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「原神」を1年やり続けて感じたファンベースマーケティングの上手さ

こんにちは、Synamon COOの武井(@yktk68)です。
今回は、Synamon Advent Calendar 2022の18日目の記事になります。

今年のSynamonのアドベントカレンダーのゆるテーマは「推し」ということで、僕がこの1年ずっとハマっているゲーム「原神」について書いていきます!

僕は元々それほどゲームはやらないタイプで、飽き性なのもあっていつもはハマっても1、2ヶ月程度で辞めてしまうのですが、原神だけは始めて1年くらい経っても全く飽きる気配がありません笑
なんなら、最初に始めたきっかけも「モバイル端末で動くキレイなグラフィックがどの程度か知りたい」という業務目的だったので、正直こんなにハマるのは完全に想定外でした笑

原神を知らない方に向けて、概要をざっくり記載するとこんな感じです。

・オープンワールド型のアクションRPGゲーム
・ワクワクする世界観や続きが気になるストーリー
・数多くの魅力的なキャラクター
・アニメ調のハイクオリティなグラフィック
・キャラを切り替えながら戦う軽快なアクションのバトル
・最大4人までのマルチプレイも可能
・PCやプレステ、タブレット、スマホなどマルチデバイス対応
・中国のゲーム会社miHoYoが開発

これだけ見ると、ぶっちゃけ最近のよくある人気ゲームという感じで、「なんでそんなにハマるの?」と疑問に思う方も多いかと思います。

そこで、今日は少し視点を変えて、「ファンベースマーケティング」の観点から原神の魅力を紹介していきます!
ちょうど最近ファンベースマーケティングの本を読んでいて、「あれ、原神の運営ってファンベースマーケティングを物凄い精度で実行してるのでは!?」とビビッときたのです。

ファンベースとは、「ファンを大切にし、ファンをベースにして、中長期的に売上や事業価値を高める考え方」であり、ファンベースカンパニーのさとなおさん(佐藤尚之さん)が提唱する手法です。

ファン化を促す方法として、基礎となる共感・愛着・信頼や、コアユーザーを生み出す熱狂・無二・応援といった感情を軸とした活動が掲げられています。

https://www.fanbasecompany.com/about/index.html


今回の記事では、それぞれの軸で原神が根強いファンから支持され続けている理由を深掘りしていきたいと思います!


共感:既存ファンを喜ばせる数多くの施策

1つ目は、企業や作品が大切にしてる価値自体を上げる「共感」の軸です。

ざっくり言うと「そうそう、この作品のこういう部分が好きなんだよ!」となる共感ポイントを増やすというのが共感に関する施策になるのですが、原神はファンの心をくすぐるマーケティング施策がめちゃくちゃ上手いです。

例えば、原神は公式がYouTubeで定期的にPVをアップロードするのですが、このPVのクオリティがヤバいのです!
新しいマップが追加された時には、そのエリアの世界観やストーリー、新キャラクターの魅力を存分に紹介するPVを出してくるため、「うわー、早く冒険してみたい!」となることがとても多いです笑


また、直近のるるぶとのコラボ企画なんかも、ファンのツボをガシガシと刺激してきます!

「なぜ、るるぶ?」と思うかもしれないですが、原神は「テイワット」という世界にある7つの国を旅をしながら世界の謎を解き明かしていくことがメインストーリーとなっており、各プレイヤーのことを「旅人」と呼んでいるのです。
つまり、ゲームやアニメの雑誌ではなく「旅行雑誌のるるぶ」とのコラボであることが、旅人である僕らからすると「ホントにファンのことをよくわかってるぜ!」となるわけです笑

このように、原神はファンの好きなポイントをよく理解し、さらに共感を促す仕掛けをマーケティング面でも数多く実施しているのです。


愛着:他に代え難いと思える魅力的なキャラ達

2つ目の愛着の観点では、推しのキャラを生み出す施策が秀逸です。

まず、実装されているキャラクターは基本的にメインストーリーやイベントストーリーに登場するので、なんとなく好きだなというキャラが見つけやいと感じます。
さらに、各キャラクター毎の深堀りをする個人ストーリーも存在するため、キャラクターの性格や価値観を深く知る過程で、自然と推しのキャラが出来てきます

