新しい合唱練習様式?no.2

【1、リモート、オンライン講座の試み】

 これはわかりやすい事例でしょう。オンラインを用いた講座は、もはやスタンダードなものになっていく、あるいはもうすでになっているのではないでしょうか。普段の対面の練習ではどうしても、声を出すことが主眼になるため、音楽を理論の側から捉え直すことは非常に有意義です。楽典的なことはもちろん、歴史、言語、発声のメカニズムなど、案外座学としてできることは多いように思います。これらの内容が高度なのであれば、今一度楽譜の読み方を一から学ぶことも重要です。楽譜もよくわからないまま、とにかく音の暗記だけに必死な方、結構合唱団の中には多いのではないでしょうか。難しいと鼻からあきらめてしまうのは非常にもったいないことです。年齢も何も関係ありません。

楽譜を読む力、これがどれだけその後の音楽活動を豊かにするでしょうか。音を耳から覚えて、歌っての繰り返しは、短期的な暗記に過ぎません。これを毎回繰り返していては、一曲にかける時間がただ長いだけの練習になります。もちろん、現実そういうわけにもいかないのは重々承知しております。しかし、ときおり、こうした営みが音楽の指導ではなく、忍耐を鍛えているだけなのではないだろうかと疑問に思うことは沢山あります。
音取りをして、合わせられれば、それが音楽のゴールなんてことはなく、やはりアンサンブルの楽しみを深めていきたいですからね。

また、オンライン講座では、モノにもよりますが、確かに教える側も受講者の表情が見えないのは不安です。しかし、なかなか距離や予定的な問題から、諦めざるをえなかった講座を家に居ながらにして受講できることには大きな喜びを感じています。改めて学び直すこともでき、ここ数年現場で培ってきた知識をさらに、目的意識を持って学び直せている実感があり、非常に有意義に思っています。(ある意味サバティカルのようなものなのかもしれません)

自粛でなかなか活動できない折には、そうした講座に刺激を受け、同じようなことを今度は自分から団に還元できないかと試みました。なかなか普段の練習内では、楽典的なことは集中して扱うことができないのもそうです。機械的に音を取ることで精一杯であった作品も改めて分析することによって、作曲家の好む和声進行やテクニックを伺い知ることができ、その偉大さを改めて認識することができました。

もちろん楽典的な知識は、なかなか一日だけでは覚えきれません。しかし全てをその場で理解しきれずとも、やがて再開した対面練習の際にも恐れず触れることができ、実際の歌唱を伴ったときにはより強く納得感が得られるのではないかと思っています。

また、ウェブ上でハーモニーを作ることが難しいのであれば、単旋律はどうだろうと、グレゴリオ聖歌や古ネウマについて取り上げたこともありました。非常に普段の歌唱にも有効活用できるものとして、注目している内容のため、まとまった時間で共通認識を作る良い時間だったと思います。

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