小説の世界と住みたい街No. 1
「のせでん」を堪能した僕。でも、「フリーパス」は阪急電車のほとんどで乗り放題。それだとここでは終われず、このまま、宝塚方面へ向かい、「関西住みたい街No. 1」で名高い駅を探検しに行く。
乗りたい電車と小説の世界
川西能勢口から宝塚までそこから今津線で南下をする。すぐ横に電車がいてスムーズに乗り換えできるが、狙いがあるので「7000系」は一旦パスした。それから待つこと約10分。ここでお目当てが姿を見せた。
フツーの阪急電車だが、ちょっとした変わり者。かつては神戸線で、今では今津線でしかお目にかかれないレアな車両だ。
昔はこんなビジュアルだったのが、ライト類が当時の新型と同じものに変化、扉や正面の非常扉が大型の窓に交換、「アイボリーの鉢巻」を巻き、車内の木目が濃い目になるなど、奇抜で大規模なリニューアルが施された。メニューの一部は他形式や新型車両にも反映されているが、顔まで変えられたのはなかなか凝っている。
そんな今津線が『鉄腕アトム』の発車メロディとともに出発。「宝塚大劇場」を始め、住宅地を眺めつつも、小林、仁川からは沿線の女子校に通う小中学生たちや「関学(関西学院大学)」の学生などで大混雑する。かの有名な小説の舞台とはいえ、ちょっと違うかもしれない光景だし、映画すら見てないが、車窓だけでも、そういう世界に飛び込んだような感覚にもなった。
関西住みたい街No. 1と象徴
西宮北口駅で下車。関西では「にしきた」などと略される交通の要衝で神戸線が東西、今津、宝塚へ南北に交わる。
こういう交通の利便性の良さなどから「住みたい街ランキング」では近年1位に躍り出ることが多数あった。今年は惜しくも「大阪梅田他」に敗れはしたが、マンションやビルが林立していて、賑わうし、神戸線へ流れる人や降りる人はひっきりなし。王者の貫禄がある。
そんな「にしきた」を象徴するのが
『阪急ブレーブス(現在のオリックス)』の本拠地だった「西宮球場」跡地を再開発。「西宮阪急(百貨店)」「イズミヤ」という「エイチ・ツー・オーリテイリング※」の二枚看板を核とするショッピングモールになった。総数260店舗がひしめき、西日本最大クラスを誇っている。阪急電車のアナウンスでも「西宮北口、阪急西宮ガーデンズ前です」などと言うぐらいグループが気合を入れてるのが垣間見える。
中を歩いていると「Loft」「成城石井」などの見慣れた店から、「アーバンリサーチ」「久世福商店」などの洒落た店までたくさんある。
さらに吹き抜けが広々していて、
イオンモールとかビバシティの何十倍もすごいやんか!!!!!!
と心の中で叫んでしまうほどのデカさに圧倒された。「阪急(百貨店)」あるし、「イズミヤ」もあるし、梅田や三宮行かんでもここで事足りそうだし、「住みたい」人が多くなるわけや。その上、地元の友人が後でここに行こうとしたっていうのをインスタのDMで知ったからやっぱみんな行くんやなと思う。かつては野球ファンを輝かせた場所は形を変えて、さらに輝きを強めている。さすが「関西住みたい街No. 1」の象徴だ。