムから逃れられないことが証明されたとさえ言っている。彼らは、これを、過去に風邪のコロナウイルスにさらされたり、Sars-CoV-2に無症状で感染したり、(他の研究者によれば)Covid-19ワクチンを接種したりすることで、一種の広範な防御的集団免疫を獲得したことによるとしている。集団免疫に貢献する主要な要因として、上述の免疫イベントの1つ以上によって誘導される交差反応性T細胞の役割を強調し続けている専門家さえいる。交差反応性記憶T細胞がスパイク(S)タンパク質からの免疫逃避を防ぎ、その結果、スパイクタンパク質に対する免疫から逃避する変異株の増殖と宿主集団への適応を妨げるというのは、何の科学的証拠にも基づいていない。実際、既感染者やワクチン接種者の交差反応性記憶T細胞が、コロナウイルス感染細胞の排除・殺傷に効果的に貢献しているという科学的証拠は全くない。S特異的記憶B細胞の存在なしにコロナウイルスに感染した宿主細胞を排除できるT細胞についての証拠はない。したがって、交差反応性の変異株非特異的T細胞がウイルス伝搬の抑制や減少に寄与し、集団免疫に貢献するという科学的証拠はない。もしそれが正しいとするのならば、パンデミックの後期になって、それまで感染しても無症状であった人々が突然Covid-19疾患を発症する理由が説明できない!


過去に風邪のコロナウイルスにさらされたり、Sars-CoV-2に無症状で感染したり、Covid-19ワクチンを接種したことで得られた抗S抗体では、ウイルスの伝搬を抑制することはできない。これは以下の理由による。

  1. 以前に風邪のコロナウイルスに罹患したことで得られた抗S抗体はSARS-CoV-2を中和することができない。

  2. SARS-CoV-2の無症候性感染によって誘導される抗S抗体は一時的なものであり、完全には機能しない(SARS-CoV-2の無症候性感染が記憶B細胞を誘導するという証拠はない)。これら抗体は短命であり、ウイルスの排除には関与していないことが報告されている(無症候性感染では抗S抗体が増加し始める前にウイルスは排除される)。 

  3. ワクチン接種によって誘導された抗S抗体は、より感染性が強く、抗S抗体により耐性を持つ変異株に対して中和能力を失う(そのため、「ブレイクスルー」感染症例が着実に増加している)。

しかし、それ以上に重要なことがある。これらの専門家は、集団免疫が上がっているという言説と、現在多くの国で観察されているデルタ型の拡大による感染率の上昇との間にどう折り合いをつけるのだろうか。これは、集団免疫の強化ではなく、免疫がますます侵食されていることを意味しているのではないか?この観察結果は、パンデミックが地域流行へと移行していることを示すものでは全くない。


それでは、疾患の重症度の低下が集団免疫では説明できないとして、ウイルスの自然減弱であれば説明できるのだろうか。しかし、一体どのようにすれば、危険なウイルスが突然、風邪のコロナウイルスと同程度の害しかない変異株を産み出すのだろうか?ウイルスは、複製するか、変異するか、隠れるかのいずれかしかできない。ウイルスの特定の表現型の特徴にかかる選択圧力によってウイルスの変異は選択され、適応していく。しかし、どのような選択圧があれば、ウイルスは弱まるのだろうか?現状では、SARS-CoV-2に対する選択圧は、集団の全体的な免疫状態によって及ぼされ、ウイルスの感染を可能にするSタンパク質に向けられていることを考えると、どうしてそのようなことが起こりうるのだろうか。病原体の感染性に対し自然免疫選択圧力がかかっているというのに、いつ、どのようにしたら病原性の低下が起きるのだろうか?もし、この大規模なワクチン接種キャンペーンが、公衆衛生上の懸念がない「弱毒化した」ウイルス変異株の伝播を本当に促進しているのならば、私はそれを災いとして拒絶するのではなく、むしろ恵みとして歓迎するだろう(文末注(1))!しかし、私の知る限り、デルタ株やその他の感染性の強い変異株が、病気の経過をより穏やかにしたり、より若い年齢層に対して本質的により強い感染性を持つような変異を進化させていることを示すゲノム上の証拠は、これまでのところ示されていない。


