地上波で霊幻道士〜可愛い少女は出ていない〜

画像1 2021/10/31の記録。香港在住20年、今まで一度も地上波で見た事がなかった映画「霊幻道士」の再放送。普段ハロウィンには無関心な私も今年ばかりはハロウィンにちょっと感謝。
画像2 CMの前後に差し挟まれる「殭屍先生」(霊幻道士の原題)の表題紹介を見る度に喜びが湧き上がる。
画像3 地上波放送されるまでにも、自力で何十回も見ているので一緒にセリフを言いながら見ている私に旦那が「セリフまで覚えるほど見てるのに、よく飽きないな」と。うん、全く飽きない。
画像4 林正英(ラム・チェンイン)の勇姿にうっとりしながら今日も夢中で鑑賞中。立ち居振る舞いやこの佇まい一つ一つが本当に美しい俳優さんだと思う。
画像5 そう言えば、この地上波放送が嬉し過ぎて何人かの友達にもシェアしたものの、皆一人も漏れなく薄い反応。そして驚いた事にその半数以上が「あ~あの女の子可愛かったよね~」って。・・・テンテンかよ!「それは『霊幻道士』じゃなくて『幽幻道士』だよ💢」と言う私に「え~っ?じゃあ霊幻道士ってどんな映画?」と聞き返されて衝撃を受ける。それで、自分がこれまで何度も書いてきた「霊幻道士」の記事も実は大多数の方達の中では「幽幻道士」をイメージしながら読まれているのだろうか?!との危惧から今回画像記事化。
画像6 道教のお葬式の在り方https://note.com/yipkon1102ys/n/n9102b36a34eeとして「酉年の人、丑年の人は後ろを向いて棺桶を見ないように」というのが、この映画の中でも再現されています。
画像7 サモハンキンポーや林正英らは、この映画を製作するに当たって、色々なものを道教でのキョンシー退治に役立つ道具としましたが、この映画が大ヒットすると巷でもモチ米に魔除けの力があるというインチキ道教の道士もいたほどだったとか。どれほど完成度の高い映画だった事か。霊幻道士には可愛い少女道士なんて出ちゃ来ない。「幽幻道士」の面白さを否定するつもりはありませんが(アレはアレで当時欠かさず見ていました。)「霊幻道士」はカッコよくスピーディーなカンフーアクションが見どころなハードボイルド(←?)なホラーコメディです。
画像8 当時、たくさんの映画に出ていたこの王小鳳という女優さんは、この時期たくさんの香港ホラーに出演していて「ホラーの女王」と称された女優さんです。心の病で随分長い事芸能界から遠のいていましたが、近年になって何度か女優業を復活なさっていたようです。
画像9 小学生の頃、初めてこの場面を見た時は、きっとそれなりにドキドキしてたと思うけど、今は「来た来た♪」という若干の期待感が高まるのみ。キョンシーの動きを抑制する鶏血が混じった墨汁を棺桶に弾いてあるわけですが、なにぶん出来の悪い弟子たちなので棺桶の下側を忘れてしまった為に・・・。
画像10 この「奸(悪いヤツ)」という焼き印が九叔(林正英演じる師匠)の胸に躊躇なく押し付けられる場面に私は2、3回ほど騙された。
画像11 林正英は背も高くなく痩せていた、それがまたイイ!彼のこなしてきた数々のストイックな役柄を体現するのに、この外観も本当に大きな役割を果たしていると思う。特に林正英が道士役を演じる映画は、この小さな体で木材やキョンシーや敵を軽々と持ち上げてぶん回すというシーンが幾多と繰り広げられるのが、その小柄な体から繰り出されるスゴ技としてのギャップをより感じさせてくれる。
画像12 この映画の主役、一番弟子の秋生を演じた錢小豪もこういう細かい演技を見返してみると、ものすごくイイ演技をしている。キョンシーにお札を貼りに行けと師匠に急かされて涙ぐみながら尻込みする場面。涙目でキラキラしている眼と緊張に強張った表情、そして林正英の、グズグズしている弟子にもどかしさとイライラを隠せない表情コントラストが最高。
画像13 「何ビビってんだ!この人はオレの叔父さんだぞ、身内だろうが!」死人が立っている事に疑問を持たないというハンパない天然ボケの役も樓南光(ビリー・ラウ)に掛かればものすごい説得力でスルー出来てしまうすごさ。
画像14 私にとってこの映画の、このサイドストーリー部分は林正英演じる師匠愛を感じる場面でしかないのだけど、今回初めて濡れ場(と言えるほど濃厚ではないけど)が丁寧に描かれている事に気づいた。何十回と見ていても細かくスルーしている部分はあるもんだなと反省。
画像15 ①キョンシーが暴れ回っている②女幽霊が弟子に取り憑いている、プライオリティは圧倒的にキョンシー退治だろうと思うけど、九叔(林正英演じる師匠)にとっては女幽霊退治も同じくらい高いプライオリティがあると感じさせるこの場面。師匠愛にグッとくる。っていうか林正英のアップを載せたかっただけのこじつけ。
画像16 ひと段落シーン。準主役の二番弟子文才を演じる許冠英(リッキー・ホイ)の演技力もこの映画の重要構成要素。この映画で林正英、樓南光が最優秀助演男優賞に選ばれており、このリッキー・ホイもノミネートされていましたが、リッキーはこれを固辞。初の「最優秀助演男優賞受賞を拒否した男優さん」でした。
画像17 最初から最後まで小物な「阿威」(ビリー・ラウの演じた役柄名)でしたが、ところどころで見せる男意気と勇気が、スパイスとしてすごく効いています。ま、このキョンシーを横殴りにしようと木材をぶん回すカッコいい場面でもお約束の空振りですが。
画像18 九叔(林正英)渾身の一撃!鉄の武器も鋼の身体を持つ僵屍には歯が立たず。こちら、もし興味を持って下さる方がいらっしゃったらご覧ください。私のキョンシー関連記事https://note.com/yipkon1102ys/n/n6dbb9f886845
画像19 こちらはビリー・ラウの空振りと違って、もちろんきっちりキョンシーを捉えます。今回この地上波の放送を携帯片手に写真を撮りながら見ていた私ですが、最後は興奮していたのか全部ビデオになっていて、後半の写真が圧倒的に少ない残念ギャラリーに。でも、これで「幽幻道士」とごっちゃにされない効果を発揮してくれたら本望。

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