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デンマークの飲酒文化:「ひとり飲みはひとりディズニーよりヘン」

はじめまして。デンマークのコペンハーゲン大学、Niels Bohr Instituteで今年の4月から(多分)生物物理の研究者として働いている姫岡といいます。研究の内容などなどに関しては以前取材いただいた記事の方がわかりやすいと思うので、よろしければそちらを読んでください。(それとは別の研究紹介記事

僕はこの4月からデンマークに住んでいるんですが、年の瀬が近づいてきてふと気づくと、「研究以外なにかしたっけな…?」という気分になったんですね。海外に引っ越された方のブログなんかを読んでいると必ず「こんなことを発見した!」、「日本とこういう風に違う!」といったことを書かれているので。

これじゃあ全然海外に来た意味ないじゃん、と落ち込みながら研究室に向かっていたら意外と色々思いついたので、年末だしちゃんと振り返っておこうと思ってはじめてノートを書いてます。

本題に入る前に、どうして僕がいまデンマークで生活しているかを少し書きます。

デンマークというと福祉大国、教育大国、国民の幸福度が毎回上位、といったイメージを持つ方が多分多いと思います。実際にこの国の社会システムや国民性を学ぶために留学されている方もSNS上でよく見かけます(お会いしたことはないです)。

僕はというとそういった高い志をもってデンマークに来たのではなく、その理由はただ単に『職がもらえたから』。
もともとものすごく出不精で、学会以外で山手線圏外に出るなんてだるくてしょうがないような性格なので、海外に住むことそれ自体にはあまり興味がなかったんです。ただ単に、こちらにとても良いポストがあったんです。

つまり、「デンマークを知りたくて」来たという訳ではなくて、就職先が偶然デンマークだった、という感じです。その意味で、もともと「興味がない」というと違いますが、割とニュートラルな感覚で社会を見られているかと思います。そんな中で思ったことを、一気に書くのは疲れるのでちょっとずつ書いていきます。

1. 「ひとり酒はひとり遊園地よりヘン」

なにより一つ目に書きたいこと。デンマークで驚いたことは飲酒文化です。デンマークにはあのCarlsbergもあるし(初めて酵母の純粋培養に成功した会社。これ以降ビールが安定した品質で作れるように!)最近日本にも上陸したクラフトビールブームの旗手、Mikkellerもあるから、さぞかしデンマーク人はアルコールライフを満喫しているのだろうなと思ってたんです。

それは実際のところ正しくて、みんなお酒をすごく飲むし、ちょっとしたスーパーには常時50種類以上のビールがあったりとお酒好きにはたまらない環境なんですが、一点だけ困った点がありまして。。。

「ひとり飲み」の文化が全くないんです

飲みに行くなら必ず2人以上。待ち合わせで1人になっている瞬間はあっても最初からひとりで来てひとりで帰るなんてありえない、というのがデンマークの飲酒文化みたいです。ひとりだろうと飲みたい時に飲みに行きたい、むしろ飲み屋での新しい出会いが楽しい!みたいな人には辛いです。

本当に印象的だったのが、デンマーク人の友人と飲んでいた帰りにこの話をしたら

「ひとり飲みなんてひとりチボリ(遊園地)よりヘンだよ」

と言われたこと。

(チボリ公園。ひとりでここ行くよりひとりで飲みに行くのはヘンらしい。行ったことがないのでCCの画像)

日本で「ひとりディズニー」なんて言ったらぼっちの極みたいなものじゃないですか。よっぽどディズニーが好きか、何か他ののっぴきならない事情のある人じゃないとやらないことだと思っているのですが(違ったらすみません)、ひとりでお酒を飲みに行くのってこれより変なの?!と相当なショックを受けました。

日本では『ワカコ酒』とか『孤独のグルメ』(お酒飲まないけど)といった作品もあって、ひとりでゆっくり楽しんだり、そのうち飲み屋さんの大将や常連さんと仲良くなる、みたいなのはある種の楽しみ方だよね、という価値観形成がされていると思うんです。僕はそこにどっぷり浸かっていて、ひとりで赤羽に昼から行って知り合ったおじさんと夜までの飲む、みたいなことが好きだったのでこれはかなりのカルチャーショックでした。

こっちではバーとレストランの分離が非常に明確で、美味しいビールを出す店では割とチップスしかないということが多いのですが、それも関係してるのかなぁ。



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