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プラごみ問題と温暖化問題は、どちらのほうが深刻ですか

 このページにたどり着いたあたなに質問です。以下のどちらの問題がより深刻ですか。

- 痛ましい動物の写真1枚で盛り上がりを見せている、プラごみに関する環境問題
- グレタさんの国連演説で盛り上がりを見せている、地球温暖化に関する環境問題

この質問の意図は、2つを両立するのは至難の業ですよということです。解説します。

■プラスチックは安い

 まず、なぜ世の中にプラスチックが溢れているかというと、安いからです。プラスチックの代表格であるポリエチレンは、だいたい0.17円/gという安さで取引されていて、レジ袋1枚やストロー1本で1-2円ほど。それでいて強度も加工性も優れているという非常にリーズナブルな素材です。

 しかし一般的なプラスチックは自然に分解されないので、山、川、海などに散らかるとまずい。動物にからまったり飲み込んだりという痛ましい写真がインターネットで拡散したおかげで「おいこら、人間なにしとんじゃ」と自戒したくなる気持ちもわかります。

■代替材料は高いし、CO2を多く出す

 この問題意識の盛り上がりによって、プラスチック製品を自然に分解される代替素材に置き換えていこうと考える人や会社が出てきています。そこで必ず出てくる問題がコストです。私のnoteでは度々書いていることですが、コストが高いということは消費エネルギーが大きいということとほぼ一致するので、必然的にCO2排出量も大きいということになります。

 例えば1円のプラスチックストローを、10円の紙製のストローに変えたとしましょう。紙製のストローが高額なのは加工にたくさんエネルギーを要するからであって、消費したエネルギーはこの時点でおよそ10倍違うということになり、紙製ストローはプラストローに比べておよそ10倍CO2を排出したことになるわけです。

■両立する唯一の方法は、人口減少

 当然ハイコストな素材の製品が広く流通すれば経済にはプラスになります。人の生活は豊かになり、人口が増えます。人は食料に形を変えた石油を飲んでいるようなものなので、ますますCO2排出が増えます。

 ということで、プラごみ問題の解決に向けて頑張ると、グレタさんの怒りを助長させることになります。両立できる道があるとすれば、人口を減らして総消費を下げるくらいでしょう。日本やイタリアはこれから人口減少に向かうので、そういう国ではプラごみ削減を進めても大丈夫かもしれませんね。


Yoshiyuki IZUTSU

http://linkedin.com/in/yizutsu


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