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透明な水はどう塗るの?

先日、小1の娘が宿題で困っていました。
机の上に広げていたのは、文字の練習帳。毎日、少しずつひらがなの練習の宿題が出ています。
「お手本のようにうまく書けん」といつも困っているのですが、覗き込んでみると、苦労して一通り字は書き終えていました。

それなのに、何が困っていたかというと、挿絵の色塗りです。
娘が使っている文字の練習帳には、「おわったら、いろをぬりましょう」と練習をした字に対応したイラストが添えられているのです。
娘が困っていたのは、「ふろ(風呂)」の色塗りでした。
娘曰く、「お風呂の水は透明でどう塗ったらいいかわからん」と。

透明な水はどう塗るの?

練習帳は消しゴムで消した跡がたくさんあり、すでに字の練習にかなり時間をかけて取り組んでいました。
さっさと終わらせて楽しく遊んだらいいのに、と思い、「水やけん、水色でぬったら?」と軽く提案すると、「やだ、透明やもん」と返ってきました。

「でも、バスボム(入浴剤)を入れたら、青くなったり緑になったりするやん?」と言っても、「やだ、透明やもん」の一点張り。

彼女はもともと絵を描くのが好きで、時間があるときは一人で絵を描いたりしていることもあります。
もしかしたら、挿絵の色塗りというのは、彼女にとってはおまけではなく、むしろ文字の練習よりもこだわりたいことなのかもしれません。

「透明な水はどう塗るのか?」という問いは、彼女にとって一大事なのです。さて、どうしたものか…。

共通の体験から解決の糸口をさぐる

私は、彼女と一緒にお風呂に入ったときのことを思い出しながら、ポツポツと話しました。

私:「えーっと、まず…どう塗ったらわかるとこから塗ろうか?お風呂の水をためるこの周りのとこ(浴槽)、ここは何色?」
娘:「銀色。えっと銀は…」(銀色の色鉛筆を使うことは限られているのでちょっとうれしそう笑)
私:「そうやな、銀色やな。塗って塗って~」
娘:(塗る)
私:「ほいで、お風呂に入ってる人は何色?」
娘:(無言で肌色を塗る)
私:「そうやな、肌色やな。髪の毛は…うん黒やな。それじゃあ…お風呂の水は…透明なんよな?」
娘:「透明!」
私:「透明っていう色鉛筆は無いな。うすく白を塗ってみる?」
娘:「違う、白やない」
私:「うん、白やないな。そしたら…透明か。…透明っていうことはどういうことなん?」(聞きながら自分も考えている)
娘:「う~ん…」
私:(しばらく待って)「透明ってのはさぁ…向こうが透けて見えるってことじゃない?ほら、ガラスとかみたいに」
娘:「うん!」
私:「で、お風呂の水も透明なんよね。自分がお風呂につかったら…これ…自分のおへそとか脚とか見えるんよね?」
娘:「…見える」
私:「ほしたら、水の向こうが見えるように塗ったらいいんやない?」
娘:「おぉ、ほしたら、ここは銀で…ここは肌色…」

そんな感じでお風呂のイラストを無事、塗り終えました。

どういう風に伝えれば、子ども自身が納得できる答えを見つけられるか。
日々、試行錯誤です。







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