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課題解決のきっかけとなり5年間で売上倍増へ 1通のメッセージから始まった人と人をつなぐパートナーシップ【前編】

2019年からスタートした横浜F・マリノスと日本エンジニアリング株式会社(NEK)のパートナーシップ。互いに手を携えるきっかけは、お問合せフォームからのメッセージだった。自社で抱える課題を解決したいと送ったメッセージが両者をつなぎ、課題解決や売上倍増への糸口になった。6年目を迎えた今も「うちはきっと、パートナー企業の中でも小さい会社」だと話す同社は、どのようスポーツパートナーシップを活用してきたのだろうか。日本エンジニアリング株式会社執行役員の政門哲夫氏に、その歩みを聞いた。



課題解決を模索する中でたどり着いたお問い合わせフォーム

始まりは、1通のメールだった。
 
どの企業のオフィシャルサイトにもある「お問合せフォーム」。セレクトした企業は、横浜に拠点を置くプロスポーツチームや交通機関。その中に、横浜F・マリノスの名前が含まれていた。
 
「2018年当時、弊社は売上を上げていきたい。会社を大きくしたい。人材を確保したいという明確な目標がありました。でも、知名度はなく、本社所在地は魅力的とは言いがたい場所……。新入社員に来てほしいと思っていても、入社してくれる学生は皆無。『どうしよう』と思っていたところで考えたのは、本格的な広報活動と本社の移転でした」
 
そう話すのは、日本エンジニアリング株式会社執行役員の政門哲夫氏だ。日本エンジニアリングは、建設コンサルタント、構造物の設計・計画・保全業務を行う企業。事業内容も幅広く、国や自治体の業務を請け負うこともある。

日本エンジニアリング株式会社 執行役員 政門哲夫氏

創業から60年目に向かう上で「会社を大きくする」というビジョンを打ち立てたが、社外に対する広報活動などは全くしていない状況だった。会社を大きくするには、人材が必要だと感じていたものの「新入社員は、2年に一度。1〜2人が来てくれる程度」。その上、少子高齢化に伴う人材確保が厳しい時代に突入し、学生や技術者は、さまざまな視点で企業を選ぶようになっていた。そこに日本エンジニアリングの課題があった。
 
「まずは、横浜市の中心地とも言える関内に本社を移転しましたが、それだけでは人材は来てくれません。そこで、移転にプラスしてインパクトのある広告を出そうという方針になり、横浜のプロスポーツクラブや交通機関の広告出稿などをたくさん調べました」
 と政門氏。複数のプロスポーツクラブや企業のオフィシャルサイトのお問合せフォームからメッセージを送り、課題解決への道のりを歩き始めた。
 
「広報活動といっても当初は、駅やバス、電車などに広告を出すぐらいで十分かなと。プロスポーツクラブのスポンサーやパートナーになることは全く考えていませんでした。同業他社の大手さんを見ても、パートナーとなっている企業はほとんどありません。さらに、スポーツを通じた知名度向上につながると思っても、F・マリノスさんは日本サッカーを牽引する存在。うちみたいな小さい会社がパートナーになるなんて、できるわけがないだろうと思っていました。ビッグクラブだからこそ、費用面を想像しても難しいだろうなと。今だから言えることですが、F・マリノスさんは比較対象として入れておくくらいの気持ちでしたし、アプローチをするのも一番下に名前があったほどでした」
 
アプローチした企業に課題を伝え、話を聞く日々。さまざまな反応がある中で、政門氏を驚かせたのが”一番下”のF・マリノスだった。
 
「個人的な考えでもありますが、プロスポーツクラブのスポンサーやパートナーシップは、看板だけを出して終わりだと思っていたんですよね。でも、F・マリノスさんはたくさんの資料を持ってきてくれた。パートナーシップに関するサービスメニューが多く、社員の福利厚生につながるものもたくさんある。試合観戦や波戸康広アンバサダーの講演会など、『こんなこともやってくれるのか』とこちらが驚くものばかりでした。ウチが課題とする人材確保につながる広報活動の面だけではなく、社内のモチベーションアップになる。それが非常に魅力的に映りました」
 
政門氏が送った最初の相談メッセージから、3〜4カ月。F・マリノスとは何度も対話を繰り返した。
 
「F・マリノスさんは相談や課題を伝えると、すぐに資料が出てきますし、真面目に提案をしてくれる。例えば、『学生に周知したいけど、どうしたらいいか』と伝えれば『サッカー大会はどうですか』『日産スタジアムで企業説明会をやりませんか?』と。いつもこちらに歩み寄ってくれました。何より、弊社と向き合って担当してくださるスタッフさんの人間性が素晴らしい。その人柄に惚れて、広報活動をやるなら『絶対にF・マリノス』だと思いました。人間と人間でつながるとはこういうことだなと感じていますし、F・マリノスさんの場合、担当者が変わっても向き合い方は変わらない。それこそ大きな魅力で、パートナーになる決め手になりました」
 
こうして、2019年2月。F・マリノスと日本エンジニアリングはオフィシャルパートナーシップ契約を締結。早速、課題とする人材確保活動に向けて具体的な施策に動き出した。

日産スタジアムで掲出される日本エンジニアリング様の看板
ホームゲーム会場では毎回大型ビジョンでご紹介

初年度の試みは日産スタジアムでの企業説明会

2019年3月29日。Jリーグ第5節・サガン鳥栖戦が控える日産スタジアムの記者会見ルームで、日本エンジニアリングの会社説明会が行われた。パートナー契約締結の発表から、わずか1カ月半後のことだった。
 
「そもそも、弊社の企業説明会には応募が少なかったんです。そこで、それを伝えたところ、『日産スタジアムの会見室を使ってみませんか? その時にピッチに降りる体験や、説明会後に試合観戦をしてみては?』と提案をいただいたんです。『面白いな』と思って、大学の先生にその話をしたところ、手を挙げてくれた学生が10人くらいいました」

2019年、試合終了後に監督記者会見が行われる会場で企業説明会を実施

この日に参加した10人は「サッカーには興味がなかった」そうだ。日産スタジアムに訪れるのも「初めて」という学生もいた。「スタジアムの大きさと雰囲気。歓声は、やはりすごい。惹きつけられる何かがあるのかなと思います。それにきっと、人は未体験のことを体験したがるのかなと」と政門氏は、当時のこと振り返る。
 
実は日本エンジニアリングには、正式な部署として広報や採用担当がいるわけではない。それまでのリクルート活動に関しても大学の就職窓口にパンフレットを置く程度だった。人材の確保が必要だと、政門氏が兼務する形で広報活動を模索する中でF・マリノスと出会い、互いに手を取り合うようになったからこそリクルート活動も加速していく。
 
そして、その効果はすぐに表れた。
 
F・マリノスとのパートナー初年度だった2019年。日産スタジアムの企業説明会に参加した学生10人のうち「3人が入社し、今も働いています」と、政門氏は教えてくれた。 

後編へ続く




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