エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE

今日の映画は前作「エリート・スクワッド」の続編、「エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE」です。私は前作を見ずにこれを見てしまいましたが難なく見ることができました。まぁ前作見てからの方がより面白かったでしょうけど(笑)。

大前提として以下で出てくる登場人物の関係について、少し前述しておきます。主人公ナシメントはすでに離婚してして、妻はフラガと再婚しています。またナシメントの実の息子も妻と一緒にフラガと一緒に暮らしフラガの仕事を手伝っているんですね。ナシメントは正義を貫き冷徹ささえ感じさせる一方で、フラガは倫理観を重んじナシメントと比べると慈愛の精神に基づいて仕事しています。ナシメントは、自分と真逆のフラガのもとでかつての家族が暮らしていることに悩んでいます。

【あらすじ】
(登場人物:主人公ナシメント、フラガ、マチアス、ギャング)
舞台はブラジル。
主人公ナシメントは特殊警察作戦大隊(以下BOPE)の隊長でした。ナシメントは刑務所内でのギャングの暴動を鎮圧するためBOPEを派遣します。そこで暴動を起こした囚人は、騒動を聞いて駆け付けた市民活動家のフラガを人質に取ります。結局BOPEは「上手に」フラガを救出し、暴動を起こした囚人達を射殺してしまいました。この一連の事件はブラジル中で話題になり、法に任せず虐殺したBOPEをファシズムだ批判するものと、BOPEは悪を根絶する英雄だというものとで議論が巻き起こります。
また、ナシメントは公安局に昇進されますが現場で射殺したマチアスはバッシングを受け左遷されてしまいます。市民活動家だったフラガはこれを機に州議会議員になります。

ナシメントは公安局でブラジルの警察と政治の汚職っぷりを目の当たりにすることになります。汚職を根絶するためにBOPEをギャングのところへ派遣し麻薬取引の根絶に努め無事成功します。しかし麻薬がだめになったギャングは、街のインフラ整備などに精を出して、手数料などで街を取り巻くようになり、警官たちの汚職が終わることはありませんでした。ナシメントはギャングとの(汚職との)闘いの中でマチアスを失うだけでなく、実の息子まで傷つけられてしまいます。

フラガもある事件をきっかけに、警官だけでなく州知事までもが汚職に手を染めていることに気づきます。ナシメントとフラガはお互いの目的が一致したことを確かめブラジル最大の汚職事件に向けて正面から戦いを挑みます。

【感想】
期待以上に面白かったです。具体的には私はストーリー、脚本がよかったと思います。ブラジルが舞台かつブラジル映画でしたのでB級かと思いきや…!でした。

ナシメントとフラガと汚職している政治家と汚職している警官とギャング
それぞれ持ちつ持たれつで描かれておりそこが前作の続編とはいえ見やすさにもつながっていたのかと思います。
本作品、ナシメントの語りで物語が進んでいきます。そのためナシメントという人が大変よく描かれていました。ナレーションは淡々と進むのですが、泥臭い場面が続いたり、カメラワークも定点でなく動きが多い中でこのナレーションは唯一、天から世間の汚れた全面を見ているようでどこに固執することなく俯瞰で見ることを助けてくれているなぁと感じました。

以下ではそれぞれトピック絞ってみていきます!
1 ナシメントとお仕事
ナシメントは一連の汚職を「システム」と揶揄しその正体を暴いていきます。日本ではあまりなじみのない銃社会でのギャングと警察の取引、街の人々がリアルに感じられます。また汚職がどこまで広がっているのか周りを信用せずに必要最小のチームで捜索するのもスパイ感あって観ていてドキドキします。

2 ナシメントとフラガ
フラガは前述の通り全く逆の思想で自らの信念を貫いています。最初はライバル関係になるのかとすら思わせますが、目的が一致することで「静かに」共闘するのです。ナシメントは銃を発砲するシーンがありますが、フラガは使いません(持っているのかもしれませんが)。あくまでフラガは政治家として、ナシメントは公安局として戦うところに魅力を感じます(踊る大捜査線的な?)。

3 ナシメントと我が子
またナシメントの実の息子は、フラガと一緒に住み仕事も手伝っています、そのためどちらかというとフラガ寄りの思想で、戦ったり人殺すことに嫌悪を感じています。ナシメントは柔道を通じて我が子に強さを教えようとしますが、成長とともに優しさのほうが身についてきている印象でした、父親って難しいんですね…

4 銃社会の怖さ
汚職警官もBOPEの隊員もナシメントも悪者や敵は銃一発で脅すことも殺すこともできます。邪魔ものは仮に相手に殺意がなくても、仮に相手が悪くなくても都合が悪ければ簡単に消すことができます。撃ち殺した後は燃やして歯を抜いて誰かわからなくします。治安悪すぎですが銃があることで命を軽いものとして日常生活がほぼ常に危険にさらされるのだなと感じました。というのも今回の映画、ほとんどが「邪魔ものを消す」ためにつかわれているのです。直接的に「大切な人を守る」ために使われたのはナシメントが子供を守るために発砲した場面だけ。銃が自らだけでなく相手の闘志まで引き上げ惨事につながるのかなぁなんても感じました。

5 ギャングの皆さん
ここはおまけ程度ですが、ギャングの中でも劣悪なものから、ちょい悪までいてそれぞれの心情などもうまく描写できていました!名前忘れてしまいましたがフレディ・マーキュリーみたいな髭生やした人好きでした笑

【さいごに】
ブラジル映画は私(たぶん)初めて見たのですが、ハリウッドに引けを取らない素晴らしさがありました。またリオの街並みもきれいですね。難点なのは言葉が全く分からないくらいですかね(字幕読むのが忙しい笑)。この映画、個人的には結構頭使う映画かなと思いますので、暇なときにがっつり見てみてはいかがでしょうか。最後までご覧いただきありがとうございました!

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