ワクチン非接種者の病気の重症度が低下していることに対する、科学的により妥当な説明は、デルタ株やその他のより感染力の強い変異株は、より若年層(例えば若年成人)に影響を及ぼすようになっているということである。若年層は、多反応性B1b自然抗体を多く持っており、高齢者や基礎疾患のある人に比べて、抗原変異株にうまく対処することができる(のウェブサイトのトピック1にある文献を参照)。これで、デルタ株が「病原性が低い」ように見える理由が説明できる。しかし、なぜデルタ株(あるいは他の感染性の強い変異株)は、若年層から中年層をターゲットにするようになったのか?これはおそらく、ウイルス固有の病原性というよりも、感染性の強さに関係があるのだろう。ウイルスの感染性の高さは、ACE2(アンジオテンシン変換酵素2)受容体に対するスパイクタンパク質の親和性が高いことを意味する。親和性が高まると、変異株に非特異的な自然抗体によるウイルスの捕捉が弱まる。様々なウイルス感染からの防御効果を含め、多反応性の自然抗体による防御効果については、説得力のある科学的証拠が豊富にある(私のウェブサイトのトピック1にある文献を参照)。これらの抗体価が高いことはSARS-CoV-2にさらされても発症しない自然防御の特徴と考えられている。したがって、自然抗体の機能レベルが低い人は、重篤なCovid-19病に罹患しやすいと考えられる。


しかし、どのようにして、あるいはなぜ、より感染性の高い変異株が発生するのか。

パンデミックの最初の10ヶ月間は、過密地域(スラム街、貧民街、人口の多い都市など)で感染者が大量に発生した。そのようなパンデミックの影響を受けた地域では、特に既に無症状で感染した人が再曝露した際に、ウイルスの感染性に対して免疫圧力が生じたと考えられる。このような出来事が自然淘汰を促し、より感染性が強い、スパイク(S)タンパク質に対する免疫から逃避する変異株の流通が促進されたと考えられる。ウイルスの感染圧力が高く、感染が広がれば広まるほど、既に無症状で感染していた人が、低親和性の抗S抗体の力価がまだ十分に高く、多反応性の自然抗体とSARS-Cov-2との結合を阻害可能な時点で、ウイルスに再暴露される可能性が高くなる(図1参照。これまでの論考で、多価性の相互作用でウイルス表面モチーフに結合するIgM型自然抗体よりもS特異抗体の方がSタンパク質に対する親和性が高い理由を明確に説明している。) その結果、感染率が高まると、若年層(60~65歳未満)のCovid-19の罹患性が一過性に高まり、これらの年齢層における罹患率や入院率が上昇する可能性がある(現在、米国だけでなく、多くのヨーロッパ諸国で観察されている)。つまり、ウイルスの感染圧力が高く、感染が広がれば広がるほど、より感染性の高い変異株の繁殖は活発になり、スパイクタンパク質からの免疫逃避変異株(すなわち、ウイルスの感染性に対する最適でない免疫圧力に抵抗できる変異を進化させたもの)が自然淘汰される可能性が高くなる。このような免疫圧力を克服する能力を持つことで選択された免疫逃避変異株は、より高いレベルの感染性を発揮する。このようにして、感染率が高いと、より感染性の強いウイルス変異株の繁殖が促進される。パンデミックの最初の年には、このようにして「より感染性の強い」複数の免疫逃避株が出現した(例。アルファ(2)、ベータ、ガンマ、デルタ)。


より感染性の強い変異株(デルタ型など)が大規模に流行し、繰り返しウイルスに曝露するリスクが大幅に高まってはいるが、自然抗体による保護効果が残っていれば、若くて健康な年齢層、特に子供は全く症状が出ないことがある。このことは、ワクチン非接種者ではCovid-19の罹患が主に若年層や中年層に見られることを説明する。若年層は一般的に多反応性の自然抗体によってよく防御されているので、重症化するケースはむしろ稀である。これらの者における病気の重症度は、前回の感染後、どのタイミングで再曝露するかに依存すると考えられる(すなわち、再暴露までの間隔が短いほど、自然抗体を阻害するS特異抗体の濃度が高いほど、より重症の病気に罹患する可能性が高い)。


