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音楽とともに振り返る列車旅3日目

音楽とともに綴る列車旅の思い出。3日目では旅の締めに聴きたい曲というのも綴っていく。

特急しらさぎ51号

米原の宿をチェックアウト。3日目のスタートはこの列車から。実家の近所でもお馴染みの電車でこの列車が表示する「富山」や「金沢」などの行き先は遠いけど近いような場所だった。ただ、乗るのは加賀温泉に行ったとき以来約10年ぶりぐらいで2度目。2015年に車両が交代して以降は初めてだ。

今回乗るのは683系8000番台という車両。「サンダーバード」(大阪〜金沢など)でお馴染みの電車だが、これだけはちょっと変わり種な経緯を持っている。かつては特急「はくたか」として北陸3県と越後湯沢(新潟県湯沢町)を結んで、上越新幹線とのリレーで東京から北陸のアクセスを担った。その際の最高速度は在来線最速タイの160㎞/hという俊足を誇った。北陸新幹線開通後は「しらさぎ」に異動。東海と北陸を直結する新たな役割を果たしている。

↑乗車した「しらさぎ」の6年前の姿

そして、この車両が地元にやってきたときはこの電車目当てで撮りに行った思い出がある。一般には公表されていなかったものの、ツイッターで目撃情報が多々あって、高頻度で担当する列車を狙って実家近くの田んぼ道で撮った思い出がある。塗装は前任地である北越急行※という路線所属の頃のもので「スノーラビット」と呼ばれ、紅白の車体が異彩を放っていた。それから数ヶ月で本来の塗装に変えられたが、忘れられない思い出でそんな電車に当たったことは非常に嬉しかった。

※新潟県の犀潟さいがた六日町むいかまちを結ぶ第三セクター鉄道。北陸新幹線開通以前は特急「はくたか」のバイパスとして機能していた。現在は普通電車を用いた超快速「スノーラビット」が直江津市、十日町市周辺から東京へのアクセスを担っている。

思い出が長くなってしまったので閑話休題、音楽へ。前半は朝っぽい曲を、後半はドライブ感ある昼間っぽい曲をセレクト。長大トンネルでは夜に聴くAdoの阿修羅ちゃんをセレクト。ハマってる新曲でトンネルをぶっ飛ばす雰囲気にもマッチしていた。

ここで余談だが、終点金沢到着後、新幹線に乗り換えようとしたところ「どこでもきっぷ」を座席の網ポケットに置き忘れた。それでも、車庫へ回送される寸手のところで車掌さんに声をかけて無事回収。計画変更することなく旅を達成できた。車掌さんがアナウンスでしつこいぐらい細かく注意してるのが腑に落ちるハプニングだった。

富山地方鉄道 

ハプニングもありつつも、予定の最速列車で金沢から北陸新幹線で富山へ。そこに着いて乗りたかったのが、富山地方鉄道(通称地鉄)。鉄道線と路面電車総延長100キロ超え。富山県民の足として、宇奈月温泉や立山への観光アクセス、「立山黒部アルペンルート」の一部を形成する重要な路線としてマルチに活躍している。

地鉄の起点で大ターミナルである電鉄富山駅。駅名は地鉄のルーツである富山電気鉄道時代の名残で長らく変えられていない。それでも、市電、バス、新幹線、JR、あいの風とやま鉄道への乗り換えで常にごった返す「地鉄の顔」と言える駅である。この奥に止まっている岩峅寺いわくらじ行きで南富山を目指す。

乗ったのは14760形という電車。西武、東急、京阪と譲渡車が多い中、登場から今まで「地鉄一筋」で県民を運び続ける、いわば「生え抜きの電車」だ。

車内は転換クロスシートで一昔前の新快速電車のようなグレードの高さ。「うなづき号」「アルペン号」など特急電車にも使用され、乗車も長距離や観光が多そうだから理に適っていそうだが、普通電車にしては豪華でもある。

