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片付かない部屋【花や古道具日記】

花と古道具を扱う店で働く私が営業中にふと考えたこと

朝掃除したら許容度が上がる

出発前の30分を使って、掃除をした。

飛び出した衣服をしまって、化粧道具などを洗面器の下に詰めて、
棚の上を水拭きした。

色々と忙しい朝の時間に、
それでも掃除をしてみると、
今日どんなことが起ころうと、大丈夫だと
緊張がふっと緩んだ気がした。

家に帰ってみると、いつもより片付いて
こざっぱりした部屋が少しさみしかった。

もしかしたら、この寂しさを癒すやめに、
ものを増やしたり、片付けずに煩雑な状態のままに
しているのかもしれない。

本物ってなんだろう

骨董は貴重なものほど、贋作が存在する。
店で、骨董や美術品を買い取るときも、偽物でないかを注意深く査定する。

今でこそ贋作と聞けば、
価値のないものを高値で売るためのマイナスな印象があるが、
一昔前まで、見知らぬ土地の優れた器を模倣して技術を習得していた。

なので、偽って売ることを目的としていないものもある。

それ自体が、与えられた情報(年代、土地、作者など)と合致するものなのかは、鑑定書によって判断される。
プロによって、それが確かであると確認された証拠である。

素人が、真偽を見抜くのは難しい。
そのときに、
「本物って何?」
と迷宮に入りそうな疑問に出会った。

見抜けないなら、そこに真贋は存在しない。
必要なものは、価値基準を持つこと。

目の前に存在するそのものではなくて、
創作にかけられた時間や、苦悩。
そして、生きてきた時代に価値を置くからこそ、
本物であるという価値だあるのだと思う。

だから、家賃半年分ぐらいになりそうな値段が、
器や絵につくのだろうな。

手足になるまで

働きたての職場は、使いたての編集ソフトみたいな違和感があるものだ。

部活でなかなか側転ができなくて、
次第にできないことに苛立ち始めて、
半分泣きながら、体育館を側転で一周する練習をしていた。

できないことを目の前にすると、
まるでそれが世界の中心のように意識が取られるが、
明日になれば昨日のことが嘘のように普通にできるようになっていたりする。

人間っておもしろい。
私にとってできる瞬間はいつも、ふとした瞬間だった。
みんなもそんなものだろうか。

いつしか、神経が繋がり
手足のように動かせる。

それには時間が必要なんだ。

仕事も神経が繋がるまで。続けてみよう。


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