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ウォンカ始まりの地へ

WOMCADOLE「近今感魂(きんこんかんこん)ツアー」が遂にスタート。各地で感染過去最多を更新する厳しい状況だが、彼らは決行することになった。対策をたくさん打った上で。そんなツアーの初日であるライブハウス「彦根COCOZA」でのワンマンを目撃してきた。

会場であるこのライブハウスは彦根駅からは徒歩40分。バスで行くこともできるが、本数が極端なので行き帰りともに徒歩。ぶらりしてたからかなり重労働のようなもんだし、道中は大雨。でも好きなバンドのためなら厭わない。

県道2号大津能登川長浜線の外れにある一際目立つ真っ黒な建物が今回の会場。タウン誌でのインタビューによるとこのライブハウスはWOMCADOLEの始まりの地。大切な場所で、思い出の地を今年のツアーの幕開けに選んだ。

この場所でもマスクは要着用でホールの足元には格子状で人1人分のマス目がテープで示され、ソーシャルディスタンスがなされている。大声も禁止。さらに、ライブ数日前から彦根市を含む滋賀県内全ての市で「まん防」適用中につき、アルコール提供も控えた。スタッフさんの呼びかけも相まって大事な場所、バンドを守るためのできる対策が取られた。

そして、18時過ぎ。本番スタート。

制約があろうとやっぱり樋口さんの叫びは変わらないし、今は一番厳しいであろうときで、悩んだ結果来ることを断念した人も少なくないだろう。それでも、そういう人にも届けと言わんばかりのシャウトと優しく語りかける緩急自在なメッセージの数々は一番響くものだ。

アルバムの1曲である「ペングイン」という曲には「僕らは旅人」という一節がサビに出てくる。旅をしてるように何が起きるかわからない。でも、そんな中を尽きるまで全うして生き抜いてやるんだという樋口さんの思いと我々はまだ諦めるときではないという希望を感じさせるメッセージに思える。

その反面で、MCではムードメーカーのドラマー安田さん筆頭にめちゃくちゃ笑かしてもらえたし、「hey my friend」というバラードはマツムラさんのギターソロやCDとは全く違う自由でバラードっぽくない終盤の演奏が面白くて、本気で楽しんでることが窺える。

過去最多を更新する感染状況やロックダウンの議論が加速しそうな状況でやるのが非常に憚られる中でのライブ。開催地である滋賀もついに1日で200人出るほど深刻で「まん防」も継続中。それでも、メンバー4人ともご無事で初日を迎えられたし、できることをやって、制約を乗り切ってきた。オーディエンスも皆、大切な場所を守ろうと必死になって従ってることが目に見えるし、こういう楽しみを絶やしちゃ、何もかも失う人が続出して守れなくなるかもしれない。

前にも綴ったが、僕自身は「北びわ湖号の終焉」で後悔することの本当の意味を知ってしまった。だから、そんなことを二度としたくないからこそ、考えつく対策をやっていろんなところ行ってるし、帰省もしてる。もちろん怖いことは怖いが、僕は家にいることが得意ではないし、近所ばかりでも刺激が減ってそれもそれで鬱屈する。広げないことも大事だが、マスクや消毒、睡眠、料理などいろいろできることがある。それを根拠に基づいてやってくのが最善だと思ってる。

最後は長ったらしい主張めいたことになってしまったが、WOMCADOLEの4人には楽しませてもらったこと、コロナにかからずにこの日を迎えてくれたこと。あんな状況でもやると決断したことには感謝だし、始まりの地で僕の故郷のニアピンの場所で彼らの姿を目撃できたのは何にも変えがたいものがある。どうかツアーが完走できることを心から願うとともに2週間後が笑顔でピンピンいられるよう過ごしていきたい。

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。