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Noteを始めた理由

こんにちは。イリノイ大学の山田かおり (@KaoriYamada01) です。私がNote記事を始めたきっかけは、Twitterで「大学院進学をためらう子が増えてるのは研究者がネガティブなことばかりつぶやくからだ」という言説を見たからでした。

ネガティブな話

 アカデミアにポストは限られていて、年々少子化の影響で老教授が退職してもポストが消えるだけ、若手にポストが空くわけではなく、ポスト獲得に悪戦苦闘する若手が愚痴をこぼすのは自然なことで、責められるわけではありません。私がTwitterを積極的に始めたのはポスト獲得独立後でしたから、ネガティブなことをつぶやくのはそう多くはないと思いますが、暗黒時代にTwitterをしていたら相当の闇をもらしていたでしょう。そしてその闇を見た若手がアカデミアに進むのをためらうのは無理はない話です。

若手の悩み

 しかし若手が入ってこない分野はいずれ廃れてしまいます。大学院進学を迷う学生さんは少なくとも研究に興味を持っていて、ただ将来が不安なだけ。将来に安定な職に就ける保証があれば、安心して大学院進学するでしょう。大学院進学中の生活費などの問題はありますが、学振か奨学金で賄えます。私も夫も育英会から奨学金をもらって進学していて、今も返し続けています。問題は博士号取得後に職がないこと、十分な稼ぎがないと奨学金返済は露骨な借金としてのしかかってきます。

アカデミア以外の道

 博士号を取得した後の就職先は、はたしてアカデミアだけなのでしょうか。実際私はアカデミアで独立したかった、それしか考えてこなかったのですが、博士号を取った後、Scienceの編集者のかたと話す機会があり、「科学雑誌の編集者という道もあるよ。いろんな道があるってことを皆に広く知ってほしいんだ」と言われました。当時馬車馬のように狭い視野でアカデミア就職しか考えていなかった私は、ふーんと聞き流すだけでしたが、そうか他の道もあるのかと少し視野が開けました。それからポスドク修行中にも、大学でキャリアセミナーは何度もありました。また博士号を持っていてアカデミアの外で仕事をしている人にもたくさん出会いました。

企業就職

 企業の営業の人はアメリカではたいてい博士号を持っています。ポスドクを2年経験することが就職に有利だというので、計画的にポスドクをしてすっと企業就職をする人を何人も見ました。実験装置に詳しいことが営業に有利になるそうで、新しい機械のデモや、メンテナンスで大学に訪れます。実際すごく詳しいから頼りになります。またポスドクをしていた古巣とのつながりも大事にしているようです。

 ポスドク後、企業の研究所にいった元同僚も何人もいます。(ぶっちゃけアカデミアより給料がいいので)ビジネスクラスで出張している写真をFacebookにupしていたり、なかなか羽振りがいいです。

特許関連

 大学の知財部で働く人たちも博士号を持っています。Ph.D.に加えてJDを取って、特許やライセンス化で研究者をサポートしてくれています。

 また、研究者はなんらかの発明で特許を持っている場合がありますが、ながらく特許を持っていることで、特許関連の経験豊富ということで、特許許可局からリクルートが来たという話も聞きました。

高校教師

 各自治体で、教師免許がなくても博士号を持っていたら科学を高校で教えることができるという新しい取り組みが始まっています。私の地元和歌山もそうです。最新の知見を持つ研究者の知識を、地域の高校生育成に役立てる、いい試みだと思います。

キャリア企画

 いろんなキャリアパスがある、自分になにがあるか考えていく中で、合う道を見つけられる、なにかになれる、そういうことを伝えたくて、いろんなキャリアを紹介する企画をできないだろうかと考えました。幸い、ご縁があって海外日本人研究者ネットワーク (UJA) に所属していました。キャリアディベロップ部に入っていましたので、ここでキャリア紹介企画をさせてもらえないかと、ダメ元で言い出してみたところ、あたたかく受け入れていただきご協力をいただきまして、企画を始めることができました。関係者の皆様、ご協力いただいた皆様、ありがとうございます。今後もよろしくお願い申し上げます。

 ご興味ある方、リンクはこちらです。

 そういうわけで、その企画にNoteを使おうとなったのですが、私はNoteは初心者で、慣れておかないといけない!と思い立って、個人のNoteアカウントを始めた、というわけです。どうせなので細々と続けますが、おかげさまでそこそこ慣れてきました。

おわりに

 私はUJAの強みは人と人とのつながりにあると思っています。いろんなキャリアの人が参加していて、いろんなキャリアの人とのつながりがあります。そんな先輩方のキャリアを紹介するだけじゃなく、興味を持ってくれた方には、紹介したりインタビューの機会があったり、個々人の体験を若い世代の糧とすることができる、そういう企画でありたいと思っています。そもそも私とUJAの出会いのきっかけはインタビュー企画でしたしね。これからも仲良くしていただけましたら幸いです。


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