コロナウイルス非特異的自然抗体とSARS-CoV-2との結合と、SARS-CoV-2とACE2受容体との結合は、いずれも多価性の相互作用を介して行われるため、ACE2受容体と特定のSASRS-CoV-2系統との相互作用をコロナウイルス非特異的自然抗体が遮断できるかどうかは、主として、これらの自然抗体の機能濃度に依存すると考えるのが妥当である。このため、通常の状況下(すなわち、S特異的抗体によって抑制されていない状況下)では、若年者および/または健康な人が、あらゆるSARS-CoV-2ウイルス変異株に効果的に対処できる理由が説明できる。Sタンパク質のACE2に対する親和性が高いほど(すなわち、ウイルスの本質的な感染力が高いほど)、また年齢層が高いほど、自然抗体の機能的な残存(すなわち、抑制されていない)能力は低くなる。


対照的に、ワクチンが誘導する抗体は、 SARS-CoV-2のスパイク(S)タンパク質の限定されたモチーフ(すなわち、主としてスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン[RBD]内に構成されるエピトープ)を標的とする。したがって、この限られたエピトープの中のごくわずかな変異であっても、ワクチン由来抗体のSARS-CoV-2への結合親和性を相当に低下させてしまう。しかし、これは、自然感染によってCovid-19を発症し、回復した際に獲得されるS特異的抗体には当てはまらない。なぜなら、これらの抗体は、より広範で多様なB細胞エピトープに向けられるからである。このことは、感染力の強いSARS-CoV-2変異株が、自然感染で獲得されたS特異抗体ではなく、ワクチンに由来するS特異抗体から容易に逃れる理由や、感染力の強いデルタ株によるブレークスルー感染症例がワクチン接種者に多く見られる一方で、若年者や健康な人、過去に発症した者(ただし、Sタンパク質(3)に対し血清陰性であることが条件)の大多数がCovid-19を発症しないことを説明する。


分子疫学者は、ヒト集団によるスパイクタンパク質に対する免疫圧力が着実に増大していることにより、循環している変異株は、S特異的抗体、特にSタンパク質のRBDおよびN末端ドメイン(NTD)内に存在する免疫優勢エピトープを認識する抗体に対して耐性の変異をますます進化させていると結論づけている。自然感染で獲得されたS特異抗体がこの免疫圧力の原因となっているとは非常に考えにくい。なぜなら、Covid-19を発症し、回復した人々は、集団の比較的小さなサブセットを構成しているだけであり、より広範で多様なS由来のエピトープに対する抗体を保有しているからである。ワクチン由来抗体の性質と、ほとんどの国でのワクチン接種率の高さを考えると、RBDに対する集団レベルの免疫圧が着実に増加している原因が大規模な集団ワクチン接種の結果であることは疑いようがない。(私は以前の論考で、優秀な科学者たちが、スパイクタンパク質に対する免疫圧力の大幅な増加の潜在的な原因として「集団ワクチン接種」に言及すらしないことについて、驚きを表明した;(最近の論考 'Why the ongoing mass vaccination experiment drives a rapid evolutionary response of SARS-CoV-2'を参照[アーカイブ][日本語]) 。この進化は、もちろん、非常に憂慮すべきものである。ワクチンによって誘導される機能的なS特異抗体に対し抵抗性を高める収束的進化が進行しても、ACE2受容体に対するウイルスの親和性がさらに高まるとは限らない(したがって、若くて健康な人一般に病気が増えるとは限らない)が、このような進化によって、ワクチン接種集団での患者数と重症度が急速に増加すると考えるのは妥当である。なぜなら、ワクチン免疫からの逃避が拡大すると、ワクチン接種者はワクチンによる防御を失うにも関わらず、ワクチンで得た長寿命のS特異抗体の高い力価によってコロナウイルス非特異的自然抗体は抑制され続けるからだ(4)。一般論として、ブースター免疫(第2世代ワクチンを含む!)の強さ(アジュバント化!)、頻度、接種率の増加にしたがって、コロナウイルス非特異的自然抗体の抑制レベルは上昇すると考えるのが妥当である。


