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ファンシードブネズミよ、もっと感謝してくれ

我が家には一匹のネズミがいる。名前は、ちょろ丸という。ファンシーラットというネズミである。

毎日エサと水をあげて定期的に小屋の掃除もしているし、こちらから挨拶もしているのに、ちょろ丸が私に対して全然感謝しないことがすごく不満だ。もっと感謝してくれてもいいし、もっとフレンドリーに接してほしいものである。


ファンシーラットは「ファンシー」の響きの可愛らしさで誤魔化しているが、いわゆるドブネズミを家畜化したネズミだ。ファンシーでキューティーでドリーミーな新種のネズミということではない。ただし、家畜化する過程で人に懐きやすい個体同士を交配することで、よりペットとして扱いやすくなるよう改良されているという話だ。寿命は約2~3年といわれている。

我が家のちょろ丸は、体長は約20cmほどあり、ニョロリと長い尻尾が生えている。子猫くらいのサイズがあり、子猫よりも重量感がある。
ちょろ丸が野生ドブネズミと違うところは、毛の色が薄いベージュの色であること。私はミルクティーカラーと呼んでいる。会社員じゃなかったらこういう髪色にしてみたいものである。

ちょろ丸とは爬虫類を扱うペットショップで出会った。蛇などの爬虫類はエサとして冷凍のひよこやネズミを食べる。その店ではエサとなる冷凍ネズミを売っているが生きたネズミ(生ネズミ)も売っていた。ちょろ丸はその中にいた。

十数匹の子ネズミが入ったボックスの中に手を入れると、子ネズミ達は興味津々で私の手に寄ってきて各々好きな指を甘噛みした。だけど一匹だけボックスの角から動こうとしない不愛想な子ネズミがいた。それがちょろ丸だった。私はその不愛想な子ネズミを連れて帰った。


あれからもうすぐ2年。人間に置き換えるとかなりジジイになっているちょろ丸。本当にペットとしての改良をされたのかというくらい不愛想なちょろ丸。軽く撫でることはギリギリ許しているようだが、持ち上げるのはご法度だ。何度もチャレンジしたけど絶対に怒る。

他のファンシーラットの飼い主のブログを見ていると、肩に乗って大人しくしていたり、撫でるとお礼に指をなめてくれたり、くるりと回ったりする簡単な芸が出来る個体までいるらしい。我が家のちょろ丸には、その気配が一切ない。

冬の寒さ対策で用意したフリースの毛布は小屋に入れた翌朝にはビリビリに引き裂かれ、ふかふかクッションは中の綿を全て取り出し小屋の壁面に断熱材のように貼り付ける職人技を見せる。ほかのファンシーラットは、可愛い柄の毛布にくるまってすごくファンシーなのに・・・。

でもそれでいいのだ。夜になるとカリカリとエサを食べる音が聞こえる。その音を布団の中で聞くのがすごく良い。今日もエサを食べている。動き回っている。

君は全然ファンシーじゃないけれど、それでもいいじゃないか。人ん家のネズミと比べなくたっていいんだ。健康に過ごして寿命を全うしてくれればそれでいい。蛇のエサになってたかもしれないということなど、君は知らなくていい。暖かいペットヒーターの上でダラけてくれればそれでいい。私に言われなくてもそうするだろうけど。それでいい。



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