心理的安全性が生まれる創造的破壊学習のススメ
先日は、伊勢市教育研究所のご依頼で授業改革のためのアクティブラーニング講座を2日間担当させていただきました。
こちらは、毎年夏に開催される教職員研修の一環としての講座のセレクションの1つとして担当を任命頂いたのですが、両日とも情熱とエネルギー溢れる素敵な先生方と学び合いをさせていただきました。
研修終了後、すぐにこんな嬉しいメッセージをいただきました。
この先生は、2日目のみのご参加だったのですが、「1日目も来れたらよかったーーー」と真っ先に伝えに来てくださった先生です。
創造的破壊学習を有効にするファシリテーションのコツ
1) 観察すること
『子どもたちの学ぶ力を伸ばす授業をする教師の意識改革とスキルアップを目指す!「学ぶ」を考える』と、非常に長いタイトルになってしまいましたが、伊勢市内の小中学校から両日とも50名づつ(両日来られる先生、1日目だけ、2日目だけ、、という構成)ご参加いただけました。
希望通りの大きめのステージ付きのホールをご用意いただき、そのステージの前に綺麗に椅子がシアタースタイル(ステージに向かって縦横綺麗に整列した状態でイスのみが並べられた状態)で並べられています。
一列目はほぼ人が座っていない状態で、2列目以降から真ん中が埋まっていく様子。
さて、この整列された状態をいかに自然に崩し、お互いを知り合いながら、自然にアイスブレイクされた状態にしていくか・・・
会場と参加者の方々の様子を観ながら、さっそく考えていった自身のアジェンダを破壊し、練り直します。
伊勢市内ということだったので、知り合い同士も多いかなと予測をしていましたが、そこまでお互いに会話で盛り上がっている様子も見受けられなかったので、そこも加味しながら、なにを一番最初に持ってきて、そこからどんな展開を起こすか・・・
研修前は、そんなこんなを頭の中で巡らせながら、全集中して目と耳を参加者と全体の雰囲気に傾けています。
2) 手放す・委ねること
そして、当初は入れていなかったバースディチェーンから始めることに。
「お口はチャックで誕生日順に円になりましょう」
なによりも大切にしているのは、自身の授業デザインが絶対・正解と思うことなく、場にいる方々にとって贈り物(Present)となるように、全集中で『いまここ(Present)』でいれるように無で存在すること。
これは、インプロ(即興演劇)で相当鍛えられました!
ココロのイロでいうと、赤や黄色がつよく出る傾向のわたしなので、「自分の考えが絶対!」とついつい思ってしまう傾向にあったのですが、その自分の考えを押し付けることなく、仮説として場に出しながら、柔軟に相手の考えや想い、感じていることを受け取れる訓練がインプロ/アプライドインプロ(インプロ歴もそろそろ20年)をするようになって身についてきたと感じます。
インプロ/アプライドインプロについての詳細はこちらをご覧ください。
1)に書きました通り、深く観察(洞察)をしていると、目の前に集まる学び手の方々からいろんな情報が入ってきます。 それは、言葉で伝えられることではなく、緊張感や期待、感情などなど。
始まる前から配布された資料を熱心に見られる姿、知り合いの方を見つけて談笑する姿、誰が参加するのだろう・・ときょろきょろ見渡す姿。
そういう様子を観察しながら、どんな言葉がけが学びへの足場掛けになるのか、、 自身が用意してきたものをいったん手放し、再構築をはじめます。
3) 場から出てきた反応(表情や態度)に常に柔軟でいること
1日目、伊勢市教育研究所の所長からの素敵なご挨拶があり、司会の方から私の履歴などをご紹介。
普段は、履歴だけ聞くと、とっつきにくい印象になるのですが、今回の所長も司会の先生も、とてもフレンドリーに私をご紹介くださり、事前のご準備にも心から感謝いたします。
さて、そこからわたしの出番なのですが、どんな始め方をしようか・・・
「わたしってどんな人? 性格は? 趣味は?」
そんなことをランダムに先生方に問いながら、私の為人(ひととなり)を知っていただくことからスタートしました。
