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理論科目にも戦術はある

こんにちは、山藤あるとです。

この記事で、計算科目の戦術的要素の話をしました。

計算科目とくれば理論科目はどうなのかと思われると思いますが、理論科目にも戦術的要素はあります。

今回はその辺りの話をしたいと思います。

・問題を読んだらすぐに書き始める人
・書けたと思ってもそれほど点が取れていないことが多い人
など、多くの受験生に最後まで読んでもらえたらうれしいです。



答案構成から考える

ほとんどの問題で答案構成は必要

理論科目の戦術的要素といえば思いつくのは、まず答案構成を考える、という話です。

答案構成は、会社法などのいわゆる1行問題でよく話題になるため、比較的長文の回答が求められる問題ではほぼ必須です。

ただ、一問一答くらいの短文回答でない限りは、基本的にどんな問題でも答案構成を考える必要があると思っています。

よくある失敗

長文回答でも短文回答でも最低限必要な答案構成は、何を答えるのか確認すること、です。

「何を当たり前のことを」と思われるかもしれません。

しかし、慣れてくると案外見落としがちな視点です。

普段の答練や本試験で、出来た!と手応えが良かったのに実際の点数はそれほどでもなかった、というケースがあります。(私もありました。)

それは、設問に答える姿勢を忘れた結果、そのようなケースが生じることが多い時に起きると考えています。

自分の経験も含め、同じような経験のある人の話を総合するとだいたい似たパターンで、「問題文を読んでいると、これ知ってる!とすぐ解答を書けた」ので、手応えが良かったと感じているわけです。

それなのに、思ったように点数が伸びないのは、出題者が答えて欲しかったことを書いていないからです。

つまり、出題者の意図を「早とちり」して、「知っていることを書いた」だけの答案になってしまった結果、手応えのように点が取れていない可能性が高いです。

採点者視点では

例えば、会社法で「~が行った行為は有効か?」という設問に対し、解答の中に有効か無効かの文言がなければ、設問に対して端的に答えている結論部分が曖昧といえます。

そのような答案は、採点者(出題者)からしてみれば、「有効かどうか聞いているのに、結局有効とも無効とも答えていない」ので、点数をつけにくいと思われるのではないでしょうか。

もしくは、「書いてある事は間違ってないんだけど、聞きたかったのはこれじゃないんだよね」と思っているかもしれません。

専門学校の答練などでは、採点箇所の記述があればある程度の点数はもらえるので、早とちりして書いてもそこそこの点数がもらえることはあると思います。

だからといって、問いに答える姿勢がなくてよいとは言えないでしょう。

本試験でも採点のばらつきを抑えるためにある程度の採点基準はあるだろうとは思いますが、「論述は教科書通りにきっちり書いているけど結論が明記されていないのでマイナス1点」なんて採点されているかもしれません。

大げさに言えば、その1点が合否を分ける可能性だってあります。

対応策

このような事態を避けるためには、問題文をよく読むことは当然ですが、「解答の中に、問題文の一部をオウム返しに入れてしまう」というのも手です。

例えば、「~が行った行為は有効か?」なら「~が行った行為は有効である(無効である)」とか、「~の場合、どのような問題が生じるか?」なら「~といった問題が生じる」もしくは「~の場合、以下のような問題が生じる。~」といったように解答するということです。

これを心がけることで、問題文の中のどの部分をオウム返ししようかと考えながら問題文を読むようになり、自然と早とちりや的外れな解答を書くことが少なくなります。

また、オウム返しの部分を見抜けると、何を答えればいいのかがシンプルになり、答案構成も整理しやすくなります。

もちろん、問いに答えている姿勢は明確になります。

長文回答の答案構成のやり方

オウム返しで結論をまず押さえる視点は長文回答の答案構成を考える際にも役立ちます。

最終的に辿り着く地点を確認できれば、結論に対する、なぜそう言えるのか(理由や根拠)、という小さな問いが立てられます。

その問いに対してまたオウム返しで答えます。

問題文からも、状況の整理や結論を考えるにあたってどこが問題になるか、それが問題になる理由は何か、それに対してどのようなルールがあるか、ルールがなければどのように考えるか、など、書こうとしていることに対する問いとそれに対する答え、さらにそれに対する問い、とつながって考えていきます。

