《1》ツッコミどころ満載?!の森林環境税で森林は救えるか?
防衛費増税だ、少子化対策の財源確保だ、「N分N乗」方式がどうした、インボイス制度導入で免税業者がこうした…などなど、大増税の議論が侃々諤々、喧々囂々の昨今ですが、2024年から、シレっと新しい税金を徴収されるのを知ってますか?
2024年から「森林環境税」が徴収されます。
「森林環境税」は、国内の森林整備などを目的に、年間一人1000円が、住民税に上乗せされる形で直接徴収され、年間で約620億円の規模です。
「え、そんなの聞いていない!」といっても手遅れで、
2019年3月、ほとんどの国民が知らないうちに「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」が成立し、森林環境税と森林環境譲与税が作られました。
しかも、国民から徴収する「森林環境税」を財源として、地方自治体に配られるはずの「森林環境譲与税」は、
国の金庫から前借して、2019年からすでに配り始めています。
「まぁ。一人当たり年間1000円だし、それで森林が守られるなら協力してもいいかな?」と思ってしまいそうですが、
この税金、いろいろとツッコミどころが満載なんです。
森林環境譲与税の譲与額トップ5の自治体は?
すでに始まっている「森林環境譲与税」の譲与額トップ5(令和3年)は…
横浜をよくご存じない方は、横浜にも結構、森があるんだ~とスルーしてしまうかもしれませんが、横浜市民の自分は「ええっ!」と驚きでした!
今回の税金の使途は、国や地方自治体の予算で整備する公有林ではなく、
保林・整備が民間任せで手薄になりがちな「私有林人工林(植林した森林)」の整備が目的ですから、その面積当たりの譲与額で見てみると…
な、なんと、第1位の横浜市は 1ha当たり59万円!
一方、第2位の浜松市、第4位の田辺市は、1ha当たり5000円弱
横浜市の1/100 以下です!!
実は、森林面積が大きく違っています。
第2位の浜松市は 5万6千ha、第4位の田辺市が 5万haなのに対し、
トップの横浜市はその1/100の517haしか森林がないので、
1ha当たりにすると、大きな差になります。
なんだか横浜市、得してる???
※ちなみに、5.6万haというのは、横浜市全域(4.4万ha)より広く、
東京23区から大田区を除いた広さとほぼ同じで、
517haは、23区で1番狭い台東区(1011ha)の約半分です
そして、 大阪市はどうして「?????」なのかって?
実は大阪市には、対象となる「私有林人工林」が全く無いんです!
森林が無いのに、2.3億円もの税金が毎年譲与されているんです!!
どういうこと???
森林の無い自治体への譲与額は全国で19億円!!
興味が湧いてきたので、全国1741自治体の森林(私有林人工林)の面積と交付額をExcelのVLOOKUP関数でくっつけてみました。
すると…何と云う事でしょう!!
一方、交付額が少ないのは、
3.3万円は、ha当たりではないですよ! 「譲与額総額」です!!
渡名喜村は日本で2番目に小さい村で、人口が 321人なので、
住民一人当たりにすると 100円となり、横浜市の一人あたり(約80円)よりは多いですが、年間3万円って…
わざわざ税金で1000円ずつ集めて、そこから3万円貰うより、住民みんなに 500円玉一つ募金箱に入れてもらったほうがいいじゃんと思ってしまいました。
森が無くても譲与されるのは、配分基準の内「人口が3割」だから
横浜市の森林面積 517haと同じぐらいの森林がある自治体を探してみたら、
奈良県北部にある川西町というところを見つけました。
森林面積が 508ha、町全体の面積が593haですから、
なんと町の 86%が森林! まさに森に抱かれている町です!
さぞやたくさんの譲与税をもらっているだろうと思ったら、
なんと総額で67万円…横浜市の3億円の0.22%(横浜市が448倍)!!
どうして、こんな風に差がでるのかというと、
ですから、森林の面積が同じでも、
川西町の人口 8200人 <<<< 横浜市の人口 377万人
川西町の460倍の人口ですから、譲与額も448倍になるんです!
森林=0の自治体(≒大都市≒人口大)が 多額の譲与額をもらえるのも、
これが原因でした。
これって、なんかおかしくないですか???
森林環境税、森林環境譲与税の突っ込みポイントはまだまだありますが、
長くなったので、続く…ということにします。
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