僕の場合は「甘雨」というキャラが推しなのですが、初めて引いた星5キャラであり、真面目なワーカーホリック気質で人とのコミュニケーションが少し不器用みたいな設定に勝手に親近感を覚えて好きになりました笑

https://genshin.hoyoverse.com/ja/character/liyue?char=11

また、原神の運営の芸が細かいなと思う点ですが、各キャラクターには誕生日などもしっかり設定されており、なんと誕生日にはゲーム内で各キャラクターからメッセージが届きます笑

各キャラの誕生日にメッセージが届く

さらに、SNSでも公式アカウントからオリジナルイラストが公開されるなど、推しを拡散しやすい仕掛けとなっています。

こうした細かい施策の積み重ねで一度推しのキャラができると、次は推しを強くしたいという欲が出てきて、育成を進めるうちにさらに愛着が増すというサイクルが生まれます(育成については後ほど「無二」の項目に詳細を書きます)


信頼:ファンの期待を裏切らない誠実な運営

続いての信頼というテーマですが、ファンの支持を強くするためには、価値の提供元である企業に対する信頼が大切になります。

例えば、原神はアップデートの頻度を公開しており、現在は5週間毎にアップデートがされています。毎回のアップデートでは、ほぼ必ず新キャラや新アイテムが実装され、大型のイベントなども実施されています。

https://genshin.hoyoverse.com/ja/news/detail/22774

この頻度で、このコンテンツ量を毎回アップデートするのは、運営は(良い意味で)頭がおかしいのでは?と言われるくらいなのですが、ファンとしては運営がこの更新ペースを維持してくれるから飽きることが無いという安心感があります。

また、運営型のゲームではアップデートの際に特定のキャラにマイナスとなる実装がされてファンの反感を買うようなことが避けがたい印象ですが、原神の運営はこの辺りの対応も誠実です。
過去に、鍾離というキャラが実装された際に、ストーリー上の重要キャラの割に想定よりも弱いスペックだったことでファンから大きなクレームが起きたようですが、運営がファンの意見を聞いて改善した結果、今では鍾離は原神内でも最強キャラの一角となっています。

このような誠実な運営によって、ゲーム自体のクオリティだけでなく、運営企業に対する信頼感も作品をより好きになる気持ちに繋がっていると感じます。


熱狂:それぞれの価値観で楽しめるやり込み要素の多さ

ここからは、ファンをより支持が強いコアファンに変える3つのアップデート施策について見ていきます。

共感のアップデート施策である熱狂については、それぞれの価値観に沿ったやりこみ要素の多さが挙げられます。

例えば、ストーリーが好きな人には各地域毎に「世界任務」というサブストーリーがたくさん用意されているし、探索が好きな人には探索度に応じてアチーブメントがもらえる仕組みもあります。
また、バトルや育成が好きな人には深境螺旋という高難易度コンテンツがあり、収集が好きな人には塵歌壺というハウジング機能や、最近実装された七聖召喚という原神内のカードゲームまで用意されています。

正直、1つ1つのボリュームが多くて、全部を100%まで到達するのは不可能だと思えるくらいにはやり込み要素があります笑
原神は誰かと対戦やランキングなどがあるわけではないので、ある程度までメインストーリーを進めた後は、それぞれの価値観で自由に楽しみを深めていける点が魅力的だと感じます!

また、原神には「HoYoLAB」という運営公式のファンコミュニティサイトが存在し、ファンアートやゲーム内の活動レポートなどを公開できるようになっています。

ファンサイト上で運営主催のイラスト募集コンテストなども実施されている


こうした活動を通じて、コアファンは運営とユーザーという関係性を超えて、ともに原神を盛り上げる身内に近い存在になっているように感じます。


無二:育成で推しが唯一の存在になる

共感のアップデート施策である「無二」については、キャラクターを育成しているうちに唯一無二の推しになるという要素が大きいと思います。

具体的には、原神にはキャラを強くする要素として、キャラ自体のレベル以外にも、武器のレベル、聖遺物(装備品)のレベル、天賦(スキル)のレベル、ガチャでのキャラの凸数といった変数が存在しています。
各キャラクター毎にモチーフとなっている武器や相性の良い聖遺物が存在しているため、推しキャラを強くするために、そうしたアイテムを頑張って集めることになります。
※特に聖遺物の厳選はまじできついです笑

