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アーティストとしての疑問・態度(展示とは?アーティストとは?)

0、イントロダクション/背景・当初の計画

当初の計画であれば、黄金町AIRの成果展が3/13から開催される予定であった。しかし、コロナウィルスによる政府からの展示活動自粛要請により、黄金町エリアマネージメントセンター主催のイベントは中止に追い込まれた。


アーティスト東地雄一郎は、1月に共同で活動したda大in printとCrevasseとでそれぞれ本の制作を開始した。題材は、東地雄一郎やその作品であるが、できあがりをみると見た目も全く違う2種類ができあがった。

こうして、2種類の本を通して、東地雄一郎の作品やその作家が思う問いを深堀することで、bookそのものでできる表現の幅を説明するとともに、crevasseとの新作mountainのローンチをする予定であった。

東地雄一郎 VARY 特設サイトwww.crevasse.info

1、VARYとは? 

・VARYとは?
Variationの源となる単語で、変化という意味をもっている。変化し続けるアーティスト  東地雄一郎 を対象として、misreadし続ける crevasse と 正しく解読を続けようとする da大print が示す観察結果である。黄金町AIRプログラムの成果展に参加し、改めて黄金町での活動の目的を考えるきっかけとする。

"バリエーション [3] 【variation】
① 変化。変動。 「 -に富む」
② 〘音〙 変化させたもの。少し違えたもの。変形。変種。
③ 一つの主題をさまざまに変化させる手法。変奏。また、その手法による楽曲。変奏曲。"
"デルタ [1] 【delta・ Δ ・ δ 】
①ギリシャ語アルファベットの第四字。
②〘数〙 変数あるいは関数の変量を表す記号。
③〔大文字と形状が似ているところから〕 三角州。 「 -地帯」 「メコン--」
Δ,δ (デルタ)
〖delta〗
①ギリシャ語のアルファベットの第 4 字。
②数学で,変数あるいは関数の変量を表す記号"


・動き続ける=制作を継続する
アーティストは、制作する人であり、生命線は、その活動を継続することと考える。2019年に黄金町AIRに参加して、ルーシーの骨の60%として制作そのものをメインとする活動を活発化させてきた。ここでは、黄金町で常に動きつづけきたその活動の目的から振り返り、今回2種類の本をつくることで考察しようと計画していた。

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2、展示ができなくなることについて(課題をつくる)

・展示ができないとはどういうことか? 
 →アーティストの目線でできないなりのやり方(できること)をつくる
 →それが結果的に柔軟な発想力と提案力にみえる

展示ができないことという課題は、展示ができるということはどういうことか?ということを考えるきっかけをあたえてくれる。アーティストにおける制作を”問いをつくる”としたと仮定して、問いの深堀をしてみた。

下図は、問いを深堀するためのロジックツリーで、色がついているところが問いで、各問の右側に続くテキストが解釈である。問いは、展示ができないこと からスタートし、各問で、できること/できないことを仮想定しながらすすんでいく。

ツリー


上記ロジックツリーを下表にまとめてみた。左側に記載する問いに対して、右側に解釈を載せる。今回のVARYは、No.3がが該当する。

●問い:設置はできるけど、みることができないとは? 
●解釈1:空間に入ることができない
●解釈2:その空間の外から確認できない。

上記解釈の対象を考えてみると、作品そのものか、その作品で構成する展示なのかがあいまいになってくる(現時点でわからない)。もしこのVARYの展示が開催されたとき、お客さんは、展示をみにくるのか? それとも、作品をみにくるのか? という疑問にぶつかる。

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つまり、普段なにげなくしている展示は、こうした問いの上で成立していることが、”展示OPENが中止”という課題が発生したことで顕在化した。ちなみに、下の写真が開かない展示のドアである。まるで展示が氷漬けされたようにみえる。

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3、コロナで展示OPENが中止になったことをきっかけに考えたこと(思考)

・アーティストにとって展示の必要性とは?
いろんな理由があると思う。思考整理の場だし、表現の場とか。。。
今回は、展示=作品発表の場 であることを前提として話をすすめる。なぜならば、AIRプログラムの成果展であるからだ。

そこに思考があるならば、展示にこだわる必要があるのかという疑問がある。作家や作品のスタイルにもよるが、展示そのものが作品である / 展示そのものが作品でない の2種類に分けて考えると、後者の場合がほとんどでないかと思われる(個人的な主観であるが、いままで出会った展示をみた印象として)。これは、鑑賞の対象がが展示なのか作品なのか と同義である。

・展示そのものが作品でない場合、展示の合理性はどこにあるのか?
展示するには、ものすごい時間と労力がかかる。作品がすでにそこにあるのに、なぜそこまでする必要があるのか? その必要性を深堀をしているのか? もしその結果があるならば、知りたいし議論したいと思う。

以下が、単純に思う疑問である。
●ほんとに展示って必要なの?
●単純に発表の場が必要ならば、展示以外に方法がとれないのか?

