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HOLLY

2020年8月に1台のトルソを制作する。
トルソの制作は、東地雄一郎 が "架空の仕立て屋" に依頼し、問い(コンセプト)に応答カタチするで発表する。

<東地雄一郎WEB>

<菅沼敦(架空の仕立て屋)WEB>


1、コンセプト

採寸によってえられるおよそ80人の測定データからトルソを制作し、HOLLY※と名前をつけた。

HOLLYは、測定データの平均値によってできている。
HOLLYは、公平にみえるがそうではない。
HOLLYは、みんなにとって納得するものだが、1人1人にとって暴力である。
HOLLYは、80人のみんなであって、「確かな」1人1人の個人でもある。

※HOLLYとは
ある有名な映画にでてくる主人公の名前
複数の実在する人物を混合した架空のキャラクター

2、HOLLYがもつ問いとは?

ここでいう1人1人が特定の個人であるのに対して、みんなは、なにかの集合の総称であり、”誰か”というしかない。測定データの平均によってできた、このトルソはいったい誰であるのか?

3、アイデアの背景(なぜトルソか?)

”架空の仕立て屋”のポリシーである、1人1人だれもこぼさないつもりで対応しているが、平均はそれを台無しにする操作であるのが暴力的 という言葉から着想。東地雄一郎は、そうした”架空”をカタチにしようとトルソの制作を提案する。

3-1、架空の仕立て屋とは?(1枚のシャツをつくる)
既製服を巻き戻しひもとく仕立て屋で、あらゆる「誰か」を採寸する。その目的は収集した寸法の平均値で一枚のシャツ(The Readymade)を作ることである。

3-2、トルソとは
〈胴体〉という意のイタリア語から出た彫刻用語。19世紀に,首,手足などのない不完全ないし未完成の彫刻にすぐれた造形美があることが見出され,とくにロダン以降トルソが完成作品として造られるようになった。

現在では、未完・特別の制作意図、あるいは破損によって首や手足を欠いた胴体だけの彫像。または、洋裁や衣服の陳列などに使う人台。の意味

4、架空の仕立て屋がトルソをつくるとは?

<トルソの解釈>
架空の仕立て屋を、トルソーを使用して作られるシャツをコピーとしたとき、そのトルソはオリジナルを司るなにかである

以上の東地雄一郎の解釈(認知・判断)を通した操作によって、架空の仕立て屋がシャツをつくるための台であるトルソの制作をする。


5、制作背景

もともとの計画では、黄金町バザール(当初2020年7月開始予定だったが延期)に出展予定だったが、日程変更と採寸による人との接触 に制限が追加されたため、計画変更を余儀なくされた。

場所は、黄金町エリアマネージメントセンタ黄金スタジオEを予定していたが、要請で外から確認できない場所へ変更した。

通常の展覧会でもなければ、オープンスタジオでもない、そういう機会がなくても制作は続けることができる可能性を示したい。状況に応じた発表に方法で周囲に刺激にしていく。

6、ルーシーの骨の60%の20番目のプロジェクト

東地雄一郎は、テーマであるアーティストとコミュニティーの応答をするつもりであった。アートは、個人だけでもなく社会だけでもない公共の上にあるものだと考える。個人と社会の狭間にいきるアーティストの姿がみえる環境で、公共について考えるプロジェクトでもある。これが違う世界の言い方だと(文化という名前の)自然かもしれない。

今回は、東地のプロジェクトの中でもトルソの語源である未完成の美しさの考え方に近い、ルーシーの骨の60%の20番目のシリーズとして取り扱う。


7、展示の詳細な解説







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