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フィルム現像したら元カレが写ってた

あまりに暇なもんだから、フィルムを現像しに近くのカメラ屋へ行った。もうかれこれ1年以上も現像せずに放置していたっけな。今日中には仕上がらないらしく、翌日のお昼に受け取りに来るよう言われた。

次の日、仕上がった写真のデータを受け取りに行った。ウキウキしている気持ちを感じながら帰宅し、さっそくデータをスマホに移した。
移した写真を確認する。まだフィルムカメラを使いこなせていない感がムンムン香る写真たちだった。ブレていたり、焦点がずれていたり、明度が低くもはや何を撮ったのかすら分からないものさえある。その中でも比較的うまく撮れた写真が一枚あった。写真を撮っている元カレを撮ったものだった。

私は恋人と別れる度、彼のどこに惹かれて付き合ったのか分からなくなる。今回もだ。元カレの写真を眺めながら、「どうして彼が私の愛を享受できる存在であったのだろうか」と疑問を抱いている。彼に私の時間とお金を費やす価値が果たしてあったのだろうか。

その答えは、元カレのフィルム写真が教えてくれた。それはシンプル。「好きだから」だ。ほかの写真は下手っぴなのに、彼の写真だけ綺麗に撮れている。自分の愛するものとの瞬間を綺麗に納めようと一生懸命シャッターを押した。「好きだから」だ。私がどんなに今の心に問いかけても出ない答え。当時の私は何の偽りもなく、彼のことが「好きだった」のである。

彼に対して、今は感じていない感情をその地点で感じていたことは、揺るがない事実だ。その事実を認めたら少し心が楽になった。もしかすると、彼に恋をしていた自分を認めたくなかったのかもしれない。なんてプライドの高い女なんだ。気高さとプライドを履き違えている。

過去の恋愛の供養として、ここに残しておく。
成仏しますように。南無阿弥陀仏。

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