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黒い想い出

幼稚園内でヤマハのオルガン教室に通っていた。全く好きになれず、小さいながらに強制的だと感じていた。

園の音楽会で、オルガンを習っているからと鍵盤ハーモニカのひとりになった。
自分で絶望を味わって自己申告したのか、先生が配慮したのか、トライアングルに変更になった。その経緯は曖昧だが、人生で初めての挫折で、初めてジャッジされたのだと思う。逆にいい感覚として、トライアングルの音の美しさに感激したことも忘れられない。

それからもオルガン教室は続き、小学校に上がるときに母からピアノかエレクトーンかの2択を突きつけられ、辞めたいと言えずエレクトーンを選択。当時無理して母がエレクトーンを購入して、狭い家がより狭くなった。近所のエレクトーン教室に通うが、自分が何の曲を弾いてるか原曲もわからない。発表会で失敗して録音レコードを割った覚えもある。小学4年生くらいからサボるようになり、エレクトーンの蓋は完全に開けられなくなった。

中学生になり、ファミレスで知ってる曲が流れた、「ジャンバラヤ」。習った曲が、こんな軽快だとは知らなかった。楽譜を読まずに、シレミ、シレミと音だけ覚え、苦痛だった。

私が生まれてからずっと、不仲で家庭内別居の両親の元、自分が音楽する意味を感じなかった。

最近、74歳の母がピアノを習い始めた、楽しく習っているかと思ったら、思ったように動かない自分の指にイライラしているらしい。

何だか、黒いものがスッと落ちて、真っ白に。