リーダーなら心に留めておきたい3つの鏡
皆さんは「貞観政要」をご存じでしょうか。
最近、「座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」(出口治明)」を再読してみたところ改めて学ぶべきところが多かったのでシェアしたいと思います。
太宗 李世民の教え
「貞観政要」とは唐の第2代皇帝、太宗・李世民の言行録のことです。
「貞観」というのは当時の元号のことで(西暦627~649年)、今から1400年近く前です。貞観の時代は、中国史上、最も国内が治まった時代と言われています。「政要」というのは、政治の要諦のことで、太宗と臣下との政治上の議論や問答がまとめられたものです。
歴史に残る明君と称される唐の第2代皇帝、太宗 李世民の言行録であるこの本は、リーダーのあり方、持つべき思想や判断について連綿と記述がされており、後世に偉業を成し遂げた、クビライ、徳川家康、明治天皇などの偉人たちがこぞってそれを読み、参考にされたと言われます。
そこに書かれてある内容は多岐に渡り、長大な文章になっているようですが、今回私が手にしたのは、現代の知の巨人と言われる出口治明さんが上梓されたそのコアな部分、インサイトだけを取り上げて解説された要約本です。そして、出口氏が座右の書とされているこの大書の中でリーダーが学ぶべき最も重要な概念は「3つの鏡」を持つべきだと書かれています。
3つの鏡
3つの鏡とはすなわち、「銅の鏡」「歴史の鏡」「人の鏡」のことです。
「銅を鏡にすれば、自分の顔や姿を映して、元気で、明るく、楽しそうかを確認することができる。歴史を鏡にすれば、世の中の興亡盛衰を知ることができる。人を鏡とすれば、その人を手本にして、自分の行いを正すことができる」という意味です。
(1)銅の鏡
自分の顔を映し出す鏡であり、不機嫌そうな顔、人を寄せ付けない姿をしていないかを自己確認する必要を説かれており、部下がついてくる「いい表情」をしているか、元気で、明るく、楽しそうにしているか
⑵歴史の鏡
歴史は繰り返すと言われるように、本を読み、先人に学ぶこと、歴史に学ぶ必要性を説かれています。
⑶人の鏡
自分の悪い部分、是正しなければならない考え方や行い等について、広く意見を聞き、諫言を受け入れることの重要性を示しています。特に、太宗 李世民は諫言してくれる重臣を身近に置き、重用した事がつとに有名で、自分にとって嫌なことを言ってくれる人を排することなく、苦言を呈されることに感謝して身近に置くべきことの必要性が説かれています。
名君と呼ばれる人の条件
出口氏は、名君と呼ばれる人の絶対要件は次の2つであると言っています。
⑴「権限の感覚」を持っていること
臣下に一旦権限を与えたら、その権限は臣下のものです。部下に権限を与えて任せたなら、皇帝であっても部下の決定に従わなければなりません。皇帝が自分勝手に権力を行使すれば、人民や臣下を疲弊させ、やがては裸の王様になってしまいます。高い地位に就いた人が裸の王様になれば、君主の一言一句に組織が振り回されるようになり、やがて時代の変化から取り残されてしまいます。
⑵臣下の「諫言」を得ること
諫言とは、上司の過失を遠慮なく指摘して忠告することです。臣下の忌憚のない諫言を聞き入れ、彼らの批判に耐えることで自らを鍛え上げるのです。皇帝であっても、決して全能ではないことをわきまえた姿勢、欠点や過失を指摘されることを望み、喜んで聞き入れる姿勢です。
まとめ
3つの鏡、今の自分の表情、歴史、第三者の厳しい意見を知ることがリーダーには不可欠だと改めて感じました。トップになるとどうしても「裸の王様」になってしまいがちなところ、リーダーとして必要なことを分かりやすくまとめられています。人を率いる立場の方は是非一読することをおススメします。
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