"変態ワールド"へ足を踏み入れてしまったか⁈〜びわこ周遊ウルトラマラニック:100マイル(160km)コース(2021/9/11-12)参戦記
今年一番のビッグチャレンジ、びわこ周遊ウルトラマラニック160kmが終わった。
結果、制限時間28時間のところ27時間33分でギリギリ完走!よくやった、オレ!
つい1週間ほど前、あんな(はたから見たら???な)ことをやっていたのか…と、走りながら眺めたいろんな表情の琵琶湖の景色を思い出しながら、半分夢のように思い出す。
こんな機会もそうあることではないと思うので、できる限りの振り返りと感想を残しておこうと思う。
参加することになったきっかけ
それは、アドベンチャーランナー・北田雄夫さんからのメッセージがきっかけだった。
"びわいちマラニック、開催されるようです!興味あるなら!"
http://japan100mile.com/sns/modules/eguide/event.php?eid=28
ある日のうめラン練習会で、"いつかビワイチ(琵琶湖一周:190km)を走ってみたいんですよね〜"と何気なく話していたのを覚えていてくださったのだ。
いやー、めちゃくちゃ興味あるけど、ビワイチの4/5周だけど、それでも160kmかいな!
なんせ今までウルトラマラソンは3回しか経験がなく(2018年高野龍神ウルトラ:100km、2019年鯖街道ウルトラ:72km、2019年富士五湖ウルトラ:118km←しかもDNF(途中棄権)^^;))、まだもうちょい力をつけてからだよな…というのが率直な気持ちだった。
でも、コロナ禍で軒並み大会が中止となり、なかなかランに対するモチベーションが上がらないなかで、実際に開催されるかどうかはさておき、思い切って高めの目標を設定してチャレンジするのもアリかな…と思い直した。
北田さんのチャレンジ動画のなかで話しされていた、大和田さんの言葉もずっと心に残っていた。
"十分な条件が整うのを待っていたら挑戦の機会を失う"
ただ、さすがに一人で参加するのは勇気が要ったので、興味を示しそうなラン友・斉藤に打診してみたところ、思いがけず"いけるかも。ビーサンで"と二つ返事でOKがきたので、こちらも意を決して勢いでエントリー。
そして後日、主催者より"厳選の結果「参加確定」しました"とのメールをもらい、2人して「チャレンジ確定」となったのだった。
北田さん曰く、"前回も完走率はかなり悪く(数人?)、みなさんチャレンジされにこられるので、気兼ねなくチャレンジしてもらえると思います"とのこと。
定員25名程度とはいえ、完走率がそんなに低い、やはり過酷なイベントなんですね…
※滋賀県にも緊急事態宣言が発令されているなかでイベントの開催自体が危惧されましたが、参加者およびスタッフの皆さんは8月末までに2回のワクチン接種が必要(できない場合はPCR検査での陰性証明提出)とされるなど、感染対策にも留意しながらの開催となりました。
イベント振り返り
JR志賀駅を12時にスタートして琵琶湖を時計回りに4/5周し、瀬田(大津温泉おふろcafeびわこ座)をゴールとする160kmのコース。
制限時間28時間で翌日16時のゴールを目指す。参加者はなんと4名!
前日はなぜか気分が高揚してあまり眠れず…(小学生の遠足の前日か!^^;)
正直、走りきる自信は半分くらいだったが、無事にスタートできる幸せを感じつつ、"行けるところまで行くしかない!"と気合いを入れてのスタート!
