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小説-短編–

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#ある年の瀬

ある年の瀬

ある年の瀬

ある年の瀬

仕事の後の帰り道、周りには都電の音、車のクラクション、急ぎ足の人々が右へ左へ前へ後へ、人の渦ができている。
Y氏は、寒さのためコートの襟をただした。
年の瀬も迫る夕暮れ時、人々は、なぜか急ぎ足になる。
新しい時代を前にして、皆それぞれに心の準備をしているようだ。
捨てるべきものは捨て、(自分)に言うべき事は言い聞かせるかのように。
Y氏は、交差点に差し掛かり、5分間待たなければなら

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