ルーツの話（温泉）2024/09/06

母方の祖父は家族旅行が好きな人だった。祖父は親戚一同が桐生の実家に集まるときは決まって温泉に行こうと提案していた。翌日には叔父の運転するワゴン車に乗って移動し、鬼怒川や草津の温泉宿でくつろいでいた。毎度直前に宿を取るので、費用も莫大にかかっていたそうだ。

祖父の生前はよく旅行に行ったねと懐かしむと、父は、実は結婚してすぐの頃は苦手だったのだと漏らした。核家族の一人っ子として育った父は大所帯での旅行が得意ではなかったらしい。祖父の手厚いもてなしが心地よくなってきたのはやっと私達兄妹が生まれた頃だったそうだ。父は私とは別の懐かしい顔をしていた。

最近になって、交友関係の少ない私にもやっと冠婚葬祭の場面が訪れることになった。そろそろ礼服を作らざるをえなくなった。昔を懐かしむほどには歳をとってしまった。どうりで肌も荒れやすいわけだ。