ワクチンに由来するS特異抗体が、以前に自然感染から発症して回復した者のS特異抗体よりも,より強く変異株に結合することはない。なぜなら、自然感染では免疫系は多様なB細胞エピトープを認識してプライミングされるからである。Covid-19の自然発症から回復した際に獲得される免疫は非常に強固であり、多様な抗原変異株(懸念される変異体;VoCを含む)に再暴露しても非常に効果的に対処できることが繰り返し報告されている。抗原非特異的な自然免疫を惹起するアジュバントは、エピトープの拡大を可能にし、広範な免疫認識に貢献すると考えられる。したがって、自然感染による獲得免疫は、集団免疫にとって「不変の」要素である。しかし、以前に発症して回復した者のS特異抗体が、循環しているワクチン逃避変異株に結合した場合に、これらの既感染者の抗体依存性免疫増強(ADE)に対する感受性を上げるかどうかについてはわからない。 


ここまでに述べた全てのことから、より感染力の強い変異株のパンデミックの最中に行われる集団ワクチン接種キャンペーンは、集団の全体的な免疫状態を強化するのではなく、急速かつ劇的に弱めることになり、その結果、集団免疫の獲得には寄与しないことは明らかである。これは、ワクチン非接種集団と既接種集団の間でウイルスが相互に伝播することで、(より感染性の強い変異株が循環することによる)高いウイルス感染率と(集団ワクチン接種による)高いワクチン接種率の間で自己増殖的な相乗効果が生じるためである。その結果、より感染性が強く、ワクチンを逃れるタイプのウイルスが拡大していく(図2)。 

  • 感染率が高い場合、ワクチン非接種集団は、感染性の強い変異株の発生原となり、そのような感染性の強い変異株の産生と伝搬の工場となる。感染性の増加と流行の拡大により、ウイルスの感染率と伝搬率は急速に上昇し、これまで無症状であった多数の感染者の自然免疫をさらに低下させる(すなわち、健康な中年成人から始まり、次第に若年層を巻き込んでいく)。これにより、スパイクタンパク質に対する免疫選択圧が高まり、自然淘汰され、さらに感染性の高い変異株が適応する可能性がある。

  • ワクチンの接種率が高い場合、ワクチン接種集団は、ワクチン免疫からより上手く逃れる変異株の醸造所となる。 

  • より感染性のある変異株がワクチン接種者に感染伝搬されると、その変異株は有効なワクチン由来抗S抗体に対して、より耐性を増す追加の変異を進化させ、それがワクチン接種者の間で競争上優位であるため選択され、その結果、より効果的に増殖することとなる。その後、そのワクチン逃避変異株がワクチン非接種者に伝搬すると、急速に流行が拡大し、その結果、それまでに循環していた変異株に取って代わるか、少なくとも優勢となる。 

以上のような相互作用により、ウイルスの感染性が高まった状態(パンデミック!)での集団ワクチン接種が、ワクチンを接種した集団と接種していない集団の両方で、ワクチンに由来する免疫をますます阻害するRBD関連変異を持つ免疫逃避変異株の自然選択と適応を促進することが理解できる。つまり、より感染性の強い変異株のパンデミック下で行われる集団ワクチン接種キャンペーンは、より感染性の強いSars-Cov-2変異株がSタンパク質ベースのCovid-19ワクチンに対する抵抗性を獲得することを促進する。 


より多くの「より感染性の強い」変異株が拡大し、優勢になり、これらの変異株がワクチンを介した免疫選択圧にさらされるほど、集団ワクチン接種による有益な効果(すなわち、ウイルス伝搬の減少と発症予防)は、ワクチンによるワクチン接種者の保護と、接種者による非接種者の保護の両方の失敗に急速に取って代わられることになる。この進化は現在、健康な人同士の接触頻度の増加など、感染予防策の緩和によって促進されている。無症候性感染しているワクチン既接種者とワクチン非接種者との接触が増えることは(5)、より感染力が強く、ワクチンによる免疫からより逃避できる新たな変異株(例:ラムダ株)の繁殖を促進するだけである。

