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ヨーロッパの賃上げ

前回更新からだいぶ時間が経ってしまいました。定期的に文を書くことの難しさを痛感しています。これは習慣化しないと難しいですね。世の中のNOTEライターのなんと優秀なことか。

さて、今日はヨーロッパの賃上げについて書いてみます。2022年にインフレが進行して世界各地で賃上げとなりました。当然、私のいるヨーロッパの某国においてもインフレの波が襲ってきました。

まずはエネルギー価格の値上げ。これはロシア問題でガス供給に制限がかかったことによって原油価格が上昇して発生したものです。ヨーロッパは脱炭素を進めていますが、自然エネルギーでは全く足りていません。EVも結局は原発や火力発電に頼ってますね。そのためガソリン価格、電気代、ガス代は軒並み値上げです。

そしてインフラ産業人件費の値上げ。これはコロナでロックダウンのために人員を削減しました。人員削減したものの、削減された人は政府から補償を得ていましたが。そして、空港や鉄道バスが再開しても人は集まらないため、通常のオペレーションに戻らない。だから賃上げして人を募集してました。ちなみに鉄道会社もストライキして賃上げを要求していました。
そして家賃。家賃はCPI連動となっています。輸送費の値上げで色々なモノの値段があがったので、家賃も上がります。家賃は額が大きいのでCPIが5%上がるとその影響額は大きいです。
そして私の勤める社員の賃上げをしました。これは、他社への流出を防ぐためです。某中核社員が別の会社から引き抜きされそうになったのがきっかけでした。その社員に対し、オファーレターが届き、それをもとに彼は「賃上げをしてくれ、今の会社が好きでこのまま働きたいが、インフレで家賃も上がっていて生活が苦しい」と社長に訴えました。その彼、N君は丁度2週間の休暇を終えて帰ってきたところでした。日焼けして。なお、余談ですが彼はその3か月前にも2週間の休暇をし、その期間中にコロナに感染して+1週間の隔離という休暇がありました。また、2か月ほど前には社員旅行で泥酔して帰りの集合時間に大幅遅刻してました。

元々ヨーロッパの会社なので判断は早いのですが、加えて小さな会社ですので、社長決定で簡単に変更できます。その結果、インフレを考慮して賃上げをしました。

インフレに連動したのか、2022年の売上高はコロナ前の最高額を抜きました。利益はほぼ過去の最高益と同程度でした。

インフレと賃金上昇ってこういうものなのだろうなと実感しました。人材流動性が高いから合理的なところに落ち着くし、これで経済がまわるのだなと。日本は人材流動性が低いので、合理的な判断は行われずに、経済も停滞しているのだなと思います。さらに、ヨーロッパの中小企業の社長と比べると、日本の大企業の社長や人事部はこのような人員政策や賃金を考えなくて済むのでこの点については楽なのかもしれないですね。

平成は失われた30年とか言われていますが、日本政府や企業が敢えて競争力を失うような政策を取ってきた結果のように思います。日本は解雇しにくいから採用に慎重だし、教育制度は横一列で異質なものを排除する教育制度で偏差値重視だし、退職金や賞与も途中で抜けると不利になる制度ですし。
コロナで社会の在り方が変わりましたが、人材流動性が低い点はまだまだ改善の余地があると思いました。