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訴えかけるもの

数年前に盃洗を知り、かなり古いものを手に入れた。

真夜中、キーンととても高く美しい音が何度か聴こえ、起き出して主を探す。

高台にひびが入り始め、裂けている。何か悲鳴のようで不気味に感じたが、永らく放置され、私の元へ、願いがたくさんあるのだろう、とその必死さが愛おしかった。

金継ぎの材料を揃え、ゆっくり傷を癒した。
中心に置かれ、賑わったに違いない。時代が変わり、役目を終え、忘れ去られた。

堂々たる、幸せな風貌、つくもがみ。