ラジオと私(2017.12.6)

こちらはかつて別のブログに書いていた記事を移行したものです。
タイトル横の日付が、記事を書いた日付です。

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2014年は私にとってラジオ元年である。

それまでももちろん存在は知っていたし、好きな俳優さんやミュージシャンの方が出演されるときは聴いたこともあったけれど、
日常的にラジオが側にある生活を送るようになったのは、2014年の初夏からなのだ。

きっかけは、博多大吉さん。
当時、大吉先生のメディア追っかけ(関係ないけれど、物事に嵌るときって理由はわからないままいつの間にかそうなっていることが私は多い。大吉先生を好きになった契機も、今となってはなぜか闇の中である。)と化していた私は、何かの雑誌で彼が「たまむすび」というラジオ番組に出ているということを知った。

それは平日午後のワイド番組だったので、仕事をしていた私は聴くことができないのだなと一度は落胆したが、インターネットで調べるうちに、その番組の一部がPodcastで配信されていることを知った。
今ではこのサービスが終わり、代わりにラジオクラウドが始まっているが、未だにこの時期からのPodcastは大切にとってある。買い換えたら番組が消えてしまうのではないかと怖くて、いつまでも電池消費がビックリするほど早いiPodを使い続けている。

誤解を恐れずに言えば、この番組では特別なことは何も起こらなかった。ただ、日常の延長のようなおしゃべりがだらだらと続く感じ、と言ったらいいだろうか。
特に、私が聴き始めた「たまむすび」の水曜日は“実家感”を売りにしていて、放送中にも関わらず大吉先生がゴリゴリとリンパを流す器具を使う音が聴こえたり、なかなかにやりたい放題であった。

しかし、そのゆるさが逆に新鮮だった。テレビやSNSは刺激が強すぎて疲れてしまい、本を読むには体力が残っていない私にとって、ラジオは何だか「ちょうどよかった」のである。
仕事で嫌なことがあったとき、この番組のPodcastを聴きながらふと電車内で吹き出してしまい、周囲に怪訝な顔をされながら「ああ、私ちゃんと笑えるや」とホッとして涙したことも、一度ではない。

その後、ある病気で体調を崩してしまい、長いこと家にいなければならない状況になったときも、ラジオは側で私を支えてくれた。
家にいるようになるまでわからなかったことだが、時間の拘束がない中で規則正しく生活するということが私にはとても難しかった。何となく生きようと思えば、本当に何となく毎日は過ぎ去ってしまう、という事実に衝撃を受けた。
テレビは前述のように刺激が強すぎたので、ラジオをつけていた。午後1時からの「たまむすび」をどうしても聴きたいからと、嫌いな家事も午前中に頑張って済ませるようになった。
また、ラジオは折に触れて時刻を読み上げてくれるので、時計がわりになる。ああ、こんな時間だから買い物に出なくちゃ…と私にそっと教えてくれたのは、ラジオだった。

初めは「たまむすび」、しかも大吉先生が出ている水曜日ばかりを聴いていた。しかし、そのうちにパーソナリティの珠ちゃんこと赤江珠緒さんのお喋りやキャラクターが好きになって他の曜日も聴くようになり、またまたそのうちに番組に出演していたジェーン・スーさん、博多華丸さんが出ている「相談は踊る」や「ザ・トップ5」も聴くようになり…

水滴が水に落ちて円を描くように広がっていった輪が、私をラジオに夢中にさせた。それに、曜日同士が、そして番組同士が繋がっている感じはテレビではあまりないもので、とても新鮮だったし、何より心地が良かった。例えるならば、ご近所さんの輪がどんどん広がっていって、ローカルな一大コミュニティを形成していくような感じだろうか。

そのうち、ラジオを聴くだけでは飽き足らず、番組に参加してみたいと思うようになった。そう、メール投稿である。
番組によると思うが、「たまむすび」では、冒頭のトークから何となく導き出されたテーマを番組内で発表し、そのテーマに合わせてリスナーが投稿、選ばれたものを番組内で読み上げる…というシステムがある。

メディアはあくまで視聴する側だと思っていた私にとって、メールテーマへの投稿もただの興味本位でしかなかった。あくまで一方的に参加している意識だけだった。読まれるなんて想像もしないまま、暇つぶしにメールを送り続けていた。

だが、その日はついにやってきた。しかも、それは大吉先生が担当している水曜日だったのである。
珠ちゃんが私のラジオネームを読み上げる。続く話に大吉先生が相槌を打つ。たった40秒あまりの短さであったが、時が止まったように感じられて、しばらく、驚きのあまり部屋の中で固まってしまった。

後で録音を聴き返した時には、思わず「…うおおおおおおおお!」と声が出た。
我ながら本当に可愛くない。
そして笑った。一方通行の片思いが、ほんのちょっとだけ実ったような…こんなことってあるんだ、と思うと嬉しさが自分の中で爆ぜるようで、そんな感覚はここ数年体験したことがなかった。

以来、すっかりメール投稿がライフワークとなった。今はリアルタイムで聴けないことの方が多くなったので読まれることは滅多にないけれども、あのドキドキと高揚感を味わいたくて、暇を見つけては懲りずに送ってしまう。

今では、ツイッターで公開のアカウントを作り(身バレが怖いから絶対にやるまいと思っていたのに)リスナーの皆さんと番組を実況したり、交流をしたりと、新しい楽しみもできた。
いずれも、数年前の私には、なかったものばかりだ。

この記事を書くにあたって、件のiPodに入っている一番古いPodcastを聴いてみた。2014年10月1日のものだった。オープニングの話題はちょうど、大吉先生の相方・華丸さんが火曜パーソナリティを務める番組「ザ・トップ5」が始まるという話だった。あの時、華丸さんの相棒を務めていた笹川アナウンサーが、今は産休に入った珠ちゃんの代わりとして水曜パートナーを務めているのだ。あれからたくさんの時が流れたのだなと、感慨深いものがある。その間の私にはずっと、ラジオが伴走し続けてくれていた。

2014年の初夏は、私にとって転機だった。素晴らしい出会いを与えてくれたラジオに心から感謝しているし、今後も末永くお世話になっていこうと思っている。

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