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「汚れを吸ったとしても、吐き出すものは愛でありたい」はムリだわ

大学卒業後、きっと素敵な社会人になると意気込んで配属先の街へ引っ越した。仕事の愚痴しかこぼさないダサい社会人にはなりたくなかったのだ。(もちろんそれは私のダサい基準だから正解はない)

初めて踏む土地は、故郷に似た温暖な地域だった。桜が舞い散るころに、新天地で社会人生活がスタートし、当時の私の目は喜びで溢れていたと思う。

仕事を始めて半年ほど経ったころ。気づけば私は仕事はできないのに愚痴しかこぼさないダサい社会人になっていた。同期と飲みに行っては仕事の愚痴を言い合い、母親と電話をしては仕事の愚痴をこぼしてばかりいた。そんな自分に気づいたとき、とても悲しくなった。そんな自分が嫌いにも関わらず何も行動しようとしなかった。そんな元気もなかったのだが。嫌いな自分でいると、自己嫌悪の沼にハマってしまい、とてつもなく消えたくなる。
そう考えると、休職したいと上司に言えた自分を本当に褒めたい!何よりも早急に休職の準備を進めてくださった会社の方々には感謝しかない…。

その感謝を後押しする出会いがこの間あった。
一週間上京して宿泊していたゲストハウスで出会った2つ年下の女の子。お喋りしていたときに、彼女がこんなことを言っていた。

「自分の好きなことをするようになって、この世界を愛せるようになった」

彼女は自分の嫌いなことをやっていたことに気付き、それを辞めてからみるみる自分の見える世界が変わったそうだ。これだ。私の悩みは、ほとんどこの一言で救われた。仕事自体は嫌いではなかったが、どうも内容と労働環境が自分に合っていなかったのだ。

「汚れを吸ったとしても、吐き出すものは愛でありたい。」
そう格好をつけて言ってみたいものだ。けれども、新卒一年目の小娘には到底達成しがたい難題であった。そもそもこの世の中に、そう在れる人がいるのかも分からない。そんな空気清浄機のような人間がいるのなら、各社に一人配置するよう法規程してほしい。だた今の私に分かるのはこれだけ。
「自分が愛を吐き出すには、愛を吸える場所に身を置くこと。」

結局、彼女が言った通り好きなことができる場所(仕事にせよプライベートにせよ)に身を置かないとこの世界は愛せない。休職する前に吐き出していた愚痴は私から見える景色をさらに汚していたのだ。吐き出したものは結局自分に返ってくる。
空気清浄機にはまだまだなれそうになれないから、私はしばらく逃げることにする。汚れを吐き出さないように。自分を、世界を愛せるように。そうして私が空気洗浄機になれた暁には、私のコピーでも製造して各社に配置してくれ。

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