スタート(JR志賀駅)【12:00】
シューズには服部天神宮で授かった足守を結びました
最初はのどかな田園風景の中を進む
CP4:近江舞子駅(5.9km地点:通過)【36分(12:36)】
北小松(琵琶湖が見えてきた)
延命長寿の神、白髭神社を通過
CP5:道の駅「新旭風車村」(25.7km地点)(エイド)【2時間45分(14:45)】
新旭風車村
気持ちいい湖岸沿いのコース
CP6:海津大崎(43.6km地点)(エイド)【5時間32分(17:32)】
*曇り空の中、夕日が見えました。ここまでのペースはほぼ予定通り。
*エイドでカップラーメン(シーフード)を食す。
*次のCPまでの途中で日が落ちナイトランに。
*前半の難所、西浅井町岩熊の山道の上り下り、かつ車両通行止めとなっている旧道+トンネルを通り抜け。ここを、ちょうど200kmコース参加者のトップランナーの皆さん3名とご一緒できたのが大きかった。一人だと確実に迷っていたであろうところ。皆さんの話も刺激的で、200kmどころか300−500km以上の大会やトレイルを経験しておられるツワモノばかり。えらいとこに来てしまった感が満載…。
*塩津観音あたり:20時を過ぎてすっかり真っ暗。琵琶湖の北端で、湖面も黒々としている。昼間であれば景色の良いところだろうなぁと思いつつ、車も通らず、真っ暗闇の中を黙々と前に進む。
CP7:木之本町飯浦(62.1km地点)(エイド)【8時間33分(20:33)】
*エイドでうどんを食す。あったかい出汁がお腹に染み渡る。
*一旦離れていた斉藤と合流。60kmを超えて、さすがに足が重たくなってくる。
*賤ヶ岳越え。旧道からの上り。ここでも200kmランナーとご一緒させていただく。すでに100km超を走ってきたとは思えない、軽やかな走り。古戦場だけに、この辺りは心霊スポットらしい。が、幸い霊感なく、何事もなく通過。
*ここも、昼間であれば絶好のビューポイントのはず…が、残念ながら真っ暗の湖面しか見えず。
*トンネルを越え、大音の交差点に下りてきたところで痛恨のミス。”川を渡ったら右”と覚えていたのだが、なかなか川を渡らず、しかもトンネルが。ここでおかしいと気づくべきだったが、そのままトンネルを抜けると、そこは先ほどのエイド近くだった…!今越えてきた賤ヶ岳をまた逆に越えてしまい、道を引き返してしまっていた。嗚呼…。
*少しでもおかしいと思ったらスマホで方角を確認すべきであった。ここで5kmほどのロスに。距離よりも時間のロスが痛かった…。
CP8:奥琵琶湖スポーツの森(77.2km)(エイド)【11時間58分(23:58)】
*この区間、本来15kmのところ5km余計に回り道をしたおかげで20kmくらいの長い区間になってしまった。疲労度もMAXに。
*エイドでカップ麺ラーメン(味噌味)を食す。
*ここから次のCPまでの間で、いつの間にか時計の電池が切れており、慌てて充電。ここでも1km弱の計測ロス…そしてトータルの計測ができなくなってしまった。嗚呼その2。
*気を取り直して、気分転換のため音楽を聞きながら進む。
CP9:道の駅「近江母の郷」(88.9km)(エイド)【14時間24分(2:24)】
*いよいよ半分超え。え?まだあと半分あるの!…と考えてはいけないけど考えてしまう。だいぶ足がパンパンになってきた。
*エイドかつドロップバッグ地点であり、荷物を入れ替え(ジェル追加)。そしてここでアドベンチャーTシャツに着替える。ここまで比較的涼しかったとはいえ、それなりに汗をかいてたのでちょっと気分もサッパリ。これは正解だったと思う。
*斉藤と合流し一緒に出発。彦根まで行けばあと約60km。朝4時に通過すれば残り12時間、ゴールまで休みなしで12分/kmで歩けば間に合う計算だが、果たしてそんなにうまくいくか…?と考えていた。体力的にもきつくなってきたが、ここからが踏ん張りどころ。
