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本は一目惚れで選ぶもの

先日、本屋をぷらぷら歩いていたら、こんな本が目に飛び込んできた。


タイトルが興味を引くのはもちろんなんだが、ぼくが何より目を引かれたのは

イラスト

である。

このイラストは、本書に登場するいろんな場面が描かれている。


最初はごちゃごちゃしているため、賑やかな印象をうけた。

色の種類がおおく、ぱっとみ派手に見える。しかしよく見ると、一色一色の彩度をおとして、落ち着いた印象を与えているのだ。

だから、目が疲れない。上品さすら感じられる。

さらに、一つの絵で色んな冒険をさせてくれるわくわく感も味わえる。



ぼくは、本屋にいって表紙のデザインに一目惚れしたものは必ず買うようにしている。

それは、経験上表紙が気に入った本はたいていおもしろいから。

今回の本もまさにそう。このイラストがすごく気に入った!
まさに好み。


そうしたら、自然とこのイラストは誰が書いているんだろうと気になってくる。

本の後ろをぺらぺらめくってみると

あった、これだ。


北澤平祐(きたざわへいすけ)。イラストレーター。

オフィシャルサイトを見てみたら、北澤氏が過去に担当した装画がたくさん載っている。

どの本のイラストも多くの色を、彩度を落として、上品に、わくわくさせるような絵を描いている。

これが、北澤氏の特徴なのだろう。


その中で、見たことがある装画があった。

この本も、表紙一目惚れして即買いしたやつだ!!
そして、内容もめちゃおもしろかった。


もうひとつ。

深緑野分さんの小説は好きで、新作が出るたびに買っている。

たしかに今みると、北澤氏特有の色使いだなとわかる。おしゃれ。

知らず知らずのうちに、目に留め、買っているもんなんだな。


***


なぜ、表紙が気に入った本はおもしろいのか。

それは、装画と装幀の制作過程にある。


今回の本では、写真のとおり

装画:北澤平祐
装幀:新潮社装幀室

となっている。
装画は、出版物の内容をしっかり読み、吟味し、その上でイラストなり写真なりを用意する。
次に装幀家が、用意されたイラストを用い、表紙全体のデザインを考える。文字の配列やフォント、はたまた紙の質まで。

つまり、表紙に本の内容、おもしろさが凝縮されているのだ。

だから、装画や装幀のセンスと自分のセンスがマッチした本はおもしろい。
自分の価値観に近いから。


***


本を表紙だけで選ぶことのメリットは他にもある。
おもしろい本である確率がたかいだけではない。

それは、表紙が好きかどうかで選ぶので、普段は読まないようなジャンルの本に出会うことができるというメリットだ。

普段、本屋に行ったりしてもついつい同じジャンルばかり見ていないだろうか。
いつもおもしろい本を探している人にとって、そんな状況を打破できるのだ。

表紙のデザインが気に入ったものを探すだけで、読書の幅を広げることができる。すごくカンタンで良い方法だと思う。


ぜひ、本屋に行ったらお気に入りの表紙を探してほしい。

さらに、装画、装幀は誰が行っているのかにも注目してみるとおもしろいかもしれない。

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