また、それぞれの要素を最大まで強くしようと思うと、終盤に物凄い量の素材やゲーム内通貨が必要な設計になってます。
例えば、キャラレベルの場合、最大レベルが90になってるのですが、レベルを80→90に上げるのに必要な素材は、レベルを1→70まで上げるのに必要な量と同程度になってます笑

レベル上げに必要なゲーム内通貨の量

1年やってる僕も最推しの甘雨しかレベル90までは上げれていないですし、攻略サイト等でも「コスパを考えるとレベルは80で止めるのがオススメ」と書かれてる場合も多いです。
しかし、逆にいうとそこまでの手間暇をかけて最強まで育てた推しキャラには相当の愛着を持つようになり、もはや無二の存在といえるレベルまで昇華されるのです笑

ちなみに、ソシャゲだとガチャをたくさん引かせるために、新しく実装されたキャラの方が過去キャラよりも圧倒的に強く、せっかく育てたキャラが使えなくなるみたいなインフレ現象が起きやすいですが、原神はキャラのバランスが非常によいため推しキャラが使えなくなるみたいなことは今のところほとんど無いです。
むしろ、定期的に推しキャラがピックアップとしてガチャに登場するため、推しの凸を進めて更に強くするべくピックアップのタイミングでつい課金をしてしまうということがよく発生しますw

さらに、リアルなお店とのコラボも定期的に実施しており、推しへの気持ちを存分に表現できる施策を行っている点もさすがだなと感じます。


応援:配信者を含めてみんなで楽しめる仕掛け

最後は信頼のアップデートである応援ですが、ファンベースでは人が応援するのはモノやコトではなくヒトであるため、中の人が働く様子を積極的に発信していくことが大事と言われています。

実際に、運営公式のYouTubeでは、開発スタッフがどのような思想で開発を行っているのかを紹介する動画も公開されており、制作過程を見せることでファンからの信頼を高める施策をきっちり実施しています。


さらに、原神では配信者の方々の発信も応援を促進する要素になっているなと感じます。
You Tubeを中心に、数多くの配信者がキャラクターの解説動画やパーティ編成の考察動画などを配信しており、そうした動画を見ることで原神を楽しむ人が自分以外にもいるんだという安心感にも繋がっている感覚があります。

僕がよく見てるマグロヘッドさんは、いつもめちゃくちゃ楽しそうに原神の解説をしてるので、見てるこちらまでマグロヘッドさんがおすすめするキャラをつい試してみたいなとなります笑

他にも、Somenさんのデータに基づくロジカルな解説はキャラ育成の参考になりますし、凪さんが色んな方とコラボで原神クイズをしてるのを見ると一緒に参加してる気分になります笑


僕は直接会う会社の同僚や友人には原神をやってる友達があまりいないのですが、こうした配信者達の存在によって自分ひとりがハマっているのではなく、みんな原神が好きなんだなぁと思えて、原神を応援しようという気持ちが高まってます笑

原神に限らず最近のゲームでは配信者の存在は非常に大きくなっている印象ですが、運営のみではなく応援してくれるコアファンと共創型でコンテンツを育てていくという姿勢が重要なんだなと強く感じます。


まとめ:原神はいいぞ!!!

ファンマーケティング視点で原神の魅力を書いてきましたが、たぶん原神の魅力の1割も伝えられていないような気がします笑

冒頭お伝えしたとおり、僕はあまりゲームをやらないタイプの人間なので、特定のゲームにハマった後に熱が冷めると、時間とお金を無駄にしてしまったと感じることが何回かありました。
ただ、原神はすでに1年近くやってますが、全然無駄なことをしてる感覚はないですし、むしろこのゲームに出会えて人生が豊かになったなという感謝すら感じてます笑

まだ、メインストーリーではゲーム内にある7つの国のうち、4つ目までしか公開されておらず、少なくともあと数年は楽しめる作品なので、今から始めても全然遅くないと思います!
気になっていたけどまだやれてなかったという方は、ぜひ年末年始のお休みにトライしてみてください笑!

新たな旅人の誕生をお待ちしています!

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