厄介なひと

モラハラDVや借金男、浮気男。
どれも迷惑な存在だった。

モラハラと付き合えば女は自信を無くし、不幸になる。
その後の付き合いにまで影響を及ぼすほど。

DVは迷惑というより犯罪だし、手を上げ自分を正当化するなんてみっともない。

借金男は、借金はわたしがそこまで悪い事だと思っていないから(したことがあるし、利用すればいいと思っている)個人的には結婚さえしなければいいと思う。
けど、パチンコスロットなど遊びで散財し、生活やデートに支障をきたすなんて迷惑なこと。

浮気男はかわいらしい。
ばかみたいに鼻の下を伸ばして他の女の尻追いかけるなんて、みっともなくて欲に従順で。相手の一番である確証が揺らぎ不安にさせることを理解した上でされると腹が立つ。

どの男も関わりたくないとは思うけど、どこか子どものようで、理解して欲しいだとか欲に弱いところが透けて見える。
色んな男性とお付き合いをしてきたけどこれらの男性はこちらから離れれば、女が主導権を握れば、そう面倒な相手ではなかった。

わたしが本当に厄介な男だと思うのは、芸術系の男だ。

今までの人生で一番長く愛した人がそうだった。
仕事に夢中で、それはもう"自己実現"ということばがぴったりというように思えた。

恋人だというのに愛を語らうこともなく、
「人生は何のためにあると思う？」
「お前はどこか夢を見ているところがある。世の中の人がみんなどこかやさしい心を持っていると思っている。」などと毎回言われるので、心底面倒な男だと思った。

好きだとか美人だとか、喜ばせることはちっとも言わない。

連絡を寄越さないなと思えば急に家に押しかけてきて、作品を見せてきたり。深夜3時に空を見ろと何十回と電話をしてきたり。

「生きているのではなく、生かされている。俺は今死んでもいいんだ。」などと言って死を仄めかし不安にさせる。

芸術系の男以外は、相手とわたしの二人がそれぞれに生きている個人だった。
でも、芸術系の男は惚れれば悪意なくこちらを侵食し、いとも容易く混ざってくる。

芸術系の男は厄介だ。

一度知れば、他の男は全てつまらないように感じる。
どれだけ稼いで旅行に連れて行かれたり予定を狂わせ振り回されようが、いい大学を出て知識豊富な話をされ関心を引かれようが、一目惚れするほどに容姿が良い相手だろうが、心は振り回されなかった。

今までの恋人にいなかったなら、それは幸運。

惚れたら最後、何十年経っても忘れられない男になる。

厄介なひと。