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最近読んだ作品

某ゲームを再開した流れで近代文学が多い

美男子と煙草/太宰治
これが私小説、という定義がストンと腑に落ちた作品。敵対視しているものがあの辺りなのだろうな、とわかるのが面白いような気恥ずかしいような。そういう、自他が抱えているであろう感情を昇華する太宰作品はすごいなあと思う。
あと「これはあの人モデルかもしれないな」となんとなく予想してしまうのも面白い。この話然り、秋風記のK然り。

春は馬車に乗って/横光利一
美しい文章とはこの文章を言うのかもしれない。今でさえとても新鮮で、発表された当時の読者にとってはさらに青天の霹靂だっただろうな。
自分がちょっとした病と付き合うことになって以来、なんとなく病床を描く作品を手に取ってしまう。最後の花を抱く、花と人の生死が隣り合う描写に圧倒される。

私は海をだきしめていたい/坂口安吾
タイトルだけぼんやり知っていて、今回初めて読了した。最後の場面で女生きてた!!!!良かった!!!!!!!!とホッとすると同時に大海原の広さと寂しさが押し寄せる、そんな感覚を抱いた。

檸檬/梶井基次郎
書店の売り場を荒らすのは良くないと思う。

妖婦/織田作之助
『文豪エロティカル』という文庫アンソロジーの収録作品。路地を駆けていくような、どんどん読み進めてしまうこの文豪の作品がとてもすきでいる。
所謂オチに当たる結びは当時としては庶民的な、よくある話だったのかもしれないけど「そうだったの!?」と度肝を抜かれた。

海の中にて/菊池寛
読んでいる間も読了後もわりとしんどかった作品。読みにくいわけではなく…よ、良かったね…?と安堵しつつものすごく胸をしくしくさせながら裏表紙を閉じた。若気の至りは恐ろしい。

斜陽/太宰治
誰の目にも見えている、それでいて恐ろしく静かに進行していく「没落」に息を呑んだ。これで斜陽族という言葉が流行ったのか…と納得するような不思議なような、でも今だって何が流行るかわからないところある。サカバンバスピスとか。

猫町/萩原朔太郎
ネコチャン!!と手に取ってみたもののちょっと怖かったし、この主人公は美味しいもの食べてゆっくり寝た方が良いと思った。でも、本当に猫町はあるのかもしれない…とぞくりとさせる文だった。

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