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第1~3期アローバース 感想

第一作『ARROW / アロー』の放送が開始された第1期から、第二作『THE FLASH / フラッシュ』の放送が開始され、アローバースが本格的にシェアード・ユニバース展開を始めた第3期までをふりかえる。


『ARROW / アロー〈シーズン1〉』感想

お気に入り度:★★★★★ 5 / 5 

漂着していた絶海の孤島から救出され、5年ぶりに故郷の街に帰還したオリバー・クイーンが、死んだ父の遺言を果たすべく、正体を隠し、島での生活で得た高度な戦闘技能をもって、街に巣食う悪人たちに裁きを下し始める。

主人公が超常的な力ではなく鍛えた肉体と弓矢を武器に戦う、ダークナイト三部作のような暗く現実味のあるヒーロードラマ。主人公 オリバーがヒーローとして犯罪者と戦う現在の物語と並行して、オリバーが絶海の孤島に漂着した5年前を舞台にした過去の物語も描かれていく。

一部の者が悪事で私腹を肥やし、その隅で貧しき者が犯罪に走る。『アロー』が舞台とするのは、希望が閉ざされた世界だ。悪を罰するヒーローであるオリバーも、見方を変えれば殺人鬼である。そんなオリバーだが、戦いの中で徐々に本当のヒーローに近づいていく。その様に胸を熱くさせられた。

最終話は衝撃的だった。特撮番組もアメコミヒーロー映画も沢山観たつもりだが、あんな光景は観たことない。果たしてオリバーはどこまでヒーローとして成長できるのか。新しいヒーロー叙事詩の始まりを感じられた。

『ARROW / アロー〈シーズン2〉』感想

お気に入り度:★★★★★ 5 / 5 

殺しも厭わない過激な戦い方をしながらも、街を守りきれずに大勢の犠牲者を出してしまったオリバーは、後悔から殺しを禁じ、悪を罰するより人々を救う為に戦うことを誓う。そんなオリバーの前に、かつての宿敵が現れる。

シーズン2のオリバーは、情緒不安定気味で、心の穴を埋める為かしょっちゅう女と寝ている。主人公が前シーズンとは別方向にダメ人間を拗らせているわけだが、真っ当にヒーローを目指し始めたこともあり、シーズン2はヒーロー活劇としては痛快さに満ちていた。

シーズン2では現在編も過去編も、デスストロークことスレイド・ウィルソンが最大の敵を務める。それだけあって、どちらの話も同じくらい内容が濃い。並行して描かれていく現在と過去の二つの戦いに手に汗を握った。特に最終決戦は、現在と過去を行き来して描く構成を活かしに活かしていて、最高の時間だった。

過去にオリバーに「殺す」という手段を取られたことで一層脅威を増して現在に現れたスレイド・ウィルソンのキャラクター特性は、敵を躊躇なく殺していたことを悔いる今のオリバーが相対するのにこの上なかったと思う。

シーズン2は、謎めいた暗殺者集団 リーグ・オブ・アサシンや超能力を持った存在が出たりと、世界観の拡充っぷりも面白かった。先の読めない展開と、痛快なヒーロー活劇に加えて、現実的な世界観がアメコミ的な世界観に変貌していく物語には、それまでに体験したことのない興奮があった。

『ARROW / アロー〈シーズン3〉』感想

お気に入り度:★★★・・ 3 / 5 

犯罪に絶えず脅かされる街を守る為に自分は〈アロー〉としてのみ生きるべきだと思いつめるオリバーに、暗殺者集団の首領 ラーズ・アル・グールの魔の手が忍び寄る。

シーズン3では以前より存在が仄めかされていたラーズ・アル・グールが遂に姿を現す。〈オリバー・クイーン〉と〈アロー〉という二つの顔の狭間で苦悩するオリバーからどちらの顔も剥奪し、自らの跡継ぎにせんとするその姿は、「アイデンティティ」を主題としたシーズン3において象徴的で興味深い存在だ。

反面、ラーズ・アル・グールは言動の奇天烈さが目立つ。加えて、作中一番の大物のはずが油断が多く、結構な頻度で主人公側に好機をくれる。どうにも脚本に都合の良い存在で、人間的な魅力は感じられない。敵役としては、オリバーに昔と変わらぬ友情を抱きながら、過去の悲劇に囚われてラーズの下僕と化したマセオ・ヤマシロの方が魅力的だったと思う。

脚本が推し始めたオリバーとフェリシティのカップルについては、正直全然惹かれない。ローレルをヒロインの座から降ろし、レイに損な役回りをさせてまで推していることに疑問を感じる。一方で、アローに代わってブラックキャナリーとして街を守るローレルや、アロー以上のヒーローを目指してアトムとなったレイの新世代ヒーロー感はとても良い。

世界観を同じくする『フラッシュ』が始まったこともあり、アメコミヒーロー作品らしい世界観への拡充っぷりは前シーズン以上だった。超能力を持った新たなヒーローの台頭や『フラッシュ』とのクロスオーバーなど、『アロー』はシーズン3をもってダークナイト三部作とは異なる個性を手に入れたと云えよう。

『THE FLASH / フラッシュ〈シーズン1〉』感想

お気に入り度:★★★★★ 5 / 5 

事故によって一部の者が超能力を得た街で、自らも超常的な速さを得たバリー・アレンが、悪の手から人々を守るべく疾走する。

アローバース第二弾。アローが陰のヒーローならば、フラッシュは陽のヒーローだ。普通の青年がヒーローに成長していく物語に、主人公の「走る」という能力が相まって、観ていて前向きな気分になれるヒーロー活劇だった。

アクション面は、『アロー』が格闘の達人同士の肉体的な戦いが主なのに対し、『フラッシュ』は超人同士のVFXを駆使した派手な戦いが主。テレビでここまでの映像が観られるとは思わず、目を見張った。喋るゴリラのグロッドの実写化までしていて、感動すら覚える。

『アロー〈シーズン3〉』と連動したテレビシリーズならではのクロスオーバーもとても楽しかった。極めつけは宿敵との決戦にアローが駆けつける展開で、この時ほど盛り上がれた記憶は過去にない。シェアード・ユニバースで先陣を切るMCUでも体験したことのないクロスオーバー体験を味わえた。


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