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文章を書くときに気をつけること

プロフィールにも書いた通り、このブログの目的は「思考を言語化する規律」を習慣化することである。具体的には、仕事で考えていること、子育てで悩んでいること、あるいは誰かに伝えたいことを、文章に落とし込む習慣を身に付けることである。

ブログを書く以上、誰かに何かを伝えることになる。伝わる記事を書くためには、論理を意識して文章を書く癖を身に付ける必要がある(ここでの論理は「言葉と言葉の関係」という広い意味で用いている)。そして私は論理的な文章を書くことが苦手であるため、論理的な文章を書く癖を身に付けるためにまずは意識的に論理的な文章を書くことから始めなければならないと思っている。

そこで、文章を書くときに気をつけることをあらかじめ宣言しておきたい。

一つ目は、文と文のつながりである。具体的には、ある文の次にくる文がどのような意味を持つのかを説明できるようにすることである。文のつなぎ方は(大雑把であるが)次の六種類あると整理する。解説(イコール)、根拠(因果)、例示(解説と根拠のハイブリッド)、付加(メッセージを加える)、転換(逆のメッセージ)、そして補足(反論への対処)。要すれば、接続(詞)を意識して文章を書いていきたい。

二つ目は、文章の流れ方である。つまり「既知から未知」への流れを持つ文章を意識することである。具体的には、読者の視点ですでに知っている情報から書き、そのあとに新しい情報・メッセージを書く形にする。要すれば、背景説明から始めることを意識する。これは文章単位でも意識していくが、段落単位でも意識していきたい。(尤も日本語には形式段落と意味段落という区分けが存在するため、厳密な意味で段落とメッセージが常にリンクしているとは限らない)

最後に、文章を書く前提として何らかの伝えたいメッセージが存在していることにも触れておきたい。そのメッセージは自分の中で何らかの観点から「おもしろい」と感じているものに限ることにする。そのおもしろさについて分かりやすく説明できるように、上記の点を意識して(論理的な)文章を書いていきたいと思っている。

References:

「既知から未知へ(文章を書く心がけ)」 結城浩

「既知から未知へ」の順序で書くんだよ、などと偉そうにお話ししましたが、私自身も、未知のことからいきなり文章を書き始めてしまうことがあります。でもそうすると自分だけが理解できる文章ができあがります。

  どうして未知から書いてしまうんでしょうか?

我が身を振り返ってみますと、その理由は簡単でした。私は要するに「知ったかぶり」をしたいのです。

ここで私は、いつもの原則《読者のことを考える》を思い出します。「既知から未知へ」という順序を守って書くというのは、「読者のことを考える」という態度の一つの表れです。既知から始めるなら、読者は安心して読み始められます。そして背景が充分理解できたところで、未知へと進みます。そうすれば、読者は興味を失わずに読み進められます。これは「読者のことを考える」態度といえるでしょう。

「既知から未知への流れ」 トーキョーハーバー

コミュニケーションにおいて気をつけるべきことはあらゆるコミュニケーションにおいて聞き手の観点で、既知から未知の流れを意識することであると思っている。常に聞き手にとって既知の情報を述べて共通認識を設定し、その上でそれに対して未知の情報を述べ、未知の情報が既知になったら今度はそれを共通認識とし、さらに未知の情報を述べる、といった具合になるべきである。常に「既知」→「未知」→「未知から既知」→「未知」の流れが存在するべきである。

もちろん現実にはやり過ぎるとまどろっこしいが、コミュニケーションの流れとしてはこのようになるべきである。いきなり聞き手にとって未知の情報を提示すると、聞き手には理解できないため、必ず既知から始めて未知に繋げるべきなのである。これは文章だけではない。例えばパワーポイントでスライドを書くときも、人間の視線が最初に向かう左上には読み手が知っている既知の情報を書き、右下には未知の情報を書くのが王道である。また何かのスピーチをするときも同様である。


『論理トレーニング101題』野矢茂樹 (読書メモ)

接続の構造 ー 指示語を適切に押さえる、接続の言葉を意識する、常に議論の全体を意識する、文レベル・段落レベルでの接続を意識する
解説 A=B (要約、敷衍(説明)、換言)
根拠 A⇄B (理由、帰結)
例示 A たとえば B (解説と根拠のハイブリッド)
付加 A + B (根拠レベルあるいは結論レベルいずれでもあり得る)
転換 A しかし B
補足 A ただし B

議論の構造 - 主張が解説と根拠で支えられ、付加あるいは転換によって別の主張へと流れていく構造を把握する
議論の大枠 ①主題 - テーマ (何について書かれているのか)②問題 - 何が問われているのか? ③主張 - 問題にどう答えるのか?
議論の基本形式 ①どういうこと?(解説)②なぜ?(根拠)によって主張が明確に説得力を持ってなされる
次の主張に移る際には付加あるいは転換による

論証の構造
- 根拠 →(=導出→)結論
演繹 - 否定、反対、条件構造(逆・裏・対偶)と条件連鎖、推論の技術(消去法と背理法)
推測(仮説形成)ー 仮説が証拠を説明し (why so?)証拠から仮説形成される (so what?)説明の良さ、前提の正しさ、他の仮説の消去
価値評価 - ①直接論証と間接論証(仮に○○とすると問題があるので○○すべきではない) ② 論証への反論、前提となる価値基準への反論、対立評価の提出

質問と批判 - 理解できない議論に対しては質問しなければならない
意味の問い ①どういうこと?②具体的には?
論証の問い ①根拠への問い(根拠の根拠は?根拠のソースは?)②導出への問い(飛躍は?他の仮説は?)
異論は結論への代替主張の提示。批判は論証部分への指摘。つまり批判は同じ結論を目指す者たちが最善の論証を求めて行うもので必ずしも対立することではない。

議論の構築 - 書く前に議論を組み立てる、議論を組み立てる前に問題を掴む
問題を掴む = 言いたいことがないと議論にならない
ポイント① 自分の主張は何でないかを明確にする、 ポイント② なぜそう言えるのかを自身の論証と反対意見への批判から構築する
論点メモを作成し、議論設計図を書いてから、実際の作文作業に移行する

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