見出し画像

「便利」ってなんだろう?

SNSやインターネットで簡単に世界と繋がることができる昨今。
世界の協力隊員とも、簡単に繋がることができる「便利」な世の中だなと思います。

そんな中で、ときどきアジアや南米派遣の隊員たち、あるいは日本に住んでいる人たちから言われるのが
「アフリカは電気や水、ネットが不便で大変だね。」
「同じ協力隊なのに、電気や水環境が整っていて、ごめんね。申し訳ない。」
というような言葉。

果たして、この環境は「不便」で「ごめんね」と言われ、ちょっと言葉を変えると「かわいそう」とも言えるような環境なのでしょうか?


インフラの実際のところ

たしかに、雨季やスコールのような大雨が降った場合、
停電が頻発します。雨季はとくにそれが長時間続くことも。

乾季は特に、水不足で、水道会社からの水の供給が止まったり、
井戸の水が底をつきそうになったりします。

そもそも天候や季節は関係なく、
会社の運営も技術も日本のようにしっかりしていないので、
それによる電波障害、停電、断水も当たり前。

国による計画的な断水・停電もあり得ます。

それが当たり前で、
こちらが「今日電気ある?」「最近、水ある?」と聞けば
みんな「いや、ほんとに最近ひどいよ」なんて話もするけれど、
それも日常茶飯事すぎて、
日常会話の中ではそんな話題にすらなりません。
むしろ「C'est Bafia」「C'est la vie」
「これがこの街さ!」「こんなもんさ!」
みんなそうやって生活しています。

この状況は、「不便」で「かわいそう」なのか?

たしかに、水が十分にあれば、できることはたくさんあります。
電気があれば、夜も明るいし、いろいろな機械も使えます。

でも、そもそもそれが十分にはないから、それが安定していないと困るようなものは、この街にはありません。
事務所には所長が使うパソコンしかないし、学校にはパソコンも印刷機もテレビだってない。
FreeWi-Fiなんてものも、この街にはありません。

たしかに、人間らしい最低限の生活を送る上で必要な
安全安心な水の供給や、安定した電気の供給はSDGsなどでも掲げられていますが、
それでもこの国の奥地に比べたら、きっと整っている方。

私も、この国ではそういうものだと思ってここに来ました。
水に関しては、初めのころは苦労したものの
「困った、どうしよう」と思うことはあっても
「不便」と思ったことは一度もありません。

当事者は、「不便」とは思わないけれど
外から見た人は「不便」と思う。そういう状況かと思います。


「不便」とは?

そもそも「不便」とは何なのか?
「便利ではないこと。都合の悪いこと。またそのさま。」とデジタル大辞泉にはありました。

では「便利」とは?
「目的を果たすのに都合のよいこと。重宝で、役に立つこと。」とありました。

「便利」「不便」とは、物事や目的を果たす「人」の価値観で決まるものなのかもしれないです。
そう考えた時、少なくとも、今の私にとって、ここでの、ときどき電気も水もない、電波も良好ではない生活は「不便」ではありません。


それは、当事者が感じるもの

物がある程度揃っていて、消費者が取捨選択できる日本のような世の中では、より役に立ち、効率的であることが求められがちです。
だから「便利」「不便」といった価値付けがされる。

でも、そもそも、何もないところでは、比べるものもなく、この環境が当たり前。
ないものはない。みんな、あるものでなんとかする。

むしろ、「ある」環境下にいたことがなければ
「ない」とも思わないし、「不便」というネガティブな価値も生まれないのではないかと思います。

「便利」か「不便」か
それは、その環境下にいる人が感じるものであって、
そこにいない人に勝手に「不便だ」と言われたくないな…
と私はちょっと思ってしまいました。

でも、電気や水が安定して当たり前に手に入る環境下にいる人にとっては、
それがどの程度であるか、や、それが安定しない状況がどんなかは知る由もなく、
ただ「電気や水、電波がかなり安定していない」という事実だけを知って、
「不便だな」「なくて大変だね」となるのかもしれません。

きっと、カメルーンでのこの生活を知る前には、
私もそんなふうに考えていたかもしれません。

実際に、その経験をしてみないと、現地の人の見方や考え方は
分からないなと改めて感じました。
そして、少なくともこの環境は「かわいそう」ではないし、
私にとってもここで生活する人たちにとっても「困る」ことはあっても
なんとかする術はあるから「不便」ではないということは、たしかです。


と、文章を打っているうちに、今日も停電に。
パソコンの充電もそろそろ限界。
パソコンでしなければいけいこともあるけれど、
今日はもうできないなぁ。
でも、明日の朝には電気が戻っていることを願って、今日は電気がなくてもできることをしようと思います♪


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?