*実際は97kmすぎ(松原水泳場)で4時、100km付近で4時30分くらいだったか。体力を考えると、結構ギリギリのペースかなと思い、少々焦る。
*夜が明けるまで、暗闇で一人で進む時間はほんとに我慢の時間帯だった。足はパンパン・膝はガクガクになるわ、先を考えてしまうと心は折れそうになるわで、足がなかなか前に進まなかった。
*5時を過ぎて夜が明け、だんだん明るくなってきて、痛かった足がちょっと復活。太陽のパワー恐るべし。
CP10:湖岸緑地駐車場(107.9km)【18時間3分(6:03)】
*ここまでの区間、距離にして19kmだが、数字以上にかなり長く感じた。単調な湖岸沿いの道が続くせいか。
*途中、時々ふっと睡魔に襲われる瞬間が増えてくる。ここでは洗顔シートが役に立った。顔を拭きつつ眠気を振り払う。
*エイドで温かいカフェオレをいただき、生き返る。
*次の長命寺関門(9時)まではアップダウンもある。遅くとも30分前には着きたいと考え、ここは斉藤を待たずに出発。
ようやく東近江市まできた。朝日が登ってきて、琵琶湖も朝の穏やかな表情を見せる。
沖島町へ。漁港を過ぎ、右手にチラチラ沖島を眺めつつ、木陰のあるアップダウンの道を進む。サイクリストが多い。お姉さんからの"頑張って〜!"という声援に少しパワーをもらう(笑)
CP11:長命寺(122.2km)【20時間25分(8:25)】(関門35分前)
*上りは歩き、下りでジョギングを繰り返し、なんとか到着。
*エイドでお茶漬けを食す。みずみずしい梨をいただき、リフレッシュ。
*ここから残り38km。ここまで頑張ってきたので、なんとかゴールに滑り込みたい。足が最後までもつかどうかの勝負か…?先のことは考えず、まずは次のCPまでの16kmをクリアすることだけに集中することとする。
*5km単位で考え、3km走り・2km歩くを繰り返そうと奮闘。ただ、足がついてこず2km走り・3km歩くになってしまう。
*途中のコンビニでバナナ補給。
*後半は、もう1km走り・1km歩くの繰り返し。なかなか走り出すときに足が前へ出てこない。
CP12:琵琶湖大橋東詰(138.6km)【23時間36分(11:36)】(関門24分前)
*最後のエイド。結局関門ギリギリになってしまった。
*ここからの湖岸沿いはコンビニがない。バナナとリポDで栄養補給。
*残り22kmであと4時間。10分/kmで行けば間に合う計算だが、歩きだけでは無理なので、次の近江大橋までの区間は頑張れるところまで頑張って、残り5kmで1時間は残しておきたい。
*この辺りは普段のランで走り慣れているところ。”次の角まで””次の橋の上りの手前まで”というように具体的に目標を決め、ゆっくりでもいいから10分/kmを超えないように走り続けることを心がける。
*"ここまできたんだから、絶対にゴールしてやる!"と言い聞かせ、最後の力を振り絞り、一歩ずつ前へ前へ。
CP13:近江大橋東詰(155.1km)【26時間30分(14:30)】
いつもの見慣れた近江大橋を望む景色。ついにここまで帰ってきた!
*この区間、ここまで走ってきたにしてはかなり頑張った!足のマメが潰れて少し痛いが、歩けないほどではない。
*スタッフの姿を探すも誰もいないので、地図を最終確認して進む。
ゴール(大津温泉おふろcafeびわこ座)(160km)【27時間33分(15:33)】
*最後の区間は、残り5kmで1時間超の時間が残っていたので、よっぽどのことがない限り歩いてもゴールできることが確信できた。
*国道1号線に上がってからの残り2.7kmは、ここまで来れた感慨とともにゴール後の気持ち良いお風呂を思い描き、てくてく歩く。というか、足の筋肉痛パンパン度合いが半端なくてもう足が上がらない。
*途中で長命寺以降、先行されていた200kmランナーさんに追いつき、お互いの健闘をたたえ合いながら一緒にゴール!
