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宿泊業(ホテル・旅館)でのM&A

コロナ禍の影響をもろに受けた業界の一つが観光業だろう。中でも宿泊業(ホテル・旅館)は労働集約型が色濃く残る職場環境のため旅行客とともに離れてしまった人材の確保にも手をこまねいている。度重なる逆風を受けた結果、多くのホテル・旅館では業績回復が遅れている。

2021年の倒産件数は70件

帝国データバンクの発表によるとホテル・旅館業の倒産件数は前年比−48件でコロナ禍による倒産には歯止めがかかっているように見える。しかし、同期の休廃業・解散件数は174件(前年比+43件)と自主的に辞めている企業数は増加している。コロナ関連の助成金や融資が手厚い間に休廃業を選択されたケースもあると考えられるが、オーナー経営者がご高齢のため廃業されているケースも一定するあるだろう。もしそのオーナーがM&Aという選択肢を持たれていたら、そのホテルや旅館の歴史に幕を引かずに観光立国日本の一翼を担えていたはずだ。

月商の有利子負債が30.13倍

ご存知の通り、ホテルや旅館は大きな設備を持って事業運営されている。設備が古くなったら更新をしてお客様のニーズを満たす必要があるし、新しい設備も導入しなければならないかもしれない。その結果、業界全体で多くの負債を抱える格好となりコロナ禍の様な影響を受けると経営不信に陥る。特に、年商1億円未満の小規模のホテル・旅館では月商の有利子負債が55.56倍もある。政府も雇用調整助成金や「ゼロゼロ融資」など施作を設け支援してきた。規模が小さく体力のない企業は引き続き苦しい状況だ。事業継続のためには、どこかのタイミングで第三者への事業承継や外部資本を受け入れる必要がある。

観光立国日本のポテンシャルの恩恵を受けるために

コロナ禍以前の訪日外国人旅行客数は3,188万人(2019年)であった。それが、2021年のは7.7万人(2019年比99.3%減)まで減少しとても苦しい期間が長く続いた。しかし、今年に入りコロナ禍も明け外国人環境客の受入も本格的に始まったことで観光地にも賑わいが戻ってきた。円安の追い風もあり、世界で競争力のある観光地1位となるなど環境は整っている。あとは受入れる日本のホテル・旅館の本気度にかかってくる。世界中を旅した経験を持つ旅行客を満足させるだけのハードとソフトを準備する必要がある。世界的ホテルチェーンがこぞって日本へ投資をしているのもそのポテンシャルを認め、大きなチャンスがあると見ているからだ。日本の宿泊業にとっては、一生に1度あるかないかのチャンスである。

成長戦略を一緒に描けるパートナーを見つけよう

今日のチャンスを掴むためには成長戦略を一緒に描くパートナーを見つける必要がある。投資家なのか、同業でのアライアンス企業なのか、はたまた有名ブランドへ参加するのか。どの選択肢でもそれ相応に良い結果は得られるはずだ。何もせず、横目で観光バブルを傍観する人にはなってほしくない。ぜひ中小企業のホテル・旅館業をされている方には自分がチャンスの入口に立っていることを理解して頂き、単独での成長が難しいと考える場合はどのパートナーと組むのかを考えて戦略的に行動をしていこう。急激な成長を目指すオーナーやご高齢だけれども自分の魂は受け継いで行ってもらいたいと考えるオーナーは、M&Aを有効活用して頂きパートナー探しをして行ってもらいたい。何事も選択肢が多いことに越したことはない。

最後に

日本のいいホテル・旅館が休廃業せず、未来につないで行くためにもM&Aがもっと一般的な経営手段として定着し、利用していただける環境になることを願います。皆さんの周りのオーナーが休廃業を検討されていたらぜひ一度M&Aという選択肢があるよと声をかけてください。その一言が日本の明るい未来を作ります!

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