その意図するところは、自分をいくら繕っても、立ち居振る舞いからその人の内側は出てきているものです、ということを感じていただくこと。
学び手の前に立つ人間は、そういう覚悟が必要なんです。
学び手たち、とくに純粋なちいさい人たちは、目の前に立つ人がどんな人なのかをその様相・態度・立ち居振る舞いから、何を言うではなく、その人の内に秘めた魅力や智慧にワクワクするものではないか・・と思うんです。
実際に、わたし自身は、いろんなセミナーや講座に行くと、始まる前のその講師やプレゼンターの方の様子ばかり観察しています。
そして、そういう問いをランダムに先生方に送りながら、コミュニケーションを取り、対話をしやすい関係性を築くきっかけをつくっています。
4) 絶対に学び手を責めない。学び手のせいにしないこと
2日目の研修は、1日目はご参加できなかった方も4分の1ほどいらっしゃいました。 その方々を1日目の先生方とどのように同じ熱量で入っていただくか・・
通常は、教え手が「前回は・・」と、行うケースも多いですが、一度聞いただけ、やっただけで身についているケースは稀です。
ここを丁寧に探求し、なにが定着し、なにが定着していないかを学び手たち同士で振り返り、アウトプットしていただくことで確認をすることもできます。
教える範囲に囚われすぎて、先を進めることばかりを考えると、学びの定着がないままに進めることになり、結果として総崩れを起こすこともたくさん観てきています。
そして、出てきたアウトプットに期待していた学びが含まれなかった場合、決して学び手を責めてはいけません。むしろ、自身を振り返り、学びにつなげられなかった原因を即座に判断し、そして即座に鍵となったはずの学びへの足場掛けを考える必要に気づかせてもらったことに感謝(Yes,And)する姿勢を持てることです。
期待する学びにつなげることができない学び手と出逢った時、必要なことは、その学び手を責めるのではなく、その学び手のことをもっと深く知ろうとすることです。
その学び手がどのような背景を抱え、どのような環境で育ち、本人の期待、保護者さんの期待、これまでの学習履歴、、などなど。
また、同時に、常にありたいのは、自身の教授法のブラッシュアップの機会を持ち続けることです。
5) 失敗万歳! ともに学ぶ姿勢をつくること
「あー、やっちゃった!!」と言える場づくり。
これもとても大切にしていることで、これが言える場は心理的安全性が高い場となります。
心理的安全性が整うと、
① 発言が増える
② 挑戦が増える
③ ラポールが形成され、お互いの支援が増える
➃ 活気が生まれる
⑤ 主体的行動が増える
まだまだありますが、学びの場において鍵となるのが「あー、やっちゃった!」が言える場です。
もう一つ大事なことは、「あー、やっちゃった!!」と言えた人を、温かく迎える姿勢です。
ですので、「あー、やっちゃった!」と言った人の後には、それ以外の人が「おめでとう!!!」と笑顔で迎えることを必ずセットにしておくことが大事です。
場づくりをするうえで大切なことは、自身の中で正解を握ってしまわないこと。
ご提供するゲームは、日本全国にとどまらず、世界各国のいろんな方々と行っているゲーム。
ある程度意図をもってその場に提供しますが、参加者によって出てくる感想や気づき・学びは様々。
ここを大切にするために、自身の中にあった意図や思惑はいったん無にして学び手が共有してくださる気づきや学びに全身全霊で耳を傾けます。
ゲームを行うとついつい、そのゲームをすることが目的にすり替わってしまうことも多く見受けられますが、あくまでも、ゲームを行った後のリフレクションが大切。
別の言い方をすると、リフレクションを観たい・聴きたいために、ゲームを行っていると言っても過言ではないです。
まだまだエッセンスが書ききれませんが、わたしが場づくりをするうえで大切にしていることをまとめてみました。
社会のひとりひとりが自分らしくを楽しめる文化にしたいと一言でまとめきれないくらいのいろんな活動をしてます。 感謝と愛に溢れた社会づくり・人づくりにすこしでも貢献できたら、と、学びを楽しみに変える教育の改革活動をしています。 サポートいただけたら勇気になります!ありがとうございます