走り(&歩き)きった達成感で感無量…完走できてよかった…
惜しくもDNFとなった戦友・斉藤と
160km(+回り道5km)を共にした、HOKA ONE ONEのCARBON X
チャレンジの記録
チャレンジしてみて感じたこと
・総じて天気は曇りで、日差しを直接浴びることがほとんどなかったのが本当に助かった。気温は22〜28℃くらいで夜間もそんなに冷えなかったので、ウルトラマラニックとしては絶好のコンディションだったと思う。
・とはいえ、200kmランナーを含めた21名のうち、完走者10名(完走率47.6%)。160kmランナーに限れば4名中3名がDNFだったので、アップダウンの少ない湖岸沿いコースとはいえ、簡単ではなくタフなコースだった。
・160kmという普段は気の遠くなるような距離にチャレンジしたわけだが、フルを4回分とか考えると心が折れてしまうのでダメ。チェックポイントを1ヶ所ずつクリアしていくのが大切。次のチェックポイントまで、次の橋まで、次の曲がり角までなど、一歩一歩の積み重ねがゴールに近づく唯一の方法である。
・あとは最後まで強い気持ちを持つこと。もちろん物理的に足が動かなくなるとどうしようもないが、少しでも足が動くなら、一歩走り出す勇気を持つこと。
・同志の斉藤がDNFとなってしまったことが本当に残念だった。ビーサンで140km走るだけでもスゴイ(変態)ことなのだが。道に転がっている小石に足をやられたみたいだ。最後は足裏が流血していたので、歩くのも痛かったのではと思う。
・"次はぜひ200kmコースでのチャレンジを待ってます!"と言われたものの、さすがに即答はできなかった^^;
200kmコースとなると、今回より距離がプラス40kmで制限時間がプラス4時間。今回のペースでは到底間に合わないし、何より途中で並走した200kmランナーは皆さん強烈な変態度合いで(しかも変態を自覚している人ばかりだった^^;)、まだまだあの変態領域に近づいていけるイメージができない。ただ、どこかで"あと40kmなら、距離は全く無理っていう訳でもないな"と思っている自分もいて、今回ちょっと”変態ワールド”に足を踏み入れてしまった感もある…。
最後に
まずは何よりチャレンジできたことのありがたさを噛み締めてます。
特にイベント主催者・夜通しサポートしていただいたスタッフの皆さん、そして家族をはじめとする周りの人々へ感謝を。
心強いエールをいただいたうめランをはじめとするラン友の皆さん、そして事前の夜間走練習にお付き合いいただいた森本さん、大渓さん、ありがとうございました。
そして、今回のチャレンジに付き合ってくれたビーサン斉藤に最大級の謝辞を(また反省会やりましょね)。
それから今回チャレンジをするきっかけをもらったアドベンチャーランナー・北田さんにも、チャレンジする勇気と多大なパワーいただきました。
ちょうど北田さんが参加するドイツで開催の”Mega Race1001km”が日本時間で9/12 16時スタートということで、”北田さんのスタートまでにはゴールしたい!”とボクも気合いが入りました。
ボクがゴールできた直後に北田さんがスタートを切ったということで、勝手にバトンを渡したつもりです!笑
何かにチャレンジすることは、そのチャレンジまでの過程も含めて苦しいこともあるけど、やはり楽しい。
今回はたまたま完走という結果だったけど、仮に完走できていなかったとしても全く後悔はしていないし、素晴らしい経験をさせてもらえたと思う。
それを実感した今回のチャレンジだった。
”結果はどうあれチャレンジしたあとには、必ず学びや気づきがある。出会える人も、見える世界も変わる。その成長がとにかく面白いから、僕は挑み続けるのだ”(「地球のはしからはしまで走って考えたこと」北田雄夫著)
蛇足(おまけ)
■今回のチャレンジで得たもの
・ちょっとした自信(体力・精神力)
・足のマメ(水ぶくれ):5ヶ所(足裏1、足指4)
・ランナー膝(腸脛靭帯炎):整形外科に湿布をもらいに行って念のため診てもらったら、全治1〜2週間だと…トホホ^^;
■身体の変化
・ラン直後の体重は3kg減に
(→翌々日には3kg増となりすぐにリバウンドしましたが^^;)
・体脂肪率12%→6%に
(初めて10%を切った。体重計がおかしいのかな?)
■準備物
※今回特に役立ったもの
・サロメチールジクロ クールローション
(エアサロの代わり。これがないと足が持ちませんでした)
・洗顔シート(眠気覚ましにも効きました)
・北田さん”心"お守り(財布を開くたびにパワーもらいました)
コンビニで買ったもの
(※水分だけで8ℓ以上の消費…!ポカリ5本、水9本、お茶2本+α)
ここまで長文にお付き合いいただいた皆さん、どうもありがとうございました!
さて、次なるチャレンジは…(その前にもうちょっと休もうっと)
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