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お気に入りの研究機器

こんにちは。イリノイ大学の山田かおり (@KaoriYamada01)です。日本で博士号を取ってアメリカで自分の研究室を持つに至った経緯を話す第2弾。1週間に1回週末に更新できたらいいな。今日はラボ立ち上げに伴う機材購入のお話。

とりあえず基本装備

空っぽでピカピカの研究室をもらってさぁ機材購入というのは箱庭ゲームみたいなもので、性能のいい機械を買うと生産性が上がる(気がする)が初期装備の研究資金と場所の広さの兼ね合いで、なにを選ぶかもPI次第。日常使う遠心機 (室温、冷蔵、エッペンドルフチューブ用、ファルコンチューブ用) や恒温槽、冷蔵庫 (4C)、 冷凍庫 (-20C, -80C)、細胞培養器、液体窒素タンク、PCR、DNA泳動槽、イメージングシステム、Western blotting用の一式、DNA検量機、スペクトロフォトメーター、蛍光顕微鏡、凍結切片作成装置など。共通機器やコアファシリティのものを使えるならそれでもいいけど、とりあえずこれらのものは手元にあったほうが使い勝手がいいので購入リストに入れましたが、それを差し置いてもとにかく絶対これは買いたいと思っていた物がありました。

とっておきの、これ

実体顕微鏡。目の病気に関する研究をしていますので、直径2〜3mmほどのマウスの目から網膜や脈絡膜を単離する必要があります。古巣のラボは資金が潤沢でしたが大きい研究室で、私の研究プロジェクトに関わってるのは私と私が雇ったテクニシャンだけ。実体顕微鏡はあるけど、焦点の合う距離の範囲が狭い、視野が狭い、拡大度が小さい、と使いにくくて困っていたんですが、もっといいのがほしいと思っても、「私達は問題なく使えてるけど?」と言われてしまうと買えいないんですね。今思えば私が持っていた研究費で購入は可能だったかもしれない、でも古巣にいる状態で買ったら、持ち出せなくて没収だったかもしれません。一方共同研究先に、単離技術修得のために通うと、やっぱり目の研究やってるラボはいい実体顕微鏡持ってるんですよね。すごく大きく見える、くっきり見える、明るくて細かいところまでこんなにちゃんと見える。そりゃこんなにはっきり見えたら、ここをつまんでこう、と切り分けるのも容易だわ、あぁこの顕微鏡ほしい、どうしてもほしい、これがほしい。そう思い続けていたので、大型研究費を取って独立となるとまず真っ先に、共同研究先いくつも回り、顕微鏡を見せてもらい、あぁどれにしようかなぁといろいろ考えて、最高にお気に入りの実体顕微鏡を買ったのでした。さらには無菌的操作を可能にするためにフローチャンバーも買って周りにつけたので、目の組織を単離してからのex vivo培養も簡単にできますし、おかげでいろんな実験が楽に可能になったのでした。

節約もするけれど

もちろん節約もだいぶしてますし、これをするのにこの高い機械を買わないとだめか?こっちでもいいんじゃないか?と各種格安機材にも手を出しています。(これはクチコミが大事。ここのはダメ、これはイケるなど、若手PIお互いに情報交換はしています)でもここぞって機械はやっぱり買って損はないと思うんですよね。使いにくい機械で、ジタバタとトラブルシューティングしながらようやく結果を出すのと、使いやすい機械でどんどんいろんなことができるのではストレス度も違うし、きっと生産性も違ってきますよね。たっかーい!ボッてんじゃないの?ここ節約していけるんじゃないの?とはしょっちゅう思いますが、これは買ってよかった、と自信を持って言える機械の一つが、今でも超お気に入りの実体顕微鏡なのでした。おかげさまで学部生くんとポスドクくんにも技術を教え、もともと彼らは器用なので、今では私より上手いんじゃないかな…

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