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お互いの強みを掛け算して成長するツクイグループとのパートナーシップ【前編】

両者のコラボレーションによる「GO!GO! ツクマリ体操」や日産スタジアムにおける車椅子席のネーミングライツ。
今年で6年目となる横浜F・マリノスと株式会社ツクイのパートナーシップは、介護事業や高齢者、障がい者に目線を合わせた画期的な取り組みが多く、他企業からも注目されている。
そんな取り組みの数々は、どのようにして生まれてきたのだろうか。
2023年から担当になった株式会社ツクイ 執行役員 リレーションシップ推進本部長の原優実さんとブランド・コミュニケーション部広報課主任の吉﨑友美さんに裏側を聞いた。



パートナーシップはお互いに成長していける関係

2024年5月20日。
You Tubeに1本の動画が上がった。
サッカーの動作を取り入れた、座ったまま楽しめる体操の動画で、横浜F・マリノスのキャラクター「マリノスケ」と一緒にチャレンジしているものだ。

ツクイの理学療法士が提案し、子どもから高齢者まで楽しめるこの体操は、ツクイグループとF・マリノスがコラボレーションしたもの。
「GO!GO! ツクマリ体操」と名付けられた。
全国に広がるツクイグループのデイサービスや老人ホームなどで実施され、「やってみた」企画なども予定されている。

マリノスケが一緒に体操を行う姿を全国のツクイの事業所でお客様に見て頂ける「GO!GO! ツクマリ体操」は、“スーパーアイデア”。
今後の広がりにも大きな期待がかかる取り組みとなった。

「以前から体操は作りたいと思っていました」
と株式会社ツクイ 執行役員 リレーションシップ推進本部長の原優実さん。
「GO!GO! ツクマリ体操」の企画当初から指揮を執った、生みの親だ。

執行役員 リレーションシップ推進本部長 原優実さん

「『GO!GO! ツクマリ体操』のスタート地点は、いくつかありました。一つは、F・マリノスさんとパートナーシップを結んでいるのに(全国展開で何かしないのは)“もったいない”と感じたこと。パートナーシップを結ぶ企業さんとは、何かを提供するだけの間柄ではなく、お互いに成長していける関係なのだと思っています。その上で、お互いの強みを掛け算する。それがベストではないかなと。『GO!GO! ツクマリ体操』は、まさにその掛け算から生まれたもので、サッカーの動作も取り入れ、理学療法士が作ったものです。二つ目は『GO!GO! ツクマリ体操』で地域限定の壁を破りたかったことです。弊社はデイサービスや介護事業所が全国に広がっています。F・マリノスさんが大事にする地域密着の思いは素晴らしいことですが、全国を見据えて、できることも作りたい。そう考えて生まれてきたコンテンツでもあります」

介護事業などを中核事業とするツクイグループは、全国に多くの事業所を展開しお客さまと接している。その視野が、常に日本全国に広がっているからこそ、
「F・マリノスとのパートナーシップを結ぶにあたって、なぜ横浜なのだろう、何ができるのだろうと、当初はモヤモヤした気持ちも抱えていた」
という。

 スロープの寄贈や車椅子席のネーミングライツ ー強みにスポットを当てて

株式会社ツクイがF・マリノスのオフィシャルスポンサーになったのは2019年。
そのきっかけはいくつか存在する。
高畠毅代表取締役社長は、学生時代は ハンドボール選手。
日本代表に名を連ねたこともあった。

「スポーツがもたらす力はすごいということを体感しており、スポーツへの理解もある。そうしたバックボーンがある中で、2020年(当時)に東京オリンピック・パラリンピック開催が迫っていました。スポーツに対する期待や機運が高まっている中で、弊社も何かできないかと考えていたことに加えて、F・マリノスさんの理念に共感」
し、スポンサー契約を締結。手を携えることになった。

だが、社内の反応はバラバラだった。
熱心なサポーターもいれば、サッカーとは無縁の社員もいる。
現在、F・マリノスの担当をしている原さんも、ブランド・コミュニケーション部広報課主任の吉﨑友美さんも、どちらかと言えば後者に近く
「4年に一度、にわかサッカーファンになる」
くらいだった。