まとめ

要約すると、一連の、感染性のより強い変異株の拡大と、それに伴う感染率の爆発は、より感染性の強い変異株が循環することにより生じる自己増殖的な自然選択と適応によるものであると考えるのが妥当であり、その一部は過密状態の結果として出現し広がったものである。より感染性の強いアルファ、ベータ、ガンマ、デルタの変異株は、集団ワクチン接種キャンペーンが開始される前に出現していたため、集団ワクチン接種がこれらの起源であると言うことはできない。しかし、ヒト集団がRBDに含まれる免疫優勢エピトープにますます多くの免疫圧力をかけていることが最近報告されている。ワクチン接種率が着実に増加していることから、この追加的な免疫圧力は集団ワクチン接種に起因すると考えるのが妥当である。現行のスパイクタンパク質ベースのCovid-19ワクチンの集団接種キャンペーンを継続すれば、このワクチンが産生する極めて重要な免疫優勢エピトープに対する免疫選択圧力が増大し、拡大することになるため、自然選択によってスパイクタンパク質から逃避する変異を持つように進化した感染性の高い変異株は、直ちに、容易に、競争上の優位性を得ることになる。広範囲に及ぶ免疫選択圧と高いウイルス感染率との組み合わせと、健康なワクチン接種者と非接種者の接触頻度の増加により、感染性の高い免疫逃避変異株は流行を拡大させ、今や急速に完全なワクチン耐性を進化させる。つまり、いかなるワクチン免疫でも排除できない新たな免疫逃避変異株が、まもなく主流の流行株になるということだ。


言い換えるならば、ウイルスの感染率の高さは、ワクチン非接種集団では、より一層感染性の高いSARS-CoV-2変異株の自然選択と自己増殖的な拡大の駆動力となる。一方でワクチン接種率の高さはワクチンからますます逃れるSARS-CoV-2変異株の自然選択の駆動力となる。この進化が、今や、どちらの集団においても発病率を上昇させている。結果として、より感染力の強い変異株のパンデミックの只中での集団ワクチン接種の実施は、より感染力が強く、ますますワクチン免疫から逃れるSARS-CoV-2変異株をおのずから拡大させる。ワクチンを接種した集団と接種していない集団の両方が、この進化に完全に貢献している。 


以上のことから、集団ワクチン接種が進んでいるいくつかの国で現在観察されている疾患の重症度や入院数の減少は、ウイルス変異株が何らかの形で「弱まった」ため、あるいは集団免疫が増加したためであると考える人々の意見を、私は支持することはできない。むしろ、このパンデミックは終息とか、地域的流行への移行とは程遠いと言える。現段階では、このパンデミックがワクチン耐性のある「スーパー変異株」の繁殖に向けて準備を進めていることに疑いの余地はない。そうなれば、罹患率、入院率、そして残念なことであるが死亡率のより大きな波が発生するリスクがある。そしてそれはワクチン接種者に限られない。


現在行われている集団ワクチン接種キャンペーンは直ちに中止しなければならない。なぜならば、現行のワクチンはウイルスの感染を阻止することができず、より感染性の強い変異株のパンデミック時に大規模に使用すれば、循環しているSARS-CoV-2変異株がワクチン耐性になることは避けられないからである。それよりも、一定期間ごとに集団化学予防キャンペーンを行い、ウイルスの感染圧やウイルス伝搬を低下させ、現在の感染力の強い変異株がさらに感染力が強くワクチン耐性を持つ変異株となって優勢になるのを防ぐべきである。さらに、人々は健康状態を高めるべきであるし、それと同時に、Covid-19を発症した患者を早期治療し、(詳細については、例えば、P. McCullough博士の発表や論文などを参考にしてほしい)それによって、重症化や入院を防ぐだけでなく、ウイルスに感染した宿主細胞を殺し排除する広範な防御的抗体を患者がより迅速に獲得することを可能にし、その結果、ウイルス感染を減少させ、集団免疫に貢献するべきである。そのような介入策を図3にまとめた。


現在、私たちは感染性の高い変異株(例えば:デルタ株)のパンデミックに対処しているため、大規模な抗ウイルス剤による化学予防とCovid-19感染者の早期治療に頼らずに集団免疫を狙う余裕はもはやない。このことと、Covid-19の集団ワクチン接種キャンペーンを直ちに中止することを、この全く制御不可能なパンデミックに対する我々の戦いの主要な柱とするべきである。