南富山駅で下車し、ここからは富山地鉄の市内電車に乗り換え、富山駅へ戻る。

ちょうどやってきていたのは通称「レトロ電車」。

旧型の路面電車を水戸岡鋭治氏デザインによる「マジック」にかけられた市電。お得意の木材をふんだんに使い、照明はかつての車両の物を流用した文字通りの形。座席は旅館の座椅子のような形状をしている。鉄道線の「ダブルデッカーエキスプレス」「アルプスエキスプレス(同じく水戸岡氏デザイン)」とともに地鉄の「三大観光列車」として位置付けられる。

折りたたみテーブルもあって、おでんや飲み会などの飲食パーティ系の団体列車としても気軽に使えそうな仕様だ。

聞いた話によれば地元ではこの電車が来ると大当たりとのこと。たしかに僕はこの日「しらさぎ」の683系や「East iイーストアイ」など1編成しかいないレア物を引き当てる、あるいは目撃したこともあって「ガチャ運」がかなりあっただけにこれもうれしかった。ただ、本当は前半で「地鉄のおけいはん」に乗ってみたかったのが京阪ユーザーの僕にとって心残りだが…

それは置いといて音楽へ。今回は鉄道線と市電で1つのプレイリストにまとめた。2曲目に聴いた曲は文字通りそれが似合う感じで非常に合う。他にも市電ではスローテンポやあいみょんの弾き語り曲をセレクト。いい地鉄電車の旅だった。

特急しらさぎ62号

撮り鉄し、駅弁を食べ、富山を後にし、あいの風とやま鉄道、城端線、新幹線で金沢、そこから「サンダーバード」で福井へ行ってぶらり、そしてこの列車から再び音楽を共にする。

行きとは違う681系の「しらさぎ」。丸っこく可愛いフォルムが特徴だ。発進のモーター音は旧式のうるさく唸るタイプ。近鉄ユーザーにとっては馴染み深い感じのテンション上がる音だ。
行きの「しらさぎ」や「サンダーバード」乗ってるときにも思ったことだが、ところどころで北陸新幹線敦賀延伸に向けて工事が進められているのがけっこう気になる。高架やトンネルが大方完成して線路や電気設備、駅の内装工事に入っているようだった。2024年春、どんな姿を見せてくれるのだろうか?そして、その一方でこれらの特急の動向やいかに。

この旅でまだ、一度も聴けていない曲を中心にセレクト。敦賀を出て、日暮れ直後に聴いたHome comingsホームカミングスの『Blue Hour』は文字通りの時間帯で曲のゆったり感が自然に囲まれた区間でマッチしていていい雰囲気だった。

特急ひだ36号

米原駅を降りて、少々ぶらつき、市役所で見つけたパン屋でパンを買って、旅のフィナーレを飾るべく乗りたい特急がこちらの特急「ひだ」。

名古屋から飛騨地方、そこから富山に至る列車が大半。加えて朝の25号と午後から夜の36号が大阪駅まで乗り入れる。JR東海所属でイメージカラーのオレンジを纏ったキハ85系は今旅一番の「異端児」であろう。

東海の特急は「ワイドビュー」というサブタイトルを付けるかのように呼ばれることにもあるように、大きな窓で座席は一段高くて眺望抜群。座席の肘掛け少し下まで広がる。JR西日本ではあまりお目にかかれないタイプのハイグレード車両だ。

ここでも最後は音楽を。守山に差し掛かったあたりは比較的走行時間を余らせてた分遅くなっていたが、新快速や貨物の合間を縫う分全体的には速かった。

この旅のフィナーレ近くで掛けた『All Right 〜“今”を懸ける』という曲はけっこうエンディング感が強くて3年前に四国と九州行った帰りの新快速でも京都手前でかけていたほど旅の締めの速達列車の下車手前で掛けているのが個人的恒例になっている。

そして、家の最寄り駅までの曲も少ないのでついでということで1まとめに載っけた。「ヨルシカ」の『嘘月』でのフィニッシュは気持ち良かった。

今回は列車旅での思い出を、作ったプレイリストとともに綴るというシリーズを3日間に分けて綴った。耳の健康上や飽きさせないために休息を入れながら、今まで一度も聴いたことない曲やあまり聴かない曲など音楽を余すことなく楽しめたように思う。列車旅の音楽って彩があるのではないだろうか。

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。