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Goodbye My Lover -James Blunt

On Music

眠れない夜に、窓の外の街灯がカーテンを擦り抜け、間接照明のように
書斎に差し込んでいる。
ベッドに入る前ウイスキーボトルを取り出し、グラスに注ぎ、煙草に火を点ける。ラジオからピアノの少し悲しげな和音が流れ、最初の煙を深く静かに吸い込み、ゆっくりと吐き出す頃、甘いハイトーンの歌が胸の奥に沈んでいく。

別れの曲である。
誰もが持っている光を失った時に味わう痛みを、
ピアノのメロディーと歌声が煽動する。

胸の奥の疼きを煙ともに吐き出しながら、ウイスキーをひと口飲んでみる。
こんなに切ない気持ちになるのは、彼の声質のせいだろうか。
ウイスキーのほろ苦さがさらに重く息苦しくさせる。
曲が終わり、灰皿に煙草を押し付けて、残った煙が消えてしまったあとも
しばらく寝付けなかった。

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