社内でスポンサー契約の話を聞いたときも、
「正直なところ、スポーツと連携するイメージがつきませんでした。会社が何をしようとしているのだろうと感じましたし、どういうふうにシナジーを生み出していくのか。漠然とした疑問が頭の中にたくさんありました」
と、二人は戸惑いの声をそろえる。

「ツクイは全国展開をしています。だからこそ、『なぜ横浜なのだろう』という思いもすごくありました。それは当時、社員のみんなも思っていたことかもしれません。本社は横浜市にあるので、横浜を拠点とするプロサッカークラブと締結をしたということは分かりますが『でも…』という気持ちもやっぱり残っていて。なんとなくモヤモヤしたものが存在していたのは間違いないです」
と原さん。

「高齢者や障がい者に向けて何かをしていきたい」という思いや「よりよい地域社会づくり」への思いは共通しているものの、プロサッカークラブとの連携は未知数。
相手が地域密着を大切にするJリーグクラブとなれば、なおさら活動内容もイメージできなかっただろう。

原さんや吉﨑さんが抱いた思いの一方で、F・マリノスとしては、特徴的な事業展開をしているツクイグループとは多角的な取り組みができると感じていた。
特に、課題としているシニア世代や高齢者との接点に関して、ツクイグループは地元のスペシャリストと言える存在。すでに持っているツクイグループの目線が、スタジアムやスクールなど、F・マリノスを取り巻く環境でも輝き、みんなに優しく、安心・安全なスタジアムづくりや未来づくりにつながると考えていたのだ。

後に進められた、マリノストリコロールパーク新吉田へのスロープの寄贈や、日産スタジアムの車椅子席のネーミングライツ「車椅子ツクイシート」などは、その一例にあたる。
ツクイグループのブランドを体現する場所をF・マリノスの持つ資産の中から見つけ、スポットを当てていく。
自然と相乗効果が生まれ、互いのメリットへと変化させた。

マリノストリコロールパーク新吉田に寄贈されたスロープ
日産スタジアム 車椅子ツクイシートエリア

「昨今、ダイバーシティなど、いろいろな考え方が叫ばれる時代になりました。そうした考え方は、教えられるものなどではなく介護に携わる中で自然な概念として存在しています。ですので、関連すること(車椅子の利用者や高齢者の通行の障害になるような段差など)に自然と目が行ってしまう。
それが強みなのかもしれませんが、普通のことでもあって…。他のパートナー企業さんに取り組みについてお話をすると『車椅子ツクイシート』などは驚かれることが多いです」

ツクイグループの強みや当たり前を具現化し、取り組みの中で実現していく。
それが画期的なものとして映り、周囲の注目を集めることになった。

スポーツパートナーシップの全国展開や取り組みについて「他企業からも相談をされる」と言う原さんは「本当は私たちがどうしたらいいのか聞きたいくらい」と口にするが、アドバイスを問うと
「もし迷ったらお互いの理念に立ち戻ること。それは大事なことだと思います。モノやコトに走ってしまうと、そもそも何のためにパートナーシップを結んだのか見えにくくなります。お互いの理念をつなげていくことは絶対にブレてはいけないことだと思いますし、大切なことです」
と教えてくれた。

吉﨑さんもまた
「私たちが取り組みを考えるときの軸は、会社の課題を分析して、スポーツパートナーシップで発生する権利をどのように活かせるかというところにあります。ツクイの課題を考えると、F・マリノスさんとできることや、やれることが具体的に浮かんでくる。企業としてどうしたいかを考えると、スポーツパートナーシップはいい形になっていくと思います」
と話す。

ブランド・コミュニケーション部広報課主任 吉﨑友美さん

思い返せば、当初は「何ができるのか、どうしたいのか」とモヤモヤしていた思いを抱えていた二人だ。それが今や、スポーツパートナーシップに前向きで、他企業からの視線を集めるアイデアを生み出すほどになった。では、どのように気持ちは変化していったのか。

2023年に、二人がF・マリノスの担当になったことがターニングポイントだった。

後編へ続く)



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