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最近読んだ作品2

きんどるくんが欲しい今日この頃

〆切本/左右社編
〆切本2/左右社編
近現代の作家、漫画家の〆切にまつわる散文や書簡がまとめられたもの。真面目に論じている人からそれっぽい理屈で逃れようとする人まで、性格が垣間見えて面白かった。
お客が来たから仕方ない、と述べる志賀直哉と遅れてすみません(平謝り)、でも原稿料は早めにもらえると嬉しいです、と書いてる小林多喜二が良かった。

城の崎にて/志賀直哉
温泉行く前に読み直してみよう、という。暗夜行路も今ちまちま読んでいる。
中学か高校の国語に載っていて、当時の先生がすごく熱意をもって語られていたのが印象に残っている作品。3種の生き物の死因が皆異なっていること、そのいずれもに主人公が同じで違う「静か」を抱いているのがこの話の妙だ、とそんな授業だった。
何の気なしの投石で生き物が死んでしまった時の愕然が、大袈裟な描写でないのに脳裏に焼きついてしまう。最後の一文もすき。
でも当時は遅かったとはいえ山手線に撥ねられてぴんぴんしてるってすごすぎるだろう。

防雪林/小林多喜二
不在地主/小林多喜二
そういえば読んだことなかったプロレタリア文学。だいぶ前に蟹工船が流行ったなあ、くらいの知識。
ふつーの人(北海道開拓使とその二世)の営みと、その中に敷かれている理不尽と、それに対する自然に生じた&手探りの蜂起がリアルだった。北海道の人なんだな…。
私は特にこれ、という支持や思想信条はない(…というマクラをつけるのもなんだかモヤるのだけど)。一方で、ふつーの人の苦楽を描くこの文学はすきだなあと思った。思想でなく文学なんだなという。説明が難しい。

父の縁側、私の書斎/壇ふみ
火宅の人のあとに読んだ。おうちの話や女優さんの話、坂口さん(坂口安吾)が居候してたときの話と、いろいろな話題をぽつりぽつり振り返る文章がすてきだった。

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