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『ザ・ループ TALES FROM THE LOOP』感想

『ザ・ループ TALES FROM THE LOOP』(2020年/テレビシリーズ) 
地下に「ループ」と呼ばれる謎めいた研究施設がある田舎町で、人々がループの研究成果によって不思議な体験をしていく。

お気に入り度:★★★★★ 5 / 5 

ロボットや並行世界など、様々なSF的題材を扱ったオムニバス形式の群像劇。だが、SF作品という感じはあまりしない。なぜなら、先端技術や超常現象について、作中で理屈的な解説がされないから。最も重要なループの設定ですら「宇宙の謎を解き明かそうとしている」と大雑把なものである。危険な機械がその辺に放置されているのなんて、どうにもおかしい。

しかし、そんなツッコミは野暮だ。本作が描くのは、恋愛や孤独、劣等感、意地など、普遍的な人間の様である。現実には到底ありえない出来事を通して、現実と同じように生きる人間を描いている。そこからは哀愁とともに「完璧な人生などない」という価値観を感じ取れる。

ある回では脇役の人物が別の回では主役という構成によって、世界観が一層奥深く思えるものとなっていた。また、画集を原作とした作品だけあって、映像は流石美しい。透き通ったような不穏さに惹きつけられた。

ある意味、「人生」も一つの宇宙の謎である。『ザ・ループ』を観たことで、そんな謎について考えてみたりする。

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