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引き受けるー手放す の先へ

今の地に移り住み、地域おこし協力隊として活動していたころは、「地域の中でどんな役割を担えるか?」をよく考えていた。労働への直接的な対価が発生するかしないかに関わらず、何かしらの役割を担うことで、地域社会の一員になれると考えたからだ。

もちろん、なんでもかんでも引き受けていたわけではないが、なんとなく良い空気を感じる依頼については、できる限り引き受けてきた。そのおかげで少しずつ、つながりが育ってきた。

一方、家庭内では子どもが増え、仕事の面では法人を立ち上げて自営になり、と環境や状況が変わっていくうちに考えることが変わってきた。「地域の中でどんな役割を担えるか?」という問いは持ち続けているのだけれど、それと同時に「自分が本当にやりたいことは何か?」ということを繰り返し考えるようになった。

一生懸命、名前を考えたという点で、法人も自分にとっては子供みたいなもので、すくすく育ってほしいと思っている。現在は、外部からの委託事業を中心に回しているが、やっぱり法人としての個性というか主体としての自主事業をもうちょっとちゃんと育てていきたい。

もちろん、時間も自分のエネルギーにも限りがある。そうすると、新しいことを始めるためには、今まで引き受けていた役割の中で手放さなければいけないものが出てくる。うまくバトンを引き継げる人がいればいいが、そうした相手がなかなか見つからないのが少子高齢化・人口減少が進む地方では普通だ。関わっている人からは「あなたがいなくては困る」「ほかにできる人がいない」と言われる。しかし手放さなければ、自分が困るのだ。

そうすると、自分が担ってきた役割というもののあり方自体を考えることになる。
「この仕事はどうしても誰かがやらなければいけないのか?」
「ICTを使って、仕事を自動化できないか?」
「そもそも、この役割を必要としないシステムはできないのか?」

引き受けてくれる相手がいない、あぁどうしよう…と悩むのではなく、考え続けること。日々、考える力が試されている。

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