問題文からの問いと答えのまとまりと、結論からの問いと答えのまとまりがつながるように考えていくとやりやすいかと思います。

つながればそれぞれのまとまりを並び替えて答案構成とします。

最後に、問題文に応じて、ここを聞いているから厚めに書こうとか、回答スペースからここはさらっと書こうとか、バランスを調整して仕上げます。

慣れていくしかないところはありますが、何をどの順番で書くか、というのが答案構成であり、その順番を要素ごとの問答から考える、という感じです。

ある程度短時間で出来るようになる必要がありますので、答練のたびに意識して練習しましょう。

理論科目の採点の仕組みから考える

戦術的に書くとは

別の視点から、理論科目の答案をどう書くかということを考えてみます。

結論から言えば、採点の仕組みを踏まえてより高得点が期待できるように書く、ということです。

理論科目の採点の仕組み、と表現していますが、実際の採点方法が公表されているわけではありませんので、専門学校での採点の仕組み、という方が正確かもしれません。

しかし、本試験でも公平かつ短期間で多くの答案を採点するわけですから、ある程度のルールはあるはずです。

専門学校での採点の仕組みをベースに話しますが、本質は似たようなものとして考えることにします。

加点要素と減点要素

理論科目の採点基準は、大雑把にいえばこれを書いていたら何点、というものが積み上がっているものです。

その上で、模範解答のようにきっちりとした表現で記述がしてあるほど得点が配点満点に近くなるという感じです。

ズバリ、論点の網羅性が加点要素で、記述の正確性が減点要素です。

例えば、ある設問で、解答する内容が5つあり、それぞれに配点が5点あったとします。

Aさんは3つはきっちり覚えていてほぼ完璧に書けたけど、残り2つは思いつきもせず全く書けなかった結果、5点、5点、4点、0点、0点で14点でした。

Bさんはどれも完璧には書けなかったけど5つすべてそれなりの記述をした結果、3点、3点、3点、3点、2点で14点でした。

どちらも14点ですが、目指したいのは後者です。

なぜなら、Aさんは論点を全部網羅して書けなかった結果、最大で15点取れる機会しか得られず、Bさんは論点をすべて網羅して書いた結果、最大で25点取れる機会を得ているからです。

すなわち、まず論点を網羅的に書いて加点要素を確保する、というのが戦術的な書き方です。

戦術レベルを意識した戦略的な勉強の仕方

論点を網羅的に書けことが戦術的な書き方だとすると、それを出来るようにするためにはおのずと勉強の仕方も変わってきます。

もちろん、狭く深く、よりは、広く浅く、を目指すということです。

上述の例でいえば、もし、設問がAさんが答えられなかった2つの部分についてのみ問うものであったなら、Aさんはまったく手出しできないことになります。

だからこそ、まずは広く論点を押さえ、その上でそれぞれをより正確に書けるようになる、という優先順位が求められます。

今までの記事で話していた、重ね塗りの考え方です。

重ね塗りは採点の仕組みとも合致する秘訣です。

覚えた、というのは自分にとって成果が分かりやすいので、完璧に覚えたくなる誘惑があります。

そこに手を出してしまうと、完璧にするのに時間がかかり、それを維持するのにも労力が要るのに、取りこぼす点がある、という状況になってしまいます。

勇気を持って次へ進み、網羅的に勉強することが大事です。

まとめ

・答案構成は基本必要
 何をどう書くかを考えるのが答案構成。
 問いに答える姿勢を忘れないようにしましょう。

・オウム返しが効果的
 問題文の一部をそのまま解答に入れるのも手。

・論述は問いと答えの連続
 長文解答は自分で問いと答えを繰り返して書くイメージ。

・論点の網羅性が加点要素、論述の正確性が減点要素
 まずは網羅性で点数の枠を確保しましょう。
 正確性は重ね塗りのイメージで繰り返して精度を高めましょう。

聞かれたことに答えるようにする、という当たり前のことですが、それだけに慣れてくると見失いやすいものです。

また、まずは加点を確保する姿勢は、戦略的に勉強することから始まっています。

限られた時間で最大限の成果を出すために考えることはシンプル、重ね塗りのイメージです。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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