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祈るしかない 2024/05/14

今日は午前中は家で仕事をするスケジュールだったのだが、夢見が浅くて開始時刻である10時ぴったりまで起き上がれなかった。大きなため息を吐きながらローテーブルにノートパソコンを開いたが、電源ランプは点くものの起動せず、長押しをし直してやっと立ち上がった。10分ほど遅れて約束の電話をかけて、それからシャワーを浴びてからワンルームを後にした。

昼から銀座のギャラリーで個展挨拶の約束を入れていて、中央線で東京駅まで乗って、駅ナカで急いで手土産を購入して山手線に乗り換えた。有楽町で降りてマップを確認すると最寄が新橋だったらしく、そのままホームで次の列車に乗り直して、12時ちょうどにギャラリーに到着した。

会場で会社名を名乗り挨拶すると、作家は温かく出迎えてくれた。これまで電話でのやりとりのみで初対面だったが、何度もドモりながら熱心に作品の解説をしてくれた。その作家は木版画で、同じ版を構図を変えて別の作品を制作しており、同じモチーフでも切り取り方や色の乗せ方で印象が大きく異なるというのを説明してくれた。比べながら見ていくと、確かに作品毎のダイナミズムや淡さが違っていて、見れば見るほど面白かった。

筆を使う絵画とは違って、版を重ねていく版画制作はやり直しが効かない。木版画の場合は、絵具と水の量、バレンの力の掛け具合によって色彩が決まっていく。頭の中で散々検討をするものの、最後は祈るしかないと言っているのが可笑しかった。

高架下のチェーンの居酒屋で定食を食べ、乗り換えて中央線に座るととたんに眠りに落ちた。起きると電車は三鷹に向かっていて、知らない通勤快速に乗ってしまっていたようだった。折り返して吉祥寺の作業場に戻って、パソコンを開くとまた起動しなかった。寿命かもしれない。

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