私は、ワクチンの安全性に関する報道を非常に懸念し、心配し、不安に感じながら見ているが、このワクチン接種キャンペーンが人命に与える潜在的な疫学的影響は、短期的または長期的なワクチンの後遺症の可能性よりも桁違いに大きいと考えている。それ故、私はWHOとこれらのキャンペーンに関わるすべての関係者に、上記の提案に基づいて直ちに介入することを強く求める。我々人類には、最初の実験が失敗した後(集団免疫を形成する代わりに、集団ワクチン接種がワクチン接種者をワクチン免疫逃避変異株の潜在的な拡散者に変えてしまっている!)、さらに感染力の高い免疫逃避変異株が引き起こす、より一層高い感染圧力に人々をさらしながら、集団ワクチン接種を継続することを目的とした2回目の大規模な実験を行う余裕はない。


総合的な結論

疾病からの回復時に獲得される持続性のSARS-CoV特異的免疫と、コロナウイルス非特異的抗体が媒介する自然免疫の両方が、通常ならば、広範な防御的集団免疫の確立に寄与し、それによって自然なコロナウイルスパンデミック(あるいは、急性で自己限定的なウイルス疾患のパンデミック)が最終的には地域的流行に移行することを可能にしている。しかし、感染力の強い変異株の流行は、若年者や健康な人の自然な多反応性(すなわちコロナウイルス非特異的)免疫を損なう可能性が高く、集団免疫を確立するためには高い代償を払うことになる。結果として、罹患率や入院率が上昇し、最終的には死亡者数も増加することになる。ウイルスの感染性の自己増殖性の増強(これによって、ウイルスの感染率が高まる)のサイクルは、ウイルス(感染性の高い変異株!)の伝搬が実質的に減少するのに十分なレベルにまで人口密度が希釈され、低下して初めて終焉を迎えることになる。


ワクチン非接種集団では、自然選択された、より感染性の強い変異株が急速かつ優勢に伝搬して、変異株非特異的な自然な免疫防御の第一線を侵食し続けている一方で、人口の大部分へのワクチン接種と、ワクチン接種者と非接種者との接触は、ワクチン免疫を免れる変異株の自然選択と適応を促進し、ワクチンによる免疫をますます損なっている。過去のコロナウイルス感染(SARS-CoV-2感染を含む)やワクチン接種率の上昇では、失われた免疫力の大きさを補うことはできない。実際、過去のコロナウイルス感染やワクチン接種によって誘導された記憶T細胞が、コロナウイルス感染細胞に対して細胞傷害活性を持つことは報告されていないし、過去のコロナウイルス感染やワクチン接種によって誘導されたS特異抗体が、より感染力の強いSARS-CoV-2変異株の拡大を防ぐこともできない。分子疫学者は、免疫がウイルス感染を阻止できない場合(例えば、免疫抑制状態の患者)は、特異的に選択された変異を収束的に進化させることで、ワクチンによる免疫から逃れることができると示唆している。ワクチンによる免疫からの逃避と、ワクチン由来抗体によるコロナウイルス非特異的自然抗体の抑制が相まって、ワクチン接種者はCovid-19を非常に発症しやすくなる。 


強力な抗ウイルス剤を用いた集団化学予防により、より感染力の強いウイルスの優勢な伝播を緩和することができる。同時に、集団ワクチン接種キャンペーンを直ちに中止して、ワクチンのS特異的エピトープに対する免疫圧力を軽減しなければならない。さらに、有症状者を早期に治療することにより、重症化を防ぐと同時に、より感染力の強い多様な変異株に対して持続的な防御を提供することができ、その結果、ウイルスの伝搬を減らすことができる。しかし、これは集団予防接種の悲惨な結果を抑えるための最後のチャンスである。


実際のところ、自然選択された免疫逃避変異株が、同時感染時にどの程度組み換えられ、さらに複雑な変異株を生成するかどうかはまだ不明であり、その表現型の特徴は全く予測できない。また、(ウイルスのワクチン免疫に対する耐性のため)Covid-19罹患の感受性が高まったワクチン接種者の重症化を、早期治療によって防ぐことができるかどうかも不明である。さらに、ワクチン既接種者が、もしかしたら以前に有症状感染となった人も含め、もはや彼らのワクチン由来抗体がウイルスを中和できず、しかし、ウイルスと結合する可能性があるために、Covid-19の重篤化(すなわち、ADE)の犠牲になる可能性が高いかどうかは、まったく不明である。ADEを発症した患者の治療はより困難で、結果も予測しにくいものとなるかもしれない。


