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課題解決のきっかけとなり5年間で売上倍増へ 1通のメッセージから始まった人と人をつなぐパートナーシップ【後編】

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理系学生を対象にしたNEKカップの開催

翌年以降、日本エンジニアリングは移転した本社で説明会を実施。学生たちにも好評で、「インターンシップで来てくれると90%くらいの確率で入社につながっている」ほどになった。
 
「どうしたら人が来てくれるのか、取れるのか。2019年の企業説明会にヒントがいろいろありました」と政門氏。すでに日産スタジアムでの企業説明会は卒業したものの、人材確保に向けた活動は続いている。
 
そのひとつが理系の学生を対象とした1Dayのフットサル大会「NEKカップ」の開催だ。第1回目は2019年に実施した。

NEKカップ 開会式

「事業内容的にも、特に理系の学生に入社してほしいという思いがあったので、理系の学生を対象としました。『NEKカップ」に関しても、F・マリノスさんからの発案です。ただし、単なる1Dayの大会を開催するだけではPRとしては弱い。その話を伝えたところ、『ホテルなどの宴会場を貸し切って、懇親会も兼ねるのはどうでしょう』と。しかも懇親会の席は大学ごとではなくミックスにすることもご提案いただきました。大学生にとっても面白いでしょうし、何から何までいいアイデア。『やってみたい』と感じて、すぐに実施を決めました」

NEKカップ 懇親会

アイデアがつまった第1回は大好評。コロナ禍を経て、第2回は2023年の実施となったが多くの学生が集まった。学生たちに反応も「ポジティブなものばかり」で、2024年度の実施につながっている。
 
学生たちの横顔を見続けている政門氏は「フットサル大会自体も楽しいと思いますが、懇親会も楽しいのかなと。ホテルの宴会場を貸し切って行いますが、普段はなかなかできない体験だと思います。それを経験することで『NEKって知らない会社だけどすごい』につながりますし、やっぱりフットサルをする学生は、サッカーに馴染みがある。『横浜F・マリノス』をみんなが知っているんです。だからこそ、F・マリノスさんと一緒にフットサル大会やパーティーをする『この会社は何なんだ』と気にかけてくれる学生も増えているのかなと思います」
 
「NEKカップ」における人材採用の結果に関しては、これからに期待がかかるが、予想外の効果も起き始めている。
 
「学生自らNEKカップに出場したことを友だちに伝えたり、SNSで拡散してくれています。それが、『うちも出たい』とか『その会社に興味あるな』につながっていると感じています」
 
学生たちの認知度向上が確実に高まる一方で、社員にも変化が見え始めた。NEKカップには社員チームが参加し学生との交流も行うが、お手伝いとして参加する社員数も20名を上回るほどになった。
 
「うれしいことに、社員のみんなが自慢しているようなんです。『うちの会社は、F・マリノスと一緒にこんなことやっているよ』って」

社員が喜んでいる姿=パートナーシップ成功

2019年にパートナーシップ契約を締結した際、日本エンジニアリングは、日産スタジアムのテラスボックスを専用ブースで確保している。それはパートナーシップにおけるサービスメニューの一つだが、すでに「ここは手放せないなと思っている」ほどだ。 

日産スタジアム内ホスピタリティールーム「テラスBOX」

「弊社の場所は、ピッチの中央付近。とてもいい場所なんです。ちょうど空いたタイミングだったこともあって、本当に幸運でした。社員がテラスボックスで試合観戦をすると『こんなにおもてなしがすごいんだ。家族に自慢したい、友だちに言いたい』と、みんなうれしそう。VIP席も使用させてもらっています。こちらも入り口からすごい。みんな大感激して、家族や恋人など、大事な人を連れて来る。社内抽選になってしまうほどの福利厚生で、社員のモチベーションアップにつながっています。だからもう手放せません」
 
さらに驚くのは平日開催での使い方だ。お休みの日は家族や恋人と過ごすが、平日開催の場合は社員同士のコミュニケーションの場へ。「仕事終わりにみんなで試合観戦をして、飲みに行くのが定番」になりつつあるそうだ。
 
「社内でF・マリノスのファンが増えました。厳密に言うと、日産スタジアムに行くことが好きになったファンが多いです。スタジアムに行く楽しさをみんなが知った。翌日に『ありがとうございます』って言いに来る社員もいますからね」
 
