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時間(とき)が止まるとき

2012/5/30 ラオスにて

パクセーからヴィエンチャンに戻る深夜バスの車中、ふと目を覚ますと、バスは国道端で停車していた。何やら焦げ臭い。

外に出ると懐中電灯を持った乗客と乗務員が後部エンジンのところで何やらガヤガヤしている。オーバーヒートだ。ポリタンクの水をラジエーターに注入するも、水蒸気が虚しく上がるのみで、一向に稼働する気配がない。

そんな喧騒を横目に空を見上げる乗客が数人いた。呆然と見上げる者、指をさして語り合う者、中には笑顔さえ見える。何を見ているのだろう? そして彼らの眼の先を追って、息を飲んだ。

漆黒の大地の上に広がる、満天の星空だ。

天の川を見たのは何年ぶりのことだろう。見える星の数が多すぎて、星座が判らない。かろうじてこれが北極星かな、とおもわれる星を見つける。どこに居ようと同じポーラスターを目指すことには変わりはない。そんなことをぼんやりと考える。

3時間後、替りのバスが到着した。朝から仕事のある人や乗務員は大変だろうけど、この遅延時間の代償として頂いたご褒美は、僕にとってはとても大きかった。

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