Sars-CoV-2がワクチン免疫からの逃避特性を獲得するように進化すればするほど、ワクチン接種者が本稿で提案した戦略から恩恵を受ける可能性は低くなる。これは、循環している変異株の感染率が低くても、ワクチン由来抗体を上昇させるには十分であるため、自然免疫防御が抑制されてしまうからである。このような再刺激を防ぐには、現在循環しているSARS-CoV-2の変異株をすべて根絶するしかない。これらの根絶には、ウイルス排除免疫を誘導するユニバーサル・ワクチン(6)を用いればよい。しかし、そのようなワクチンを開発するためには、免疫介入の方法を根本的に変える必要がある。そのようなワクチンで誘導される免疫エフェクター細胞は、コロナウイルスに感染した細胞をコロナウイルス非特異的に殺傷する能力を持ち、(ワクチン接種歴や免疫遺伝学的背景に関わらず)集団のすべての人々に持続的な防御免疫を提供する必要がある。このような特徴を持つワクチンは、変異性の高いウイルスのパンデミックの最中に集団予防接種キャンペーンで使用されたとしても、また、より感染力の高いウイルス変異株がすでに循環していたとしても、高度で持続的な効果を発揮することは言うまでもない。もちろん、ワクチンの安全性は最も重要であり、いかなる妥協も許されない。特に、抗ウイルス剤による化学予防、感染予防対策、早期治療、健康強化のための食生活や生活習慣の遵守などを賢く組み合わせることが、重症化を防ぎ、ワクチン免疫を免れた変異株が優勢になるのを防ぐために、安全かつ効果的である可能性がある場合にはなおさらである。


コロナウイルスのパンデミックにさらされた集団にスパイクタンパク質ベースのワクチンの集団接種を継続しても、ワクチン由来抗体の機能に免疫選択圧がかからず、またSARS-CoV-2との結合において、S特異抗体がコロナウイルス非特異的自然抗体と競合しないことが証明されない限り、パンデミック時、特に感染性の強い変異株のパンデミック時に集団ワクチン接種を実施しても、集団免疫を高めることはできず、将来の病気の波を軽減することもできない(感染を阻止するワクチンを使用しない限り!)。それどころか、感染性の強い変異株の拡散を促進し、ワクチン既接種者の自然免疫を抑制するという、まったく逆の効果をもたらす。このことは、通常は自然免疫でCovid-19から守られている集団(つまり人口の大部分)において、罹患率や死亡率が高くなるという結果となるだけである。重症での罹患率や死亡率の低下は、高齢者や何らかの基礎疾患を持つ人にしか見られない。したがって、集団ワクチン接種キャンペーンの結果は、(集団免疫!を介して)SARS-CoV-2に全く免疫のない人も含め、大多数の人を保護するという当初の目的とは大きく異なっている。科学的に考えれば、循環している感染性がより高いSARS-CoV-2 変異株が、人口の大部分がウイルスに対し及ぼしているRBDを標的とした免疫圧力に打ち勝つように急速に進化し、全てのスパイクタンパク質ベースのCovid-19ワクチンによって誘導される免疫反応から逃れるスーパー変異株に統合される、ということが、どうやったら起こらないのか理解しがたい。現在行われている集団ワクチン接種キャンペーンによって、より感染性の強いSARS-CoV-2変異株のパンデミックが緩和されることはもちろん、終息することは考えらないし、ウイルスがより問題のある特徴ではなく、より穏やかな特徴を持つようになるとも到底考えられない。


したがって、私は何度でも言う。 現在、自然選択された変異はACE2受容体への結合を促進する、またはACE2受容体との結合に直接責任のある部位へと収束していることが観察されている。そのような変異の収束進化と、その進化が現在起こっている速度は、人類にとって巨大かつ切迫した危機である。感染率が高い状況でこのまま集団ワクチン接種を継続し、同時に感染防御策を大幅に緩和すれば、大きなしっぺ返しを食らうことになるだろう。