→必要に応じて、2、で紹介したロジックツリーを参照して議論したい。

4、展示以外の表現方法について(提案)

東地雄一郎においての場合の検証をしたい。メリデメをわけて考えてみると結局どうなの?ということです。
東地は、展示以外にも以下の手段で発表をしている。

1、ブックフェア
本の形態の作品がある関係上、PublisherでもあるCREVASSEを通してブックフェアに参加する機会がある。これもたくさんの人に見てもらうことができる。ただし、販売する場所なので、そうでないものは見せ方の工夫が必要。

2、WEBSITE
CREVASSEは、もともとオンラインショップで実店舗をもたない。東地はこのやり方が柔軟性があってとてもすきだ。いつでもどこでもの可能性があるが、ブックそのものは、紙であり現物があってナンボの世界である。
アーティストにとっても同じで、単なる告知の手段でなく、WEBは作品発表の手段として成り立つと考えた場合、なにをみせることができるか考えるだけでも可能性は広がる。単なるアーカイブにしないという意味ではアートブックと近い考え方である(これを書いてから気づきました)。

3、映像や写真の記録
それでも、アーカイブ自体も重要である。記録があってそれが発表されて遠くの誰かに届く。それはいつの時代も変わらない。

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5、アーティストとしての態度(判断)

具体的に今回行動に移したことを行動1~3としてご紹介する。
特に意識したのは、可能性を消さないこと と みえるようにすること(だれかに届く状態にする)です。

【行動1】考えや立場を表明すること。

3/15 13:00~14:00(12:00open) Tinys Yokohama Hinodecho 
〒231-0066 神奈川県横浜市中区日ノ出町2-166先 
京急線「日ノ出町」駅徒歩4分 JR線「桜木町」駅徒歩12分

【行動2】自分たちがすべきことはやり切る

【日】2020/3/13(金)~22(日)のうち、金土日のみ
【時】コロナウィルス感染防止施策のため終日会場には入れません。
【所】黄金町高架下スタジオ Site-Aギャラリー

【行動3】そのままにしておくこと。


展示は終日クローズしてます。中に入ることができません。屋外からのみ鑑賞可能です。
The exhibition is closed all day. I can't get inside.
It can be viewed only from outside.

tile : 1/3 distance project by da大 in print Higashiji Yuichiro  
date:2020/3/13-3/22
time: always you can see
Location: Hatsune_wingC2 (Hatsune-cho, Yokohama-shi)

行動1については、それぞれ立場があってすぐに行動することは難しいと思う。でも、なにもできないのか、なにもしないのか、自分の考えを表明して見えるようにすることの重要性を再確認できた。今回自分の周りのほとんどは自粛のままで止まっており、そこからの変化はほとんど見えない。
行動2については、自分たちで可能性を保持すること、言い方を変えれば可能性を消すことなく信じ続けることである。我々はドアが開かないことを知っていながらインストールだけでも続行した。その結果刈り取りできる内容はゼロどこか、たくさんの経験としてかえってきたと思う。
行動3については、とても難しい。なにもしないという行動とも、展示したものを片付けない(やりっぱなし)とも解釈できる。幸いにも外からみえるような場所での展示だった為、ショーケースとして成立させることができた。

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6、当初の計画について(検証)

いろいろ書きましたが、結局考えるべきことは、どんな活動でも必要な以下の3つだとおもいます。
  ・展示の目的は?
  ・最低限なにができればいいのか?
  ・アーティストとしての向き合い方

下の写真は、2019年6月の”みえない成果展”のときの設置状態
表向きの成果展とは別に、内部向けにsite-A_galleryを借りて展示について検証した(思い出したら、前回の成果展も外からみえない展示だった)。

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7、今回のイベントの主旨(もともとの計画)

・CREVASSEでつくった新作mountainのローンチ

・1/3distanceの考察

・作家1人に関わる2つのPublisherによるアートブックにおける表現の可能性の紹介(トーク)

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8、コロナという問題でみえたこと(まとめ)

今回議事を立ち上げる理由の1つが、自粛に対する態度をアーティストとしての表明することであった。CREVASSEの記事にそのことを”応答”と書いてある(ぜひ参照いただきたい)。
ここで言いたいのは、同じ課題に対して、アーティストとPublisherの両方が各々自立した立場で応答していることであり、本来の計画とは違うが、展示なしにVARY(バリエーション)が成立してると考えても過言でない。

9、VARYを通してわかる黄金町での活動とAIRの活用(黄金町バザールに向けて)

実は、もう1つ大切な疑問で 成果展とは? がある。
AIRにおける成果や評価というのは、結果だけにない、それに至るプロセスそのものも対象になると考える。しかし、プロセスというのは多様な意味や解釈を含んでおり、それ自体を定義していかないとみせることがとても難しい。だから、AIRでの成果展を本質まで考えると、評価はより困難なものとなる。
これはアーティストだけでなく、黄金町バザール/AIRの活動そのものも対象である。黄金町エリアマネージメントセンターの活動は、街づくりの側面をもっており、街づくりの評価は、AIRの成果と似ているように思える。10年以上継続している活動中、そのプロセスはより見えにくいものになっている印象がある(これも主観です)。

AIRの中でのアーティスト役割は?という違和感がある質問をもらったことがあるが、アーティストはなにからも拘束されないけれど、どんな状況でも制作を続ける(問いをなげかけつづけ、それをみえるようにする)ことがとても大切であると、展示における一連の流れとVARYの活動によって再認識することができた。
最後に、キーワードをまとめる。
 ・VARYとは?
 ・動き続ける=制作を継続する
 ・VARY=ルーシーの骨の60%の(AIR)活動を通してみえたもの
 ・展示とはなにか?
 ・改めて黄金町での活動の目的を考える。
 ・成果とは?
 ・黄金町バザール2020へみえた問い









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