2024年度で6年目を迎えるパートナーシップ。社内でもF・マリノスを通じたコミュニケーションが増え、笑顔も増えた。
 
「コロナ禍とはいえ、採用に関して結果が出なかったら、パートナーシップを結ぶことに『どうなんだろう』という思いはもちろんありました。でも、社員が喜んでいるところを見ると、それも結果。仮に採用人数が増えなくても、社員が満足してインナーコミュニケーションが充実しているならいい。弊社は基本的に社員ファースト。社員が喜んでくれるという視点でも、このパートナーシップは成功だと思っています」

人と人がつながるパートナーシップ

政門氏が、F・マリノスとのパートナーシップは成功だと話す背景には、もう一つ理由がある。向上したのは社員の満足度だけではない。直近5年を見ると、日本エンジニアリングの業績や入社人数は、右肩上がりになっている。

「2019年から2023年の5年間で、売上は倍増になりました。入社してくる人数も、2018年まで新卒は2年に1人か2人。しかし、2019年を皮切りに5人、7人、10人と人数が増え、今では企業説明会にも約20人は来てくれるようになりました。中途採用も同様に、さまざまなキャリアを持った人が来てくれるようになりました。本社を関内に移転する際は10年計画だったのですが、6年で満席になってしまったので、2022年に再び移転を決めたほどです。それが、現在のみなとみらいにある本社です。この要因は何か。明確にはしていませんが、そのうちの一つに本社の移転とF・マリノスとのパートナー契約があると思っています」
 
思い起こせば、広報活動の発端は「会社を大きくしたい」という思いからだった。「なんとかしよう」と送った1通のメッセージ。そこから始まったF・マリノスとのパートナーシップは6年目を迎えた今、確かな実を結んでいる。
 
だからこそ、あらためてF・マリノスの魅力を問うた。政門氏は、再び「人です」と口にした。
 
「F・マリノスさんは、やっぱり日本を代表するビッグクラブです。大きな日産スタジアムで、ファン・サポーターも温かい。何から何まで日本一なのかなと。だからF・マリノスさんのパートナーであることを世間が認めてくれるのだと思います。そこに信頼がある。実際、取引先さんや大学の先生たちにも『すごいですね』と言われるんです。それは、信頼感も含めた『すごい』なのかなと。それから、やはりF・マリノスのみなさん。お互いにF・マリノスが勝つという共通目的がある上で、弊社のことにすごく向き合ってくれる。言葉は適切じゃないかもしれないですが、友だちのようです。みなさんは、いつも笑顔で温かい。だから一緒にやっていても楽しいのかなと。人と人とのつながりは本当に大事だと思います。実は、パートナー企業同士でも関わりも増えていて、いろいろな情報交換をしています。弊社に来てくれたり、こちらがお伺いしたりすることもある。これまで、会社でしてこなかったSNSの運用は、他のパートナー企業のみなさんから教えていただいたことですし、すごく勉強になります」
 
このようにF・マリノスを軸とした輪が広がって、「そんなふうにつながっていくのもパートナーシップなのかなと思います」と政門氏は言う。
 
「弊社は、スポーツパートナーシップを結んでいる企業の中でも、きっと一番小さい会社です。でもパートナーシップを結んで、それを有効活用する方法はたくさんある。パートナーシップについて、悩む企業さんもたくさんいらっしゃると思いますが、まずは『自分たちがやってきたこと、成功してきたこと、うまくいかなかったことをすべて話す』。会社の規模などによって、当然難しい側面はあると思いますが、F・マリノスさんとのパートナーシップにおいては『伝えること』は大事です。きちんと伝えれば、ちゃんとやってくれる。それは担当が誰であっても変わりません。F・マリノスさんは、そういう企業なんです」

みなとみらいの応接室には、F・マリノスのカレンダーが飾られている。エントランスホールには移転の際に「特注した」というF・マリノスグッズが飾られている棚もあった。目を引くトリコロールは、日本エンジニアリングと訪れた人々をつなぐ架け橋のようだ。

一人、奔走してきた政門氏は、壁に飾られたウェアを見上げて言う。
「いつかユニフォームにロゴを入れるというのは夢です。しかし、それよりもNEKでの仕事にとても思いがあります。社員ファーストを考えるのもその一つですが、会社に対する思いがあるからこそ、F・マリノスさんをうまく活用させていただいています」
 
これからの10年。日本エンジニアリングは、さらなる売上の倍増計画を立てている。
 
「それを達成したら、F・マリノスさんに報告に行きますよ」
 
と政門氏。その笑顔は明るいものだった。

(了)




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