最後に重要なことを述べる。強調するが、今回のパンデミックを「ワクチン非接種者でのパンデミック」であるとうそぶく、自称「専門家」は、ウイルスの感染性の高さとワクチン接種率の高さが組み合わさることで形成されている、現在の、SARS-CoV-2の進化のダイナミクスについての科学的な洞察力に欠けている。このパンデミックの拡大について、ワクチンを接種した人(ワクチンを接種すればCovid-19から身を守れると信じている)も、ワクチンを接種しない人(身を守るためにワクチンを接種する必要はないと信じている)も、どちらも非難されるべきではない。集団ワクチン接種が唯一の原因なのだ。 


注: この文書のコピーは、WHO、NIH、CDC、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、GAVI、CEPI、FDA、EMEA、およびファイザー、モデルナ、アストラ・ゼネカ、J&J、ノババックス、GSKの研究開発リーダーに送られた。 



Fig 1: More infectious immune escape variants outcompete the original virus lineage (Wuhan strain) for binding to Ace-2 entry receptor. Antigen (Ag)-specific IgG antibodies (Abs) outcompete natural, poly-reactive (multi Ag-specific) IgM Abs for binding to Sars-CoV-2. Ace-2 outcompetes Ag-specific but not natural, polyreactive Abs for binding to more infectious variants.

図 1: より感染性の高い免疫逃避変異株はオリジナルのウイルス系統(Wuhan株)よりも、ACE2受容体に強く結合する。抗原特異的IgG抗体は、多反応性(複数抗原に特異的な)IgM型自然抗体よりもSars-CoV-2と強く結合する。ACE2は抗原特異抗体(多反応性の自然抗体ではなく)よりも、より感染性の高い変異株と強く結合する。 


Fig 2: Effect of S(pike)-based Covid-19 vaccines on viral evolution when used for mass vaccination during a Sars-CoV-2 pandemic.

図2: スパイクタンパク質ベースのCovid-19ワクチンが、SARS-CoV-2パンデミック時に集団予防接種に使用された場合にウイルスの進化に及ぼす影響。


Interventions aimed at controlling propagation of more VI-escaping Sars-CoV-2 variants such as to prevent dominant circulation of vaccine-resistant variants. Early treatment contributes to strengthening broadly protective immunity mediated through acquired, S-specific Abs.

図 3: ワクチン抵抗性変異株が優勢となって循環することを防ぐため、よりワクチン免疫から逃避する変異株の拡大をコントロールすることを目的とした介入。早期治療は獲得されたS特異抗体を介した広範な防御免疫の強化に貢献する。 



(1) 複数の専門家が、現在流行している変異株は、より「良性の」特徴を持つように進化していると述べているが、同時に、免疫逃避によりワクチンの効率が低下しているため、安全性に多くの懸念があるワクチンの接種を正当化することはできず、集団ワクチン接種は中止するべきだと述べている。

(2) 大規模なロックダウンやマスクの普及も、ウイルスの感染性を高める自然淘汰や伝搬の原因になっている可能性が否定できない。また、運動不足や、微生物などの外来抗原を含む環境刺激への曝露が少なくなることで、自然免疫が十分に鍛えられず、その結果、呼吸器粘膜レベルでの 自然B1抗体が低下するとの考えも妥当である。このことで、英国型(=アルファ型)変異株の起源が説明できるかもしれない。

(3) すでに述べたように、若年成人の(軽度から中等度の)疾患例が増加しているのは、同じウイルス系統・変異株に最初にさらされた直後に再感染したためと考えられる。

(4) ワクチン由来S特異抗体は、もはや機能しない(すなわち、循環している免疫逃避変株を中和できない)ようになっても、通常、ワクチンを介した本格的なプライミングの後では永続的に持続し、高濃度で存在し、自然抗体を凌駕するだろう。

(5) 無症候性感染者がウイルスを拡散しないというのは神話である。無症候性感染は、SARS-CoV-2がSARS-CoV-1とは根本的に異なる特別な特徴であると強調されているほどである(私のウェブサイトのトピック2にある文献を参照)。

(6) ユニバーサルとは、MHC(主要組織適合遺伝子複合体)に制限されていない、または免疫遺伝学